メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

『少年少女世界推理文学全集 No.8 エジプト十字架の秘密』 あかね書房

2021-05-18 12:08:24 | 
亀山辰樹/訳 横尾忠則/絵 1984年発行


「ジュヴェナイル」カテゴリー内に追加します






中野の移動図書館所蔵とある

私が小さい頃にも移動図書館が来るのがとても楽しみだったことを
懐かしく思い出した





「少年少女世界推理文学全集」は全20巻
どれも面白そうな中で私の大好きなエジプト絡みのタイトルで選んだ


 



「少年少女20世紀の記録」25巻もなかなか面白そう







この物語に出て来るクイーン探偵は、ホームズのような天才肌ではなく
順序だてて推理する普通の人物に感じた

ホームズだったらこれほど多くの死体を出す前に
華麗に解決していたのではないかと思いながら読んでいた

所々、読者をクスッと笑わせようとするシーンが盛り込まれているため
残虐な殺人事件なのに
全体的な陰湿さは少し和らいでいる

ミステリー小説では、犯人が一番意外な人物
というところが逆にヒントになっている

最も犯人から遠いと思われる人物を念頭に置きながら読んでいたが
犯人当てクイズは外れてしまって残念

タイトルからして私の大好きなエジプト絡みかと思いきや
それに関連する手がかりは最初のほうだけで
途中から古代文字などの伏線は途切れている




【はじめに 内容抜粋メモ】
エラリー・クイーンはどんでん返しの名人
作者と同名のクイーン探偵の活躍を楽しんでください


【内容抜粋メモ】

エジプト十字架の秘密








●アロヨ町のTの字事件
ウエスト・バージニア州の小さな町アロヨの田舎道のT字路に
T字形の道しるべがあり
首なし死体がT字形にはりつけにされた事件が起きる
被害者の家のドアにはTの文字が血で書かれていた
それもクリスマスの日に

エラリー・クイーンは有名な青年探偵であり有名な推理小説化
中古のスポーツカーが愛車
NYのアパートで腕利き警部の父と住んでいる
(お父さんもとてもユーモアがある

死体を発見したのは、山小屋に住む変人ピートじいさんとオーキンスおやじ
被害者はバン校長 召使クリングも行方不明


●バンという男

検死裁判
ピートじいさんは証言するが理解不能なことばかり

地方検事:
3年前にアメリカ人となったアルメニア人
ノアの箱舟が頂上に流れ着いた伝説があり
キリストが生まれた、聖書物語の舞台も近い


クリングは孤児院育ちで、あまり頭が良くないが
人が良く、力が強い

殺人の推定時刻はイブの真夜中


●なぞの男、クロサック
イブの夜、びっこの男(本文ママ)を現場付近で見たという証言が出る

長い髪を振り乱し、手には魔法使いの棒のようなものを持ったハラークト老人が証言に立ち
自分は太陽の神だと言う
不死の霊薬と言って肝油を売っている男
杖の先の彫刻は古代エジプト王のしるしだと分かるクイーン

びっこの男はクロサックという弟子だが行方不明

クイーンはTの形をした「タウ十字架」ではないかと示唆するが
それは異教徒だと牧師が突っ込む

クイーン:
キリスト教が始まる前は、何世紀もの間、ギリシア十字架が使われていた
タウ十字架はさらに数百年昔からあるものでエジプト十字架とも呼ばれている
(そんなにたくさんの十字架があるの?!


