飯島淳秀/訳 太田大八/絵
※「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリーに追加します
「少年少女宇宙科学冒険全集9」毛利孝夫/訳
も魅力的なカバー絵だったけれども
カーリルで調べたらなかった
別のジュヴェナイルで読めたのはラッキーだった
グレイより前に宇宙人といえば火星人のタコ型を思い浮かべるのは
今作のイラストによるものか?
こんな姿の異星人が攻めてくる話を
これほどリアルに描いたら
当時の人々には相当インパクト大だったろうね
それからずっと宇宙人=侵略者ってイメージがついてしまった
映画『ジョーズ』でサメは全部人を食べるイメージがついたように
実際は地球人よりずっと意識が高く
侵略目的の宇宙人は少ないとか←都市伝説いわく
タコのような手足?でどうやってこんな精密なロケットや
戦闘機械を作ったのか終始フシギw
読後、ミルクティー飲みたいさんの動画で
タコはヒトより進化した生き物みたいな話を聞いて
なんだかそんな気がしてきた
・【都市伝説】本当の地球外生命体の姿...!?
・映画『宇宙戦争』
映画では現代版に舞台が変えられていた
場所もアメリカだったよね
今作の原題は『THE WAR OF THE WORLDS』
イギリスが侵略される話だけれども「世界」と題しているのが海外らしい
■はじめに
「宇宙人東京に現わる」という映画がありました
「インベーダー」というテレビの連続映画がありました
火星人の不気味さは怪獣どころではありません
●ねらわれていた地球
火星人はずっと地球、人間を観察、研究していた
火星が太陽から受ける光と熱は、地球の半分
空気は薄く、海も収縮して表面の1/3
火星の生物は地球より先に終わりに近づいていたため
何代にもわたり戦争の準備を重ねてきた
火星に強烈な光線が現れたのを、アメリカのリック天文台が観測したが
新聞には何も載らなかった
有名な天文学者オグルビーは、彼の天体観測所に僕を呼んでくれた
オグルビー:火星人が地球に信号を送っているなんて唱える人もいるがバカげてるよ
火星の爆発は10日間続いた
当時、人間は自分の損得しか関心がなく
宇宙のことなどてんで考えていなかった
●流星
オグルビーは流星を見て、隕石の落ちた場所を見つけようと家を出た
野原には巨大な穴ができていて、直径20mほどの円筒形をして
中から音がして、フタを開けるように回転しはじめた
荷馬車を引く男に話してもきちがい(本文ママ)だと思われ
ロンドンの新聞記者ヘンダソンに話すと
新聞社に電報を打ち、たちまち「火星の死人」の噂が広まった
●落ちてきたロケット
野原の周りには大勢がフシギな物体を眺めていた
見たことのない黄白色の金属
王室天文台のステントらの指揮で物体を掘り出す人夫
●火星人
フタが持ち上がり、みんなは人間に似たものが出てくると予想していたが
ステッキほどの触手が何本もあり
ぬるぬる光る肌、2つの大きな目が底光りしていて
吐き気をもよおすような不気味さだった
僕は夢中で逃げ出し、近くの木立に逃げこんだ
●熱線
姿は醜くとも知性をもっているに違いない
我々にも知性があると分からせようと
先頭の男がしきりに白い旗を振っていた(通じるわけないw
代表団は用心しながら進んだ
強烈な光線がひらめき、当たった人は一瞬で燃えて倒れた
木も建物も焼き尽くしてしまった
●人間の火柱
ステントらは一番近い兵営に電報を打っていた
群衆は我先に駆けだしていた
踏み殺された死体がいくつも夜道に転がっていた
●夢だったのか?
ガス工場はいつも通りの活気
あれは夢だったのか?
妻に話すとひどく不安がる
地球は火星の重力の3倍ある
だが、酸素はずっと多いためそれだけ元気づいていた
僕:
動作がとてものろいから穴から出られないはずだ
穴に大砲をぶちこめばいいのさ
●金曜日の夜
世間の多くは変わらぬ生活をしていた
ロケットの噂は笑い話でもしているみたいだ
村はずれで数件の家が燃えていた
火星人らは夜通し機械の調整をしていたらしい
少佐が行方不明になり、部隊に出動命令が出た
夏の夜空に第二のロケットが落ちてきた
●攻撃開始!
火星人は軍隊に包囲された
兵士はなぜ出動命令が出たか誰も知らされていなかった
兵士:
塹壕掘りなんてうんざりだ
首がないなんてタコそっくりじゃないか
オグルビーらが殺されたことについて
新聞にはひどく不正解な記事しか出なかった
第二のロケットが落下し、砲撃する音が聞こえた
オリエンタルカレッジの大きな屋根も崩れ落ち
僕の家の煙突まで壊れた
僕:
ここにいては危ない!
