江口清/訳 1992年21版
※「作家別」カテゴリー内の「ジュール・ヴェルヌ」に追加します
前回読んだ『月世界旅行』 の続編
月に向かって飛び立ったロケットのその後の話だが
これもジュブナイルはなく、単行本で文字が小さく
挿絵が1枚もないのは残念
ヴェルヌの知識が惜しみなく書かれている
それは、彼の時代までヒトが粘り強く観察し
計算してきたことの総合の域を超えていないのも残念
他のヴェルヌ作品のハラハラドキドキ感が少なく
2人の学者による科学的見解と作者の説明が主
『月世界旅行』ではマストンの異様な興奮っぷりに時々笑ったけれども
今作で若干道化者を演じるフランス人のミシェル・アルダンですら
砲弾の中では少しオシャレな空想家というだけで笑いも少ないため
あとがきも含めて全255pを読むのに1ページごとに苦労した
これが書かれた1869年には違ったのかもしれない
毎日見上げる月にヒトが行くという発想
その行程の1つ1つが一般読者にとって興味が尽きない読み物だったかも
今では子どもでもテレビやネットで月の様子がかなり近くから見られるから
ここに事細かに描かれている数字が分からなくてもなんとなく想像できる
幾何学の数式まで出てきた時には
ヴェルヌが本書を誰向けに書いたのだろう?とフシギに思ったほど
これは実在する式なのか?
それでも、ドラマも映画も同様、本も一度読み始めたものは
最後の結末まで知りたい私は、途中の数字や説明文は半ば飛ばすように読んで
おおまかな筋だけを追うことにした
一番フシギなのは、砲弾の中では地球→月の引力が働いて
3人は常に地に足を向けて立っていられたこと
無重力までは想像が及ばなかったか
SF が空想科学小説と言われるように
跳躍したストーリーにワクワクするけれども
ヴェルヌの場合は自らの豊富な科学知識に基づいて
その延長線上になるべく現実的な未来の機械などを描写するため
ウェルズのような飛躍感がこの月旅行には感じられなかった
月観察の記録も当時の知られていた情報を越えなかったのも物足りなく感じる
全体的に測量や知識の情報ばかりで
今となっては退屈な文章だと思っていたが
あとがきを読んで訳者による文章の訳し方にもよるのかもしれないという気がした
持って回ったような難しい言葉を使って表現していて
それも小説の翻訳に反映していたのでは?
訳者は前編は退屈だと言うが
私はどちらかと言うと前編のほうが
いろんな誇張した展開が多く盛り込まれていて面白かった
月の衛星になりそうというあたりから
なぜ後ろに設置した爆弾を使わないのか気になっていたけれども
それは月に落下する際ショックをやわらげるために
とっておく必要があったからかと思っていたら
うっかり忘れていたって/驚
そこからは急展開して、もう地球に落下して
3人は月に着かなかったにも関わらず
出発と同様かそれ以上の拍手喝采を浴びる大団円
出発したのもアメリカなら
落下したのもサンフランシスコのそばって
偶然とは思えないプライドが感じられる
それを成し遂げたのがアングロサクソン系で
ミッシェルの第一声が「白人だ!」って言うセリフにもそれが感じられる
その前に読んだウェルズの月旅行のジュブナイルでも
やけに早く着いてびっくりしたけれども
実際調べてみたら、アポロも1週間弱で月に着いたと知ってびっくりした
それもエネルギーをなるべく抑えて軌道に乗った日数であり
直線距離だったら3時間ちょいって!
新幹線で京都あたりに行く感覚で行けるじゃん
・アポロ11号はどれくらいの時間で地球から月まで行って、どれくらいかかって... - Yahoo!知恵袋
・アポロ宇宙船は月まで行くのに、なぜ4日もかかったのでしょうか?ロケット... - Yahoo!知恵袋
・なぜ月面着陸はテレビ中継できたのか?アポロ計画の天と地を結ぶ地上局 | 宙畑
軍事費を全部テクノロジーにあてたら
ロケットで普通に月旅行することも今頃は実現していただろうに
そうしないのには別の理由があるからではないかと都市伝説系の推理をしてみた
やっぱり月の内部または裏側に高度な科学力を持つ生命体がいるとか!
【内容抜粋メモ】
■序章
砲弾は月の引力に引かれて運行し
月の衛星になった(ここでもう結末が出ている?!
彼らはどうして帰れるだろうか?