●はりつけにされた百万長者
それから半年後、みんながアロヨ事件を忘れた頃
大学で古代史を教わったヤードリー教授から電報がくる

「ワタシノ家ノトナリノ男ガ 首ヲキラレテ ハリツケニサレタ」

早速訪ねてアイシャム地方検事、ボーン警部にも会い事件のあらましを聞く
トーテムポールにT字形に首なし死体がかかっている

ヤードリー:物事は、その起源まで遡って考えなくちゃいかん






被害者は絨毯の輸入商「ブラッド&メガラ共同商会」で百万長者のブラッド氏
メガラは何か月も前から船で世界中を旅している

東屋に血だらけのイスがあり、はりつけにする際に使ったと思われる
床にはTの文字が血で書いてある

ブラッドの手には赤のチェッカー駒が握られていた


●またしても、『太陽の神さま』が
ネプチューンが彫られたパイプも見つかる

クイーン:
角切りの刻み方は珍しい
駒が事件を照らす光になるかもしれない

教授:光の正体は、科学でもまだよく分かってないみたいだからね

入り江の向こうにまたもやハラークトが宗教活動をしていると聞いて驚く


●夫人と、支配人の話
ブラッドの屋敷を調べると、事件当夜、ブラッドは妻とヨナ支配人
その他の召使を出払わせていた

ブラッドはルーマニア生まれ
メガラはギリシア人の素人探検家


●生まれた国と、名のなぞ
クイーンは地図を広げて
ルーマニアにはブラッド、ギリシアにはメガラ
アルメニアにはバンという町がある
これらは本名かと疑う


●チェッカーのこまと、パイプ
ブラッドの書斎を調べると角切りタバコが見つかる

ブラッドはチェッカーの名人
当日も部屋で一人チェッカーをしていた形跡がある

運転手のフォックスは、家政婦と女中を車に乗せて
劇場で下ろし、その後迎えに来なかったため
アリバイを調べさせる警部


西隣りに住んでいるのはイギリスのリン夫婦
事件当夜はNYで芝居を観て、ルーズベルトホテルに泊まっていた


●オイスター島




ハラークトの後ろにはがたいのいい弟子ローメーンがいて
ブラッドは彼らを島から追い出そうとして大喧嘩した

ヤードリー教授:
20世紀の人間が古代エジプト語を自由に喋っている
ハラークトの本名はストライカーという
かつて「王家の谷」の発掘調査をしていた学者で
重い日射病で気が狂ったんだ