いとこがいるレザーヘッドへ行くんだ
騎兵の一段が家々を周り危険を知らせている
居酒屋の主人から馬と二輪馬車を2ポンドで借りて
主人は驚いていた
少しの貴重品を荷造りしていると
皿みたいなものをかぶったやつがはい出したと騎兵がわめいた
●あらしの夜
9時にレザーヘッドのいとこの家に着いた
主人に馬車を返すため夜中に戻る
三番目のロケットが落下した
●三本足の機械
嵐となり、稲妻が光ると、三本足の化け物がマツの木をひとまたぎにして
木々はなぎ倒されていく
関節のある金属のロープのようなものが何本も垂れ下がっている
1つが僕のほうに向かってくる
馬車が横倒しに倒れて、馬は首の骨を折ってしまった
触手から緑色の煙が吹き出し、一瞬後には消えた
「アルー! アルー!」と勝ち誇るような声を上げている
稲妻で柵に叩きつけられて死んだ居酒屋の主人が見えた
とにかく家まで戻ろうと夢中で走った
●わが家にもどって
帰宅し、ウイスキーを飲み、ずぶ濡れの服を着替えた
野原の方角は一面火災で、火星人らは何か黒い物を動かしているのが見える
住み慣れた土地に一体何が起きようとしているんだろう
1人の兵士が庭に忍び込んでいて声をかけて家に招き入れる
兵士:俺たちは全滅だ
●兵士の話
兵士:
最初のロケットに砲撃したが、後ろで爆発があり、あたりは血の海となった
気づくと黒焦げの兵隊や馬の下に倒れていた
数分後には生きている人間はいなかった
火星人が来て、慌てて煉瓦の山に隠れた
たったひと晩で辺りは焼け野原になった
戦争の歴史でこれほど無差別な破壊があっただろうか
(もっと悲惨な歴史が山ほどあるよ
●ふたたび逃げ出す
兵士:僕はロンドンに行き、砲兵隊に戻るつもりです
僕:僕は妻のいるレザーヘッドに行き、国外に行く
2人で森に入り、線路に向かった
中尉に出会い、兵士は火星人は30mほどの高さで
胴はアルミニウムのようだと話す
中尉:
我々は住民を立ち退かせるために派遣された
お前はマービン旅団長の所へ行き、報告してくれ
●避難民の群れ
慌てふためき避難する人々にでくわす
大勢の兵隊が長い土塁を築いて大砲を据えている
村人は恐ろしさを知らないため
まるでお祭り気分で浮かれているようだった
町は四輪、二輪、荷馬車などで大混乱していた
川岸も人でいっぱいでボートは何度も往復している
テムズ川のこっちは大丈夫だとたかをくくっている
●にえたぎる川
ついに戦争が始まった
爆発音がして家の窓ガラスがくだける音がした
牧草地のかなたから4つの巨大な金属機械に入った火星人がやって来て
恐るべき熱線がチャートシーの町を襲った
僕:水の中へ潜れ!
火星人はひとまたぎで川の半分を渡った
砲弾がついに火星人の顔に命中し
方向のコントロールを失い直線に進んでいく
壊れた機械から血のように赤い液体が吹き出した
川の水が空中高く吹き上げられた
別の火星人がチャートシーのほうからやって来る
僕はまた水中に潜ったが、どんどん熱くなってきた
2つの火星人が倒れている仲間にかがみこみ
残骸を抱えて牧草地のかなたへ行ってしまった
あたりはすさまじい騒音
よろけながら三角州に着き命拾いしたと気づいた
●テムズ川を下る
火星からロケットが24時間に1個ずつ次々と打ち出されていた
砲兵隊はあちこちにおびただしい陣地をこしらえた
1艘のボートを見つけ、オールがないため手で水をかいた
村のみんなは家を捨てて逃げ出したらしい
やっとウォルトンの橋が見えてきて
いつの間にか眠ってしまった
●くるった牧師
すすだらけの牧師がそばにいた
牧師:
私たちはどんな罪をおかしたというんですか
火事、地震、大勢が死にました
3年前に建て替えた教会が焼かれてしまうなんて!
牧師は恐怖のため頭が少しおかしくなっていた
牧師:世界の終わりが始まっているのだ
僕:
大きな禍がきた時に信仰をなくすようじゃ宗教は何のためにあるんですか
神さまは保険会社みたいなものになりますよ
3時間前に火星人の1人が殺されました
僕たちは北へ向かったほうがいいでしょう
ロンドンにいる医科大生の弟は、試験勉強に追われて何も知らなかった
新聞には「火星人は重力の違いで穴から出て来れないらしい」と
のんきなことを書いていた
ウォーキングからの電信が途絶えたと号外が出た
弟は火星人を見ようと僕宛てに電報を打った
駅に着くとさっぱり汽車は出ない
ウォーキング駅は完全に破壊されていた
鉄道は不通
日曜をボート遊びで過ごす行楽客を乗せた列車は
運河の水門が閉められて引き返した
●ロンドン人あわてだす
鉄道は開通したが、すべて軍隊輸送のためだった
ウェーブリッジで戦闘が始まり、ロンドンも危ないと新聞売りがわめいた
火星人がどれほど恐ろしいか、その時初めて知った
116門もの大砲が防衛地点に配置された
政府:
1個のロケットに5人乗れるとしたら全部で15人ほどだろう
民衆は落ち着いて行動するように
避難民の中に兄夫婦を探したが見つからず
ウォーキングは完全に破壊されたと聞く
●黒いガス
リージェント公園はいつもと変わりなくのんびりしていた
警官:火星人が来ます すぐ避難してください!
号外:
防衛陣地は突破された 住民皆殺し!