●午後十時二十分より十時四十七分
ミシェル:
こうなったら自分の家にいる気で
新しい住居を住みよくして気楽にやることです
マッチでガス灯(!)をともすと、まるで旅行する牢獄だとぼやくミシェル
その後、恐ろしい衝撃が起きて、ロケット弾は宇宙空間に飛び出した
●最初の三十分
バービケーンの考えた水のクッションが効いて
内部は異状なく、大事なものは無傷だったが
3人はひどく投げ出された
砲弾内はひどく暑く、45度
打ち上げに使ったコロンビヤード砲の
砲声が聞こえなかったのが謎として残る
昇降口のフタをさげ、4つの舷窓から外を観察すると
深い闇が包み、星を見ると万歳と叫ぶ3人
針路が合っているかどうかが気になるミシェル
大きく輝く円盤(!)を見るが流星と推理する
もし衝突したら終わりだが、なんとか免れる
一方通行の旅のため、見納めに地球を眺めると
銀色の三日月に見える(青くないのか?
ニコールは、発射のほうが音より速かったために砲弾音が聞こえなかったと分かる
●落ちつく場所
眠るのに、ここより静かで穏やかな環境があるだろうか?
(まさに! でも1人でもいびきをかく人がいたら最悪だけど/苦笑→あとで分かる
砲弾の中で3人がトイレに行く描写が1度も描かれていないのも妙な話
2匹の犬のうち、ディアーヌは荷物の下から出て来た
ミシェル:
“はじめに神は人間を創り給うた
そして彼がかくも弱いのをみて、神は彼に犬を与え給うた”
というトゥスネルの言葉を引用する
(猫派は異論があるだろうねw
ヒトを男性としているところに女性蔑視もあるし
サテリットは、激しい衝撃で頭部が砕かれていた
(ライカ犬を思い出させる/涙 なんとヒトは残酷で勝手な生き物だろう
犬の描写が出てくるのはここいらだけで、まるで3人は動物のことなど忘れている
ミシェル:
我々は新しい世界に住んでいる
我々以外に人類はない 我々は同類だ
彼は料理人になり、その後も3人分の食事を作る
牛のブイヨン、ビフテキ(!)、ワインなどで舌鼓を打つ
ミシェル:
このアルミニウムの上に腐蝕土を広げれば
グリンピースを芽生えさえることもできるだろう
3人はまず水、食料の箱の安全を確かめた
月には川や泉があるはずだから、最初の年は大丈夫だろう
酸素を作る機械、二酸化炭素(訳では炭酸ガス)を浄化する機械もある
ほかにも羅針盤、六分儀、望遠鏡、ピッケル、つるはしなど
あらゆる道具がコンパクトに詰め込まれているが
3人が動き回るには十分なスペースもある
バービケーンは克明に旅行記を書くと決める
●代数学をちょっぴり
砲弾の底部は昼、上部は夜
非常な速さで動いているのに、まるで止まったような感覚になるのは
周りに対象物がないせい
(ヒトがロケットを打ち上げる前は宇宙ゴミもないか
ミシェルはつがいの鶏も持ち込んで、月に放って2人を驚かせようと企んでいたが
途中で大声で鳴いてバレてしまうw
ロケットの最初の速度が知りたいと聞くと
バービケーンは長い式を見せて、余計に混乱する
2人の科学者の会話をミシェルは冗談と芸術的に言い換える
バービケーンは計算して初めて摩擦で速度が1/3落ちることに気づき
地球と月の引力の中立点まで行けないと予測し、ガッカリする3人
(こんなにいろいろ計算したのに、そんなウッカリがあるかな?
●空間の冷却
出発から32時間経過し、行程の半分以上が過ぎた(速っ!