ハラークト:クロサックはどこかへ逃げた


●あやしいやつがおおすぎる
島の持ち主はケチャムという老人
島を借りたのはクロサックだが、手紙のやりとりだけで会ったことはない

その夜、テンプル博士はリン家に忍び込む
リン夫人:あなた、あれは、ちゃんと埋めてくれたわね? という話を聞く

翌日、クイーンがブラッド家に行くと
フォックスはNYギャングのボスに会っていた容疑で逮捕される


●教授、おおいに語る
クロサックはモンテネグロ人→ユーゴスラヴィア共和国

クイーン:
バン、ブラッド、メガラも同じ国の生まれではないか

中央ヨーロッパ、バルカン地方は迷信じみた民話の舞台です
魔人ドラキュラもいて、やはり首を切り取る話です

教授:
君の言うエジプト十字架とはアンクのことだ
エジプト古代文字で神や王位、生のしるしと言われるが
実はサンダルの紐のこと

エジプトでははりつけなどという罰はしない
生半可な物知りは大間違いをやらかすという諺があるぞ

クイーン:あまり物知りだと何の役にも立たないという名言もありますよ

メガラからブラッドの死を知り、すぐNYへ向かうという電報が来る


●パイプのたくらみ
日に焼けた逞しい男で、鋭い目がブキミなメガラ
バンの死を聞くと恐怖で顔色が紫に変わる

メガラ:
誰がブラッドを殺したか、私は知っています クロサックだ
びっこの男がクロサックだ

パイプは私のものだ
潔癖症のブラッドがオレのものを使うはずがない

クイーン:
殺人現場は書斎だ!
犯人はメガラさんが戻るまで、私たちに思い誤らせたかった


●ブラッドの書きおき
書斎をみんなで這いつくばって探すと絨毯に血のしみがあり
絨毯を回すと血のしみはチェッカー盤の下と分かる

ピアノの鍵盤で鳴らないキーがあり
クイーンの探偵七つ道具(外国にもあるのか!)で取り出すとブラッドのメモ

「私が殺されたら、バン事件を調べて欲しい
 バンは生きている 居所を知るのはメガラだけ」


●ピートじいさんの正体

クイーン:
クロサックはバンの居所を知らないため
警察のあとをつければ分かると思ったに違いない

メガラは3人は兄弟だと明かす
Tは本名のツバール兄弟のT

20年前、子どもだったクロサックに命を狙われている
私はバンが生きているのを知っていた

クイーン:
ピートじいさんがバンだ!
召使のクリングが間違われて殺されたのか


●まて、うつな! 味方だ
ピートじいさん(バン)の山小屋を訪ねる
ブラッドの本名はトミスラフ、バンはアンドレア

クイーンらはバンに警官の扮装をさせてメガラに会いに行く
クイーン:制服を着た人間は目立たなくなる


●ピートは、うまくやった
ギャングの所に来ないと、昔の罪を暴くと仲間に脅されていたフォックス
真面目に暮らすならと許されて自由の身になる

ヘレン号の船室でメガラとバンは数年ぶりに再会する

ツバール家は気性の激しい一族で
乱暴者の父と祖父はクロサック家の者を殺して母と息子だけになった

少年の行方を探偵を使って探したが姿を消した
地図から名をとって替え、商売を始めた

バンは学校が休みの時は山男ピートじいさんに化けていた

バン:
クリングが殺され、すぐにブラッドに知らせた
私はアメリカを去って遠い所に行きたい

メガラはお金を出すと言うが断るバン

大の大人が少年を怖れてそこまでするかと引っかかる地方検事

警部:
国を逃げ出す人間は、大抵、警察が怖い奴なんだが
すぐにユーゴスラヴィア警察に問い合わせましょう


●テンプル博士の災難
テンプル博士がひどく殴られていて、リンにやられたと言う
リン夫妻は行方不明

数年前、ヨーロッパ旅行の際、宝石が盗まれたのはリン夫婦の仕業
かれらはパリ、ウイーンなどでも盗みを働いていたと分かる

ヘレン号で船長が殴られ、気を失っている間に
メガラは首なし死体としてはりつけにされていた






●とうとうメガラも
船室の床に血文字がある
誰に殴られたか思い出せない船長


●チェッカーのあいての人物
ユーゴスラヴィア警察の電報で
ブラッドら3人は自国で殺人、強盗犯だと分かる

クロサックは警察に挑むかのように証拠を残していることに引っかかるクイーン

クイーン:
チェッカーは黒が有利だった
一人ではなく誰かとゲームをやっていた
2人は親しい間柄だった
クロサックはびっこではない、絶対に

クロサックはどうバンの居所を知ったのか

しまった!
メガラが殺されたということは、バンが危ない

(雨の中オープンカーを長時間走らせる様子が長く書かれている

山小屋の前にはびっこの足跡
そしてT字にはりつけにされたバンの死体がある

ヤードリー教授の走り書きで
リン夫妻は逮捕され
自分は先回りして犯人を追っているとある

ここから長い長い追跡が始まる


●二度死んだ死人
警部、地方検事が山小屋を調べると
犯人は格闘して傷を負ったのか、包帯が落ちている
青いガラス瓶にはヨードチンキが入っている

ここで突然、著者から読者への挑戦状

「犯人は誰でしょう?
 これまで読んだ中に鍵があります
 さあ、当てて御覧なさい エラリー・クイーン」


(私はクロサックが3人より若いのなら
 ローメーンくらいじゃないかと予測した


●大旅行の終点で見た顔
クロサックらしき男がホテルに泊まったと教授の置手紙を読み
ゼインズビルの警察署長に連絡

ホテルに着くと教授から
クロサックはインディアナポリスに向かったというメモを読む
教授の用意した飛行機に乗るクイーン





その先でも「クロサックはシカゴに向かった」というメモ

クイーンはシカゴ警察に連絡
ようやく一向は再会すると父もいる

父:重大犯人はシカゴから国外へ逃げるのがお決まりだ

教授:奴はロックフォードホテルにいる

ボーン警部:
ここが終点ですか?
それともアラスカまで追いかけっこしますか?(ww

クイーン:
ここが終点です
私たちはクロサックの顔を知っています

ホテルの部屋に乗り込むと、そこにいたのはバンだった
(このどんでん返しは分からなかった!