火星人はロケットを用いて大量の黒い毒ガスを放出し
砲兵部隊は全滅した
弟はありたけの金をポケットに入れて外に出た
●火星人の新兵器
最初の砲兵部隊は新米の志願兵で、大砲を捨てて逃げ出した
その次はよく訓練されていたため、一発当たり地上に倒れて歓声が上がった
しかし熱線を浴びて全滅した
火星人は黒い筒を発射した
●ロンドンに避難命令
毒ガスに触れたり、少しでも吸い込むとどんな生物も即死してしまう
かすは水に溶けず、それを飲んでも害はない
15m上にいると毒ガスに触れずに助かるチャンスがあった
僕たちは1軒の空き家に入った
水雷艇、駆逐艦の乗組員も上官に反して下流へ戻った
●大群衆の移動
駅はどこも群衆が押し寄せて大混乱した
弟は北西鉄道に乗ろうとしたが諦めて
自転車屋で運よく1台手に入れ
友だちが住むチェルムズフォードへ向かった
途中、3人の泥棒が2人の婦人が乗った二輪馬車を奪おうとしていて
殴って気絶させ、馬車に乗せてもらう
医師の妻:
私たちは35ポンド持っています
それだけあれば汽車に乗れるでしょう
弟:
いくらあっても汽車はダメです
ハリッジの港に出て、船でフランスかオランダに逃げる
あなた方もそうしませんか
郵便馬車、辻馬車、清掃車、運搬車、、、
どれも人や家財道具をぎっしり積んでいた
3人は丘の上の木陰で野宿した
●サンダー・チャイルド号
火星人は目的を果たすと蒸気で毒ガスの毒性を消していた
金持ちは途方もない金を出して船に乗せてもらい
金のない者は乗船を断られた
6番目のロケットはウィンブルドンに落下した(!
空腹な市民は農場の家畜小屋や穀物蔵に侵入して盗んだ
「公共補給委員会」という団体が、明日、食料を配布する口実で
弟らの乗った馬を取り上げた
弟:
明日などあてにならない すぐに海岸に向かいましょう
船の奪い合いになるかもしれない
海にはあらゆる船が群がっていた
家畜輸送船、タンカー、貨物船、、、
沖合には1艘の軍艦サンダー・チャイルド号がとまっていた
弟はベルギーへ行く船にかけあい乗船できた
船内では驚く値段だが食事もとれた
●海戦
船長は甲板が埋まるまで客を詰め込んでいた
三本足の戦闘機械が海の中まで入ってきて
サンダー・チャイルド号は火星人に体当たりして
1体が真っ二つにちぎれた
2番目の火星人に向かうと熱線を浴び
壊れた巨体が激突し、ぐしゃりと潰れた
避難民を乗せたたくさんの船はそれぞれの方向へ散った
●五番めのロケット
毒ガスは僕たちが隠れている家の前まで迫った
僕はなんとしても妻がいるレザーヘッドに行きたかった
火星人は1人ずつ人間をつまみ上げて
背中の大きな金属の箱に放り込んだ
僕らは立派な家に入り、食料室でいろんな食べ物を見つけた
すごい地響きがして家が揺れた
壁の割れ目から火星人が見えた
5番目のロケットが落下して、生き埋めになるところだった
●火星人の構造
ロケットは押し入った家のど真ん中に落ちたらしい
台所だけが偶然破壊からまぬがれた
戦闘機械はとても複雑でクモそっくり
それを操縦しているのは火星人
工作用機械と似通った姿に見えた
1m半ほどの頭 顔には鼻の穴がない
大きな目が2つ 口はくちばしのよう
16本の手で体を支えている
後で解剖により分かったのは、火星人には胃腸はない
他の生物の新鮮な生き血を血管に注射する
(生き血を吸うというのがヒトは怖いんだな
それなら火星人は母星で哺乳類でも飼っていたのか?
内臓がなく、感情の変化もない
睡眠、休息もなく動く
髪などは退化したのだろう
●人間とのちがい
火星人には病気がない
火星にバクテリアが存在しないか、科学の発達で征服したか
彼らが持ってきた種から赤いつる草が生長し繁殖力がすごい
数人の火星人が作業している間、音もなく、身振りもない
衣服は何もつけていない
機械装置の目立つ特徴は車輪を使わないこと
●生き血を吸う
牧師と僕は性質が真逆で、狭い所に閉じ込められていると
お互いイライラして、いがみ合った
食糧を何より大事にしないといけないのに
牧師はたくさん食べた
牧師ほど利己的で、ずるくて、誤魔化すのが上手い奴はいないとつくづく思った
工作機械は粘土を掘り、アルミニウムの棒を作り上げた
長い触手で中年男をつかみ、その後、ぞっとする悲鳴が起きた
●牧師の死
家に閉じ込められて6日目
牧師がワインを飲んでいたため、食料を10日もつよう割り当てたが
すきを見ては食べていた
牧師:神を信じないロンドンに呪いあれ!
と大声でわめいたため、木の棒で殴り倒した
その後、金属の触手が割れ目から伸びてきた
僕は奥の地下室に入ると、触手は牧師を引きずり出し
地下室にも入って調べたが行ってしまった
●人類はほろびた
食料室に戻ると食料はなくなっていた
15日目の朝、犬が吠えて行ってしまった
外に出ると火星人も機械も消えていた
周りの家は全壊していた
人間は長い間我が物顔に地球を支配してきたが
今は火星人が支配しているのだ
野菜畑を見つけて、タマネギなどを生で食べて空腹を満たした
赤い草は繁殖力も強いが、枯れるのも早かった
ある種のバクテリアにやられたのだろう
あたりは死の静寂
●砲兵にめぐりあう
パトニー・ヒルの旅館で過ごし
久しぶりにベッドで寝た
火星人はどこにいるのか?