ロケットは月に着陸出来ないと言うバービケーン
それを覆して、大丈夫なことを証明するニコール
前途には小石すらない
安心したミシェルは、退屈を紛らわせるために荷物に入れた
将棋、碁(チェスじゃなくて?!)、トランプなどを出して
2人を驚かせる
バービケーン:
もし月に生物がいれば、地球より数千年は進歩しているだろう
彼らは我々から学ぶことはない 我々のほうが学ぶべきだ
ミシェルはなぜ地球と郵便のように連絡が取れないかと尋ねる
こうして科学には疎い冒険家のミシェルが2人に質問することで
様々な現象や知識などが文中で語られる
月の引力は地球の1/6だから、月から飛ばすなら1/10の力で済むと話す
バービケーン:
何千年も前、地上に人類が出現する前にそれは成されただろう
我々より賢い月世界の人たちは火薬を発明しなかったんだ
(月のほうが文明が進み、地球にも何かしら影響を及ぼしたに違いなく
その文明はとっくに滅んだという説は今の都市伝説っぽくて面白い
ミシェル:
この砲弾を第二のノアの箱舟のようにして
あらゆる家畜を1組ずつ持って行くべきだった
ロバを連れ込むことくらいは出来たろうに
気づくと頭を打って瀕死で寝ていたサテリットが死んでいることに気づく↓↓↓
死体をこのままにはしておけないから、宇宙空間に投げ出そうとする
砲弾は酸素しか作らないから、窓を開けた時になるべくその成分を漏らさないようにして
空気のない所は熱も散光もないから暗くて冷たいため
外部の寒気を取り込まないようすみやかに行わなければならない
ミシェル:1861年に地球が彗星の尾を通った
宇宙は空気がない絶対の真空
そこにはエーテル(?)があるだけ
エーテルとは重さのない原子の集まり と説明するバービケーン
サテリットは窓から外に投げ出される
●質疑応答
すでに道のりの7/10に達する
ミシェルは思いつくままに2人の学者に質問し、明解に答える
もし流星に衝突したら粉々になるだろう
熱は分子の運動にすぎない
もし地球が公転を止めたら、すぐ蒸発するくらい沸騰する
大気に包まれていることがどれほどラッキーか知るミシェル
月では昼と夜が360時間続く
月から地球が昇るのが見たいというミシェル(それも映像で見たことある
彗星にあるガス状の痕がないため
月は地球の引力に捕らえられた隕石という説は怪しい
(地球に隕石が衝突した時のかけら説もあるよね
窓から外を見ると、何かが砲弾と並行して進んでいるのが見える
宇宙に投げ入れたモノは埃でも鉛でも同じ速度になる
ミシェル:役立つモノを詰め込んで、投げ出せば、一緒に月に着いたのに
それは投げ出したサテリットの変わり果てた姿だと分かる(なんてことだよ・・・
●陶酔の時間
ロケットの速度が徐々に落ちていることに気づかない3人
その日の零時には月に着くはずだが、まだ距離があり
軌道がわずかにそれていた
ミシェルは前祝にワインを出す
彼はぶどうの株も何本か荷物に入れていた
3人は砲弾の生活で太り始めていた
ミシェル:外を散歩出来ないのは残念だ
バービケーン:潜水服を着ていても、体内の空気が膨張して破裂してしまうよ
ニコール:我々はどう地球に戻るんだね?
バービケーン:そんなこと全然知らないね
ミシェル:それが分かっていたら僕は行かなかった
バービケーン:
月にコロンビヤード砲がないなら造ればいい
地球の同僚に連絡するのも隕石を使えば難しいことじゃない(?
ミシェル:電報のやり取りも出来たろうに
バービケーン:
我々が戻らなかったら、マストンが探しに来るのは間違いない
コロンビヤード砲はまだあるし
18年後には、月はまた同じ位置に来る
3人はますます興奮して、ほとんど叫ぶように喋り続ける
ここに日本人がいたら、外国人のマシンガントークに相当なストレスを感じただろうね/苦笑
ミシェル:
なぜ来たかって? アメリカの名において月を手に入れるためさ!
植民地として開墾し、移民し、芸術、科学、産業を持って行くためさ!
誰もいなければ、我々が月世界の人になり、共和国を作ろう!
(アングロサクソン系は侵略が好きだな
3人はとうとうダンスを始め、ついには意識を失って倒れる
●七万八千四百四リューにおいて
極度に興奮していた理由は、酸素のバルブが緩んで飽和状態になっていたから
そのまま気づかなかったら、窒息ではなく燃えて死んだだろう(驚
ミシェル:
酸素の小部屋のある建物を作るべきだ
器官の弱った人が数時間生活すれば、活気に満ちて
芸術もさらに高まり、強大な国にもできるだろう
彼の想像力は加速するばかり
この本のお蔭でその研究もとっくにやり終えたのでは?
酸素バーなんてのも流行ったし
この反省から部屋内を片付け、出発時より重量が減少したことに気づく
バービケーンは、引力の等しい点を超えられるかどうか気になり始める
途中で止まれば、地球か月の引力に引っ張られる
中立点で止まれば、永遠にそこに留まることになる
しかし、どこで中立だと分かるのか?