●ヨードチンキの推理

クイーン:
クロサックは父と叔父をツバール兄弟に殺され、財産を奪われた
私は山小屋で犯人の正体が分かった

ヨードチンキの青い瓶にはレッテルがないのに、なぜ分かったか
前からその中身を知っていたから

アロヨで殺されたのはクリングだと言ったのはバン
しかし、殺されたのはクロサックだった


●役にたった『エジプト十字架』

クイーン:
山小屋にはりつけにされたのはクリング

クロサックがハラークトと旅をしているのをバンが知り
クロサックをおびき寄せた
復讐のチャンスが来たとクロサックはアロヨに来た

死体をT字にしたのは、クロサックの仕業に見せかけるのと
死人が誰か分からなくするため

兄2人も殺し、最後にクリングを殺して自分に見立て
バンは国外に逃げてめでたしめでたしという計画だった


バンの自白によると、兄たちの首は湾に沈めた
他の2つは山に埋めた

クロサック家の財産、ツバール家の財産を
“まだ若いから”という理屈で分けてもらえなかったことへの恨み

ブラッドは家の者にバンらのことは秘密にしていたため
家の者を出してから招き入れ、チェッカーをしている時に殺された


今回の逃走劇で飛行機などを使った費用を
警察で負担するのは酷なため

クイーン:
事件を推理小説にしましょう
題は『エジプト十字架の秘密』です
どえらい費用は、読者が本を買って受け持ってくださいますよ


(え、私たち?! 図書館で借りちゃってごめんw
 本の値段は書いてなかったけど、当時、数百円だろうな
 元はとれただろうか?
 現実とフィクションを混ぜて、面白い試み