火星人に征服された今、人間はネズミと変わらない下等動物になった
今まで人間がネズミをどんな酷い目に遭わせてきたが分かる気がした
小さなカエルの群れが元気よく跳ねるのを見て
たとえ1人になっても逞しく生きなければ!と思う
短剣を手にした男:ここは俺の縄張りだ
以前家に来た砲兵と再会する
彼は下水道に潜って逃げ延びた
砲兵:
火星人が飛行機を作って練習している
我々人間は負けたんだ
世界最大の強国を征服したんだ(すごいプライド/驚
頭を働かせる者だけが困難を切り抜けられるんだ
●砲兵の計画
砲兵:
火星人は人間を餌にしている
いろんなモノを作って、後から来る仲間のために準備しているんだ
これから必要なのは野獣のような逞しさだ
この辺で暮らしていたサラリーマンなど何の役に立つものか
毎日、通勤電車に遅れまいときちがいみたいに駆け出して
クビになるのが怖いからさ
俺はどんなことがあっても生きていくぞ
生きて、子どもを産んで、安全に育てられる生活を工夫しなければ
ロンドンの地下には何百mも下水道が通っている
本管は大きいし、風通しもいいから結構住めるよ
体も精神もしっかりした者だけで団体を作る
最後に俺がわざと奴らに捕まって油断した隙に
あの戦闘機械を1台でも手に入れて熱線を浴びさせる
痛快じゃないか
ついに人間は支配を取り戻すんだ!
●トランプ遊び
砲兵が下水道を掘る様子を見たら
語った夢と能力の間に隔たりがあって不安になる
2人でトランプ、チェスで遊びもしたが
妻を諦めるなんて、妻、人間への裏切りではないか
●火星人の最後
ロンドンで「ウラー ウラー」という不思議な声が鳴り響いている
火星人のフードから出ていた
工作用機械の中で火星人の軟骨が犬に食い散らされていた
3つ目の機械も身動きせず立っている
平たい形の飛行機が横たわっている
(まだUFOて言葉が生まれる前か?
タコの化け物みたいな火星人が10以上もひからびて死んでいた
バクテリアに対して抵抗力のない彼らはたちまち侵されて死んだのだ
大都会ロンドンは助かったのだ
思わず天に向かって神に感謝した
●ロンドンからわが家へ
誰かがパリへ電報を打ち、喜びのニュースは世界に広まった
食糧などの救援物資が大西洋を越えて続々送られた
帰ってきた人で賑わい、店を開いている所もある
新聞の紙面のほとんどは真っ白で記事は少なかった
わが家に戻ると、ドアはこじ開けられ、何者かが押し入っていた
人の声が聞こえて、いとこと妻が立っていた
僕は外に飛び出して、妻をしっかり抱きしめた
●終わりに
毒ガスの成分はまったく分かっていない
未知の元素があることは分かった
ある天文学者は火星人は地球侵略を諦めて
金星着陸に成功したのではないかという説を発表した
今後、我々の知らない生物が
またいきなり地球に侵入してくるかもしれない
今度の事件で、我々は目を宇宙に向ける考え方を学んだ
火星人が金星に行けるなら、人間に出来ないはずはあるまい
太陽はいつか冷却する
そうなれば地球に住めなくなる
我々は他の惑星にすみかを求めなければならないだろう
■解説 宇宙人が地球にきた?
1972年、ソ連が打ち上げた無人探測機金星8号が金星に軟着陸した
1970年に成功して以来2度目
火星の生物存在説が唱えられだしたのは
アメリカのマリナー9号などが火星の周りをまわり
新しい知識を得たから
火星には昔、海があったという人も出た
火星の「チトヌスの湖」の写真がある
これからは生物を探す段階とも言われている
「火星人の人工衛星」説
火星には2つの小さな衛星がある ファボスとダイナモス
18Cの『ガリバー旅行記』を書いたスイフトは
古い文献を調べていて2つの惑星を知ったと書いている
ソ連の天文学者イオシフ・シュクロフスキー:
ファボスは何百万年も前に高度な文化を持つ火星人が作った人工衛星で中は空っぽ
天文学者サガン、科学ジャーナリストのレオナード:
ずっと昔に進化し、文化の最盛期にたどり着いたという想像は
作家の空想と決めつけることは出来ない
「宇宙人の原爆?」
ずっと昔、宇宙人が地球に来ていたという説もある
古代の伝説や記録、遺跡を調べると不可解な謎がある
古代インドの戦争叙事詩『マハーバーラタ』には
原爆とも思えるような兵器のことが描かれている
これは南アメリカやアイルランドでも用いられた形跡があるそう
ハッティ王国では、原因不明の非常な高温で滅び去ったことが
廃墟の発掘で分かった
「宇宙人の空飛ぶ円盤?」
古代インド、アイルランドの伝説、神話には
今の月ロケット、衛星船、飛行機を思わせるものが出ている
空飛ぶ円盤を見た人は日本にもいる
13C、修道院の記録
17C、フランスの記録にも書かれている
「作者と作品」
ウェルズの父は瀬戸物店経営者
ウェルズはロンドンの理科師範学校で
有名な生物学者ハックスリーの教えを受けた
20歳の時に結核にかかり、療養生活をしている間に小説を書いた
彼は社会の改革を考え、「世界政府」という理想社会を唱えた
晩年は悲観的になり、第二次世界大戦の原爆使用を知り
希望をなくし、80歳で死去した
※「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリーに追加します
「少年少女宇宙科学冒険全集9」毛利孝夫/訳
も魅力的なカバー絵だったけれども
カーリルで調べたらなかった
別のジュヴェナイルで読めたのはラッキーだった
グレイより前に宇宙人といえば火星人のタコ型を思い浮かべるのは
今作のイラストによるものか?