ニコールが落としたコップが空中で止まったことで気づく
ミシェルが飛び上がると2人も続く
ここから徐々に天井が底にかわる
ミシェル:
なんて素晴らしい進歩! 自由を得た囚人だ!
麻酔で苦痛を取り除くように、重力も除けたら
起重機もジャッキも要らない!
バービケーン:
もし重さがなくなれば、何も安定しなくなる
月世界の人は星に比例して小人だろう
太陽に住む人は200フィートの高さだ(これには納得
弾丸は数m先に落ちてしまう(なぜ??? 銃がないなら平和でいいけど
●方向急転の結果
月への恐ろしい落下に備えて、あらゆる準備を始める
出発の時のように水を使うには足りないため
弾力性のある詰め物をつけると、前方の月が見えなくなった
ここで落下する方向に十分向いていないと気づく
底部にある20個の爆弾を発射して進めることも出来る
(ここで書かれているのに、忘れてたの?
ミシェル:我々は逸れたんだね? なぜだろう?
ニコール:到着が遅すぎたのでは?
ロケットは月に近づいてはいたが、到着しないだろうと明らかになった
ニコール:
この方向急転は、あの流動体に出会ったためだ!
少しのズレでも方向を狂わせるのに十分だよ
●月の観察者たち
やがて空気もなくなり窒息して倒れるだろう
ロケットと月の距離は約785kmと計算された
月は円形ではなく、巨大な卵型をしている
到着予定だった午前零時、月は満月だった
3人は窓に張り付いて、眠らずにただただ観測しデータをとった
ここからは長々と月の地図の歴史が語られる
ガリレイしか知らないけど、たくさんの人が観察して地図を作って
それぞれ好きな名前をつけては塗り替えられたんだな
●空想と現実
ここでは月の表面の特徴が語られる
大陸は南半球に位置している
南極が北極より大陸性であること
山脈、円錐形の円谷、島も数多い
かつての大海は広い大地となっている
「雲の海」「雨の海」「嵐の海」「不機嫌の海」
という名前には人間の一生が要約されているって面白い
4万以上の火口がある
(こうした描写もこれまでの研究の羅列で
肝心な地球から見えない裏側の話が出てこないため退屈になる
●山岳学の詳術
ロケットは月の北半球に向かっていた
素晴らしい美しさに輝くのはコペルニクス山
これらはすべて死火山
エラステネス山の円谷は人間の手で掘られたに違いないというケプラーの説は興味深い
それぞれの山の位置が詳細に語られる
●月世界の風景
ロケットから月までは千kmで、望遠鏡で見ると10km
平原の色は緑と褐色が混ざった灰色
ミシェルが畑の畝と思ったのは溝だが
これらの形成についてもバービケーンは知らない
季節がないから葉が茂ったり、枯れたりはないと考察
「シュレーター」とあるけど「クレーター」のことか?
とにかくヒトの手が加わったと示すものは何ひとつ見当たらないし動きもない
月までの距離は望遠鏡で4km
突然夜と昼が入れ替わる
月にはたそがれや夜明けはない
(やっぱり地球が一番美しいね
上空48kmになった時、ミシェルは窓から飛び降りようと思ったほどだが
ロケットが落ちないなら、ヒトもまた落ちないと言われる
ロケットは急速に夜の中に入った
●三百五十四時三十分の夜
完全な闇は三百五十四時も続く
なにか音がしたとしても、媒介する空気がないため聞こえない
月の裏側の観測は全部ダメだったが
ダイヤモンドのように輝く星が見られた
そのうち寒暖差で窓のガラスが凍り付いて外も見えなくなる
普通の寒暖計は役に立たない
外は氷点下40度(ロシアの冬もそれくらい寒いのでは?
●双曲線か抛物線か
ロケットは操作不可能なため
3人はまるで研究室に籠るように実験に没頭する
ロケットのスピードを測る目標も見えない
バービケーンとニコールはロケットが
双曲線を描いて飛んでいるか、それとも抛物線か熱くやりあう
このままならガスや空気が欠乏し死んでしまう
砲弾の位置に変化が起きたことにバービケーンは気づく
月を中心に曲線を描いていると分かる
噴火を目撃し、熱があるなら生物もあると言える
近くに白熱を持つ2000m級の巨大隕石が現れ
衝突すれば、ロケットは粉々に飛び散る危険を免れる
●南半球
ロケットの軌道は隕石のために再びズレる可能性もある
ようやく太陽が出て、ロケットは月を中心に楕円を描いていると分かる
ミシェル:月の月だ!