十四のピストルのなぞ









●むかしむかし、おにばばが
靴の形の家から黒塗りの車が出てきて
その後ろにはこう書かれている

ポッツの靴は アメリカの靴
どこで買っても 値段は同じ
3ドル99セント

ポッツ製靴株式会社の女社長コルネリアのあだ名は「けんかばあさま」

最高裁判所に来ていたクイーン探偵と父の警部は
ポッツのお抱え弁護士バクストンが歌うのを聞く

♪むかしむかし、おにばばが
靴のお城に住んでいた

あんまり子どもが多いので
雇った人に給料を
どうして払ったものかしら


これは童謡マザーグースの替え歌で、本来は

むかしむかし、おにばばが
靴のお城に住んでいた

あんまり子どもが多いので
どうして暮らしていきましょう

パンは食べずにスープですませ
ムチで叩いて 寝つかせる


(マザーグースって日本のわらべ歌みたいにどこか意味深だよね


ポッツの後ろには大勢の取り巻きがいる
長男 サーロウ 47歳
主治医 イニス博士 心臓病を患うコルネリアはもう長くないと言っている



●裁判でまた負けた
被告人はクリフスタッター
ボンゴ・クラブという酒場でサーロウをからかっただけで
泣きべそをかいて母に言いつけ、名誉毀損の裁判になった

あまりにくだらない訴訟ばかり起こすので
裁判官は訴えを退けると
それがまた名誉毀損だと訴えるコルネリア

これで37回目の裁判での負け

サーロウはピストルを買い集めて決闘すると言って去る

すっかり困り果てたバクストンはクイーンに助けを求める



●くつのお城に住んでいた
少女時代のコルネリアは大金持ちになりたいという夢を持ち
バッカス・ポッツと結婚

バッカスは歌ったりして過ごすことを好んだが
仕事に追いまくられて、工場は大会社になり
アメリカで指折りとなった

その後、バッカスは家を出て行方不明
コルネリアが社長となり、宮殿のような屋敷に住んだ

コルネリアの子どもはみんな変わっている
長男 サーロウ
長女 ルーラ 44歳 自身を大発明家と信じ込んでいる
次男 ホレイシオ 41歳 オモチャで遊んでいる

弟スチーブンと養子に迎えた3人の子どもたち
ロバート、マックリン 30歳の双子 副社長として有能
シーラ 18歳 明るい少女

スチーブンの親友 ゴッチ大佐

サーロウはピストルを14丁も買う

シーラによると、コルネリアは家ではとてもいい母だと言う


●あんまり子どもが多いので
クイーンはバクストンに招かれて屋敷の人々に会う

ルーラは干からびたように痩せていて
クイーンを発明のアイデアを盗みに来たスパイだと決めつける

ホレイシオは中庭にある夢のお城に住んでいる

夕食の席では、サーロウが『決闘の歴史』『ピストルのすべて』を読んでいる

体に悪いからと食卓にパンがないのを見て、童謡を思い出すクイーン
ルーラが研究費用を欲しいと母にせがむと
これ以上はダメと断られて泣き喚く

ロバート:このままだとサーロウのために会社が潰されてしまう

サーロウ:
俺の名誉を守るために決闘を申し込む!
本によると申し込まれたほうが武器を選ぶんだ

ロバートは仕方なくスミス・ウエッソンを選び
サーロウはコルトを取り、クイーンに介添え人を頼む


●たまは、はいっていなかったのに
決闘のルールでは弾は一発しかこめない
それを空砲と取り換えて、事件を未然に防ごうと計画するクイーンら

シーラがサーロウを図書室に誘い出し
その間にクイーンはNY警察本部に飛び
父に頼んで空砲にすり替える

サーロウはみんなをボンゴ・クラブに誘い
朝まで酒を飲み、約束の時間に靴の銅像前に来る

部屋からピストルを持って来てくれとサーロウに頼まれるクイーン
ピストルをポケットに入れる

クイーンが3つ数えて、ピストルが撃たれると
空砲にも関わらず、ロバートは射殺された

クイーン:
誰が撃ったかは分かっているが
誰が殺したかは知らない
犯人は空砲を実弾とすり替えた奴だ


●十四のピストル
決闘を見ていた警部は
サーロウが買った14丁のピストル全部を集めるよう命令する
ベリー部長は食卓に並べるが2丁だけない

警部:
ロバートが殺された理由を突き止めるのが早道だな
ばあさまが死んだら財産分けはどうなっている?

コルネリアは靴の形のベッドで寝ていて
警部から遺言書について聞かれる

コルネリア:
すべて子どもたちが平均して分けることになっているが
スチーブン、ゴッチ大佐にはびた一文やらない

その額は小国が買えるほどの大金


警部はコルネリアと、ロバートの父スチーブン
双子のマックリンを犯人から外すが
ロバートがいなければ彼が社長になれると言うクイーン

見つからない2丁は
決闘に使われたスミス・ウエッソンとコルトだと分かる


●スープとむち
サーロウとマックリンは大喧嘩して
サーロウはまた決闘を申し込み
古道具屋からピストル2丁を買う

酔って寝たサーロウの寝室からピストルを盗むクイーン
だが、マックリンは自分のベッドで心臓を撃たれて死んでいた

死後にむちで打たれたことが分かり
またマザーグースを思い出すクイーン

使われたのはスミス・ウエッソン
犯人はとても頭の鋭い奴だと推理するクイーン


●ばあさまの死
コルネリアが亡くなったと言うイニス
とりすがって泣いているのはシーラだけだった

コルネリアは遺言書を握りしめていて
葬式後に開けるためバクストンが預かる

葬式には有能な工場長のアンダーヒル氏も出席
警部ははみんなを図書室に集める

遺言書を開けようとすると小さな封筒が出て来る
「遺言書を読み、新社長を選んだら開くこと」

遺産分配の内容は以前話したとおりで
新社長を選ぶには、一族と工場長で投票することとある

サーロウは自分を新社長に推薦するが
シーラが反対し、工場長を推す

アンダーヒルは一族から出したほうがいいといったん遠慮するが
サーロウから「君は社長になれない」と言われて候補を名乗り出る

欠席者ルーラとホレイシオはサーロウに投票し
新社長はサーロウに決まる

その後、コルネリアの封筒を開けると

「私が死ねば、会社はサーロウとルーラに乱されてしまう
 私はロバートとマックリンを一緒に連れて行くことにしました
 空砲を実弾にかえたのは私です
 マックリンを殺したのも私です

みんなは去ったが、事件は少しも終わっていないと言うクイーン


●敷きうつしのサイン
警察の調べでゴッチ大佐は存在せず
クイーンは、彼こそ夫のバッカスだと明かす

コルネリアは犯人をかばって死んだと思われる
見つかっていないピストルがまだ1丁ある

告白書はタイプライターで誰でも作れる
サインを見ると、生前、広告文に書いたものとぴったり一致して
敷き写しと分かる


●みつかったコルト
ホレイシオが凧を木にかけたと登り
鳥の巣からコルトを見つける

クイーン:父さん、双子を殺した犯人が分かったとみんなに思わせてください


●手袋をした手が
夕方、図書室に集まり、サーロウが呼ばれた
鳥の巣に隠したことは知らないと言う

ベリー部長がテラスで見張りをしているはずが
暗闇から警部が現れて驚くクイーン

手袋をした手がコルトをつかみクイーンは倒れる


だれがロビンをころしたか

(この邦題を見て、『パタリロ!』の♪クックロビン音頭 を思い出した!
 元ネタはマザーグースだったのか?!