こんな姿の異星人が攻めてくる話を
これほどリアルに描いたら
当時の人々には相当インパクト大だったろうね
それからずっと宇宙人=侵略者ってイメージがついてしまった
映画『ジョーズ』でサメは全部人を食べるイメージがついたように
実際は地球人よりずっと意識が高く
侵略目的の宇宙人は少ないとか←都市伝説いわく
タコのような手足?でどうやってこんな精密なロケットや
戦闘機械を作ったのか終始フシギw
読後、ミルクティー飲みたいさんの動画で
タコはヒトより進化した生き物みたいな話を聞いて
なんだかそんな気がしてきた
・【都市伝説】本当の地球外生命体の姿...!?
・映画『宇宙戦争』
映画では現代版に舞台が変えられていた
場所もアメリカだったよね
今作の原題は『THE WAR OF THE WORLDS』
イギリスが侵略される話だけれども「世界」と題しているのが海外らしい
■はじめに
「宇宙人東京に現わる」という映画がありました
「インベーダー」というテレビの連続映画がありました
火星人の不気味さは怪獣どころではありません
●ねらわれていた地球
火星人はずっと地球、人間を観察、研究していた
火星が太陽から受ける光と熱は、地球の半分
空気は薄く、海も収縮して表面の1/3
火星の生物は地球より先に終わりに近づいていたため
何代にもわたり戦争の準備を重ねてきた
火星に強烈な光線が現れたのを、アメリカのリック天文台が観測したが
新聞には何も載らなかった
有名な天文学者オグルビーは、彼の天体観測所に僕を呼んでくれた
オグルビー:火星人が地球に信号を送っているなんて唱える人もいるがバカげてるよ
火星の爆発は10日間続いた
当時、人間は自分の損得しか関心がなく
宇宙のことなどてんで考えていなかった
●流星
オグルビーは流星を見て、隕石の落ちた場所を見つけようと家を出た
野原には巨大な穴ができていて、直径20mほどの円筒形をして
中から音がして、フタを開けるように回転しはじめた
荷馬車を引く男に話してもきちがい(本文ママ)だと思われ
ロンドンの新聞記者ヘンダソンに話すと
新聞社に電報を打ち、たちまち「火星の死人」の噂が広まった
●落ちてきたロケット
野原の周りには大勢がフシギな物体を眺めていた
見たことのない黄白色の金属
王室天文台のステントらの指揮で物体を掘り出す人夫
●火星人
フタが持ち上がり、みんなは人間に似たものが出てくると予想していたが
ステッキほどの触手が何本もあり
ぬるぬる光る肌、2つの大きな目が底光りしていて
吐き気をもよおすような不気味さだった
僕は夢中で逃げ出し、近くの木立に逃げこんだ
●熱線
姿は醜くとも知性をもっているに違いない
我々にも知性があると分からせようと
先頭の男がしきりに白い旗を振っていた(通じるわけないw
代表団は用心しながら進んだ
強烈な光線がひらめき、当たった人は一瞬で燃えて倒れた
木も建物も焼き尽くしてしまった
●人間の火柱
ステントらは一番近い兵営に電報を打っていた
群衆は我先に駆けだしていた
踏み殺された死体がいくつも夜道に転がっていた
●夢だったのか?
ガス工場はいつも通りの活気
あれは夢だったのか?
妻に話すとひどく不安がる
地球は火星の重力の3倍ある
だが、酸素はずっと多いためそれだけ元気づいていた
僕:
動作がとてものろいから穴から出られないはずだ
穴に大砲をぶちこめばいいのさ
●金曜日の夜
世間の多くは変わらぬ生活をしていた
ロケットの噂は笑い話でもしているみたいだ
村はずれで数件の家が燃えていた
火星人らは夜通し機械の調整をしていたらしい
少佐が行方不明になり、部隊に出動命令が出た
夏の夜空に第二のロケットが落ちてきた
●攻撃開始!
火星人は軍隊に包囲された
兵士はなぜ出動命令が出たか誰も知らされていなかった
兵士:
塹壕掘りなんてうんざりだ
首がないなんてタコそっくりじゃないか
オグルビーらが殺されたことについて
新聞にはひどく不正解な記事しか出なかった
第二のロケットが落下し、砲撃する音が聞こえた
オリエンタルカレッジの大きな屋根も崩れ落ち
僕の家の煙突まで壊れた
僕:
ここにいては危ない!
いとこがいるレザーヘッドへ行くんだ
騎兵の一段が家々を周り危険を知らせている
居酒屋の主人から馬と二輪馬車を2ポンドで借りて
主人は驚いていた
少しの貴重品を荷造りしていると
皿みたいなものをかぶったやつがはい出したと騎兵がわめいた
●あらしの夜
9時にレザーヘッドのいとこの家に着いた
主人に馬車を返すため夜中に戻る
三番目のロケットが落下した
●三本足の機械
嵐となり、稲妻が光ると、三本足の化け物がマツの木をひとまたぎにして
木々はなぎ倒されていく
関節のある金属のロープのようなものが何本も垂れ下がっている
1つが僕のほうに向かってくる
馬車が横倒しに倒れて、馬は首の骨を折ってしまった
触手から緑色の煙が吹き出し、一瞬後には消えた
「アルー! アルー!」と勝ち誇るような声を上げている
稲妻で柵に叩きつけられて死んだ居酒屋の主人が見えた
とにかく家まで戻ろうと夢中で走った
●わが家にもどって
帰宅し、ウイスキーを飲み、ずぶ濡れの服を着替えた
野原の方角は一面火災で、火星人らは何か黒い物を動かしているのが見える
住み慣れた土地に一体何が起きようとしているんだろう
1人の兵士が庭に忍び込んでいて声をかけて家に招き入れる
兵士:俺たちは全滅だ
●兵士の話
兵士:
最初のロケットに砲撃したが、後ろで爆発があり、あたりは血の海となった
気づくと黒焦げの兵隊や馬の下に倒れていた
数分後には生きている人間はいなかった
火星人が来て、慌てて煉瓦の山に隠れた
たったひと晩で辺りは焼け野原になった
戦争の歴史でこれほど無差別な破壊があっただろうか
(もっと悲惨な歴史が山ほどあるよ
●ふたたび逃げ出す
兵士:僕はロンドンに行き、砲兵隊に戻るつもりです
僕:僕は妻のいるレザーヘッドに行き、国外に行く
2人で森に入り、線路に向かった
中尉に出会い、兵士は火星人は30mほどの高さで
胴はアルミニウムのようだと話す
中尉:
我々は住民を立ち退かせるために派遣された
お前はマービン旅団長の所へ行き、報告してくれ
●避難民の群れ
慌てふためき避難する人々にでくわす
大勢の兵隊が長い土塁を築いて大砲を据えている
村人は恐ろしさを知らないため
まるでお祭り気分で浮かれているようだった
町は四輪、二輪、荷馬車などで大混乱していた
川岸も人でいっぱいでボートは何度も往復している
テムズ川のこっちは大丈夫だとたかをくくっている
●にえたぎる川
ついに戦争が始まった
爆発音がして家の窓ガラスがくだける音がした
牧草地のかなたから4つの巨大な金属機械に入った火星人がやって来て
恐るべき熱線がチャートシーの町を襲った
僕:水の中へ潜れ!
火星人はひとまたぎで川の半分を渡った
砲弾がついに火星人の顔に命中し
方向のコントロールを失い直線に進んでいく
壊れた機械から血のように赤い液体が吹き出した
川の水が空中高く吹き上げられた
別の火星人がチャートシーのほうからやって来る
僕はまた水中に潜ったが、どんどん熱くなってきた
2つの火星人が倒れている仲間にかがみこみ
残骸を抱えて牧草地のかなたへ行ってしまった
あたりはすさまじい騒音
よろけながら三角州に着き命拾いしたと気づいた
●テムズ川を下る
火星からロケットが24時間に1個ずつ次々と打ち出されていた
砲兵隊はあちこちにおびただしい陣地をこしらえた
1艘のボートを見つけ、オールがないため手で水をかいた
村のみんなは家を捨てて逃げ出したらしい
やっとウォルトンの橋が見えてきて
いつの間にか眠ってしまった
●くるった牧師
すすだらけの牧師がそばにいた
牧師:
私たちはどんな罪をおかしたというんですか
火事、地震、大勢が死にました
3年前に建て替えた教会が焼かれてしまうなんて!
牧師は恐怖のため頭が少しおかしくなっていた
牧師:世界の終わりが始まっているのだ
僕:
大きな禍がきた時に信仰をなくすようじゃ宗教は何のためにあるんですか
神さまは保険会社みたいなものになりますよ
3時間前に火星人の1人が殺されました
僕たちは北へ向かったほうがいいでしょう
ロンドンにいる医科大生の弟は、試験勉強に追われて何も知らなかった
新聞には「火星人は重力の違いで穴から出て来れないらしい」と
のんきなことを書いていた
ウォーキングからの電信が途絶えたと号外が出た
弟は火星人を見ようと僕宛てに電報を打った
駅に着くとさっぱり汽車は出ない
ウォーキング駅は完全に破壊されていた
鉄道は不通
日曜をボート遊びで過ごす行楽客を乗せた列車は
運河の水門が閉められて引き返した
●ロンドン人あわてだす
鉄道は開通したが、すべて軍隊輸送のためだった
ウェーブリッジで戦闘が始まり、ロンドンも危ないと新聞売りがわめいた
火星人がどれほど恐ろしいか、その時初めて知った
116門もの大砲が防衛地点に配置された
政府:
1個のロケットに5人乗れるとしたら全部で15人ほどだろう
民衆は落ち着いて行動するように
避難民の中に兄夫婦を探したが見つからず
ウォーキングは完全に破壊されたと聞く
●黒いガス
リージェント公園はいつもと変わりなくのんびりしていた
警官:火星人が来ます すぐ避難してください!
号外:
防衛陣地は突破された 住民皆殺し!