父が足を引っ張ってクイーンは転んで頭をひどく打ったが
防弾チョッキを着ていたため傷ひとつない

ベリー部長は誰かに殴られて倒れていた

コルトが空砲だと分かり

クイーン:
やっと犯人が分かりましたよ

「誰がロビン(コマドリ)を殺したか?
 僕だとスズメが言いました」


決闘の時、サーロウは実弾を込めたもう1丁のコルトをポケットに隠していた
撃った後に1丁をその場で捨ててみせ、もう1丁は鳥の巣に隠した
サーロウは空砲で僕を撃った

ボンゴ・クラブに誘ったのもサーロウ
ピストルを取りに行かせたのもサーロウ

自分が犯人でないアリバイをつくって
スミス・ウエッソンでマックリンを殺した
2人を殺したのは、自分が新社長になりたかったから

バクストン:サーロウは洋服屋に頼んでポケットを二重にした

サーロウ:よくも喋ったな! 殺してやる

サーロウはついに発狂して精神病院に入れられる

(そんなに瞬間的に狂うものかな???



●ぼくだ、と、スズメがいいました
シーラは女社長となり、実務はアンダーヒルが担当
バクストンは営業部長となり、嫌な屋敷を離れ
海岸の小ぎれいな家に引っ越すことになった

クイーンはポケットにしまったままの告白書と広告文を見て
ベリー部長を呼び、ニューヘブンに車を飛ばす

クイーン:
告白書が本物で、広告文がニセモノだと気づきました
ばあさまは家族を守るために告白書を書いた

犯人はサーロウを犯人に仕立てたかった
残るはシーラ、ルーラ、ホレイシオ
この中で新社長に近いのはシーラだ

お父さん、あなたがつかんでいる人間こそ真犯人です!

ベリー部長は商売柄、すぐにバクストンに駆け寄った


クイーン:
この事件は実に頭のいい男が考えた犯罪です
サーロウは「裏切ったな」と言ってバクストンにとびかかった

サーロウは素晴らしい殺人教師の生徒となって
言うがまま双子を殺した

バクストンは、ポッツ家のお抱え弁護士になったせいで
立派な弁護士になりそこなった
シーラを社長にして、会社を自分のものにする計画だったんだ

バクストン:
僕は疲れた
かえってホッとした
これ以上、悪いことに頭を使うことは僕には出来ない



その後、スチーブンとアンダーヒルが工場を切り盛りし
シーラはクイーンの推理小説をタイプで打っている(!




【作者と作品について 内容抜粋メモ】









エラリー・クイーン探偵は世界中で愛されているが
作者は架空の人物で、マンフレッド・リーとフレデリック・ダネイという
従妹の合作したペンネームだった(驚

2人は雑誌の懸賞推理小説の募集に当選
その時、クイーンという作者と探偵が誕生した

アメリカは、推理作家の先祖エドガー・アラン・ポーを生み出し
後にイギリスに株を取られたが
クイーン、バンダインで息を吹き返す

(ポーは推理作家なのか??? バンダインも読んでみたい

クイーンはバーナビー・ロスという名で
『Xの悲劇』『Yの悲劇』などの傑作を書いた

意外な犯人、人間味のあるユーモア
読者を誤魔化さないフェアプレーが特徴で
本格派の代表として、イギリスのクリスティーとともに
現代の推理小説界の最高峰に位置する

『十四のピストルのなぞ』の原題は『老婆がひとりいた』という
マザーグースの歌からとった



【読書の手びき 滑川道夫 内容抜粋メモ】
クイーンを読み出すと面白くて途中で止められなくなると言われる
(私はホームズのほうが時間を忘れるな

理由の1つは、読者が謎解きを迫られること
(これは彼に限らずミステリーの原則では?

最初はテンポが遅く、だんだん盛り上がり
読者の心をとらえる

犯人がなぜ犯罪をおかしたか
納得のいく説明がなされる

ちゃんと推理の材料を整えていることが読み返せば分かる
推理しながら読むのが大事


日本の有数な推理作家・甲賀三郎氏
ホームズや、ファイロ・ヴァンスは時々独り合点をするが
クイーンはけしてしない

奇怪な場面の連続で終わらせれば探偵小説は書きやすく
低級に見られても仕方ない

よい探偵小説は、常に解決の鍵を読者にゆだねておかねばならぬ
しかも、最後の勝利は作者にある



クイーンは正攻法で読者に戦いを挑む

江戸川乱歩:
クイーンと読者は剣で戦う騎士となる
作者から挑戦状を突きつけられ
読者が剣を落とすようなことがあれば
静かに拾うのを待つ騎士道を第一の信条としている







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