火星人はロケットを用いて大量の黒い毒ガスを放出し
砲兵部隊は全滅した
弟はありたけの金をポケットに入れて外に出た
●火星人の新兵器
最初の砲兵部隊は新米の志願兵で、大砲を捨てて逃げ出した
その次はよく訓練されていたため、一発当たり地上に倒れて歓声が上がった
しかし熱線を浴びて全滅した
火星人は黒い筒を発射した
●ロンドンに避難命令
毒ガスに触れたり、少しでも吸い込むとどんな生物も即死してしまう
かすは水に溶けず、それを飲んでも害はない
15m上にいると毒ガスに触れずに助かるチャンスがあった
僕たちは1軒の空き家に入った
水雷艇、駆逐艦の乗組員も上官に反して下流へ戻った
●大群衆の移動
駅はどこも群衆が押し寄せて大混乱した
弟は北西鉄道に乗ろうとしたが諦めて
自転車屋で運よく1台手に入れ
友だちが住むチェルムズフォードへ向かった
途中、3人の泥棒が2人の婦人が乗った二輪馬車を奪おうとしていて
殴って気絶させ、馬車に乗せてもらう
医師の妻:
私たちは35ポンド持っています
それだけあれば汽車に乗れるでしょう
弟:
いくらあっても汽車はダメです
ハリッジの港に出て、船でフランスかオランダに逃げる
あなた方もそうしませんか
郵便馬車、辻馬車、清掃車、運搬車、、、
どれも人や家財道具をぎっしり積んでいた
3人は丘の上の木陰で野宿した
●サンダー・チャイルド号
火星人は目的を果たすと蒸気で毒ガスの毒性を消していた
金持ちは途方もない金を出して船に乗せてもらい
金のない者は乗船を断られた
6番目のロケットはウィンブルドンに落下した(!
空腹な市民は農場の家畜小屋や穀物蔵に侵入して盗んだ
「公共補給委員会」という団体が、明日、食料を配布する口実で
弟らの乗った馬を取り上げた
弟:
明日などあてにならない すぐに海岸に向かいましょう
船の奪い合いになるかもしれない
海にはあらゆる船が群がっていた
家畜輸送船、タンカー、貨物船、、、
沖合には1艘の軍艦サンダー・チャイルド号がとまっていた
弟はベルギーへ行く船にかけあい乗船できた
船内では驚く値段だが食事もとれた
●海戦
船長は甲板が埋まるまで客を詰め込んでいた
三本足の戦闘機械が海の中まで入ってきて
サンダー・チャイルド号は火星人に体当たりして
1体が真っ二つにちぎれた
2番目の火星人に向かうと熱線を浴び
壊れた巨体が激突し、ぐしゃりと潰れた
避難民を乗せたたくさんの船はそれぞれの方向へ散った
●五番めのロケット
毒ガスは僕たちが隠れている家の前まで迫った
僕はなんとしても妻がいるレザーヘッドに行きたかった
火星人は1人ずつ人間をつまみ上げて
背中の大きな金属の箱に放り込んだ
僕らは立派な家に入り、食料室でいろんな食べ物を見つけた
すごい地響きがして家が揺れた
壁の割れ目から火星人が見えた
5番目のロケットが落下して、生き埋めになるところだった
●火星人の構造
ロケットは押し入った家のど真ん中に落ちたらしい
台所だけが偶然破壊からまぬがれた
戦闘機械はとても複雑でクモそっくり
それを操縦しているのは火星人
工作用機械と似通った姿に見えた
1m半ほどの頭 顔には鼻の穴がない
大きな目が2つ 口はくちばしのよう
16本の手で体を支えている
後で解剖により分かったのは、火星人には胃腸はない
他の生物の新鮮な生き血を血管に注射する
(生き血を吸うというのがヒトは怖いんだな
それなら火星人は母星で哺乳類でも飼っていたのか?
内臓がなく、感情の変化もない
睡眠、休息もなく動く
髪などは退化したのだろう
●人間とのちがい
火星人には病気がない
火星にバクテリアが存在しないか、科学の発達で征服したか
彼らが持ってきた種から赤いつる草が生長し繁殖力がすごい
数人の火星人が作業している間、音もなく、身振りもない
衣服は何もつけていない
機械装置の目立つ特徴は車輪を使わないこと
●生き血を吸う
牧師と僕は性質が真逆で、狭い所に閉じ込められていると
お互いイライラして、いがみ合った
食糧を何より大事にしないといけないのに
牧師はたくさん食べた
牧師ほど利己的で、ずるくて、誤魔化すのが上手い奴はいないとつくづく思った
工作機械は粘土を掘り、アルミニウムの棒を作り上げた
長い触手で中年男をつかみ、その後、ぞっとする悲鳴が起きた
●牧師の死
家に閉じ込められて6日目
牧師がワインを飲んでいたため、食料を10日もつよう割り当てたが
すきを見ては食べていた
牧師:神を信じないロンドンに呪いあれ!
と大声でわめいたため、木の棒で殴り倒した
その後、金属の触手が割れ目から伸びてきた
僕は奥の地下室に入ると、触手は牧師を引きずり出し
地下室にも入って調べたが行ってしまった
●人類はほろびた
食料室に戻ると食料はなくなっていた
15日目の朝、犬が吠えて行ってしまった
外に出ると火星人も機械も消えていた
周りの家は全壊していた
人間は長い間我が物顔に地球を支配してきたが
今は火星人が支配しているのだ
野菜畑を見つけて、タマネギなどを生で食べて空腹を満たした
赤い草は繁殖力も強いが、枯れるのも早かった
ある種のバクテリアにやられたのだろう
あたりは死の静寂
●砲兵にめぐりあう
パトニー・ヒルの旅館で過ごし
久しぶりにベッドで寝た
火星人はどこにいるのか?
火星人に征服された今、人間はネズミと変わらない下等動物になった
今まで人間がネズミをどんな酷い目に遭わせてきたが分かる気がした
小さなカエルの群れが元気よく跳ねるのを見て
たとえ1人になっても逞しく生きなければ!と思う
短剣を手にした男:ここは俺の縄張りだ
以前家に来た砲兵と再会する
彼は下水道に潜って逃げ延びた
砲兵:
火星人が飛行機を作って練習している
我々人間は負けたんだ
世界最大の強国を征服したんだ(すごいプライド/驚
頭を働かせる者だけが困難を切り抜けられるんだ
●砲兵の計画
砲兵:
火星人は人間を餌にしている
いろんなモノを作って、後から来る仲間のために準備しているんだ
これから必要なのは野獣のような逞しさだ
この辺で暮らしていたサラリーマンなど何の役に立つものか
毎日、通勤電車に遅れまいときちがいみたいに駆け出して
クビになるのが怖いからさ
俺はどんなことがあっても生きていくぞ
生きて、子どもを産んで、安全に育てられる生活を工夫しなければ
ロンドンの地下には何百mも下水道が通っている
本管は大きいし、風通しもいいから結構住めるよ
体も精神もしっかりした者だけで団体を作る
最後に俺がわざと奴らに捕まって油断した隙に
あの戦闘機械を1台でも手に入れて熱線を浴びさせる
痛快じゃないか
ついに人間は支配を取り戻すんだ!
●トランプ遊び
砲兵が下水道を掘る様子を見たら
語った夢と能力の間に隔たりがあって不安になる
2人でトランプ、チェスで遊びもしたが
妻を諦めるなんて、妻、人間への裏切りではないか
●火星人の最後
ロンドンで「ウラー ウラー」という不思議な声が鳴り響いている
火星人のフードから出ていた
工作用機械の中で火星人の軟骨が犬に食い散らされていた
3つ目の機械も身動きせず立っている
平たい形の飛行機が横たわっている
(まだUFOて言葉が生まれる前か?
タコの化け物みたいな火星人が10以上もひからびて死んでいた
バクテリアに対して抵抗力のない彼らはたちまち侵されて死んだのだ
大都会ロンドンは助かったのだ
思わず天に向かって神に感謝した
●ロンドンからわが家へ
誰かがパリへ電報を打ち、喜びのニュースは世界に広まった
食糧などの救援物資が大西洋を越えて続々送られた
帰ってきた人で賑わい、店を開いている所もある
新聞の紙面のほとんどは真っ白で記事は少なかった
わが家に戻ると、ドアはこじ開けられ、何者かが押し入っていた
人の声が聞こえて、いとこと妻が立っていた
僕は外に飛び出して、妻をしっかり抱きしめた
●終わりに
毒ガスの成分はまったく分かっていない
未知の元素があることは分かった
ある天文学者は火星人は地球侵略を諦めて
金星着陸に成功したのではないかという説を発表した
今後、我々の知らない生物が
またいきなり地球に侵入してくるかもしれない
今度の事件で、我々は目を宇宙に向ける考え方を学んだ
火星人が金星に行けるなら、人間に出来ないはずはあるまい
太陽はいつか冷却する
そうなれば地球に住めなくなる
我々は他の惑星にすみかを求めなければならないだろう
■解説 宇宙人が地球にきた?
1972年、ソ連が打ち上げた無人探測機金星8号が金星に軟着陸した
1970年に成功して以来2度目
火星の生物存在説が唱えられだしたのは
アメリカのマリナー9号などが火星の周りをまわり
新しい知識を得たから
火星には昔、海があったという人も出た
火星の「チトヌスの湖」の写真がある
これからは生物を探す段階とも言われている
「火星人の人工衛星」説
火星には2つの小さな衛星がある ファボスとダイナモス
18Cの『ガリバー旅行記』を書いたスイフトは
古い文献を調べていて2つの惑星を知ったと書いている
ソ連の天文学者イオシフ・シュクロフスキー:
ファボスは何百万年も前に高度な文化を持つ火星人が作った人工衛星で中は空っぽ
天文学者サガン、科学ジャーナリストのレオナード:
ずっと昔に進化し、文化の最盛期にたどり着いたという想像は
作家の空想と決めつけることは出来ない
「宇宙人の原爆?」
ずっと昔、宇宙人が地球に来ていたという説もある
古代の伝説や記録、遺跡を調べると不可解な謎がある
古代インドの戦争叙事詩『マハーバーラタ』には
原爆とも思えるような兵器のことが描かれている
これは南アメリカやアイルランドでも用いられた形跡があるそう
ハッティ王国では、原因不明の非常な高温で滅び去ったことが
廃墟の発掘で分かった
「宇宙人の空飛ぶ円盤?」
古代インド、アイルランドの伝説、神話には
今の月ロケット、衛星船、飛行機を思わせるものが出ている
空飛ぶ円盤を見た人は日本にもいる
13C、修道院の記録
17C、フランスの記録にも書かれている
「作者と作品」
ウェルズの父は瀬戸物店経営者
ウェルズはロンドンの理科師範学校で
有名な生物学者ハックスリーの教えを受けた
20歳の時に結核にかかり、療養生活をしている間に小説を書いた
彼は社会の改革を考え、「世界政府」という理想社会を唱えた
晩年は悲観的になり、第二次世界大戦の原爆使用を知り
希望をなくし、80歳で死去した