ここからはひたすら月にある山々の説明
地球の山と比べて大きさはどうかなど
●ティコ
窓の氷は魔法のように溶けて、見えたのは凍った雪!
すべては死の世界だった
ミシェルは廃墟の跡を見つけるが想像の域を超えない
ミシェル:月はもう花火のみすぼらしい残骸にすぎないのだ と嘆く
まばゆいティコ山が現れ、満月となる
●重大な問題
ティコの噴火口から出た光について議論し
月の内部から来たものだと言うバービケーン
ミシェルは月に生物や人間社会が存在するかを2人に改めて問う
バービケーン:
月は生存し得るか かつて生存し得たかの2つに分かれる
やはり居住には適さないと思う
ニコール:
動いているものは何もない
仮にあり得たとしても、深い洞穴の中に潜んでいるだろう
平原には足跡すらないため、その行動が不可解な生物となるわけだ
バービケーン:
それぞれ繁栄したが、永久に消滅してしまった
急速に老成化した世界なんだ
月に人間が住んでいた時代は
昼夜が三百五十四時間も続いてはいなかっただろう
これは地球の引力によって決まるから
どんどん空気が稀薄になり住めなくなったのだろう
地球も冷却していつかそうなるよ
それが40万年後と聞いてミシェルはひと安心する
ロケットは月から離れつつあった
●不可能にたいして闘う
弾道は地球に向いていた
引力が等しい点に着き、まだ速力があれば
月の周辺を永久に周り続けると言うバービケーン
ミシェル:
ロケットを我々の意のままに使うんだ
月でなくてもどこかへ落ちるように
もし弾丸が砲手に命令を下すなら、砲手を大砲に詰めなきゃならない(これが唯一笑えたww
バービケーン:船は積み荷を捨てることがあるが、宇宙空間では固有の重さは関係ない
宇宙間に描かれる軌道はすべて楕円形になる(そうなんだ!
ミシェルはようやく信管の後退力を使うことを提案する
ロケットが月の正面に向いた時でないとならない
引力の均衡点に来た時に発射する
その前にひと眠りした3人は弾丸のようないびきをたてる
(やっぱり・・・ だから男3人でよかったんだよ/汗×5000
爆弾を破裂させ、地球に向かって落ちていると分かる
地上に落下するスピードは23万km/h!
ミシェル:
あの世にあっては、魂は知るために機械も動力も必要とはしまい
魂は永劫の叡智と同一化するでろうから!(まったく同意
バービケーン:神の意のままに!
(彼らほどの科学者も無神論者ではいられないのがフシギ
とにかく物語はやっと急展開したことに感謝
●「サスクハンナ号」の水深測量
12月11日 アメリカの誇りとする小軍艦は
ハワイとアメリカの海岸を結ぶ海底電線の建設のため
ニューメキシコの海岸沿いで深海測量に従事していた
中尉:あの連中は10日前に出発してどうしているだろう?
(これだけ長い話がたったの10日間!?
士官は同国人が小川でキャンプし、ミシェルは葉巻を吸っている姿を想像する(w
巨大なアルファベットを作れば、観測して通信ができる
でも、月世界には巨大望遠鏡がないため
地球からの返事が見えないと議論
今度の実験が成功したら、また誰かが始めるだろう
学者の代表だけでなく、月世界の征服のために
歩兵、砲兵、騎兵の一団を送ることも考えた
(どうしても戦争、侵略したいのね/汗
月の生命体がヒトより少しでも劣るなら皆殺しにしかねない
その時、遠くで聞き慣れない音がした
巨大な隕石が落ちたのだ
士官候補生:あの連中が帰ってきたんです!
●J・T・マストンを呼ぶ
水層が深いから墜落は弱まる
空気がなくなり窒息死は免れないなどと意見が飛ぶが
プラムズベリイ艦長:生きてようが死んでようが海中から引き揚げなければ!
最も近いサンフランシスコ湾まで船を飛ばし、4通の電報が打たれた
海軍、大砲クラブ、マストン、天文台の副所長宛て
(船から電報が打てないの??? モールスとかでもいいのに
このニュースは5分後に町中に広まり
午後6時にはアメリカ中が知った
マストンは5頭も馬を乗り潰してサンフランシスコに着く
マストン:出来るだけ早くロケットを釣り上げるんだ
●救助作業
ロケットを引き揚げる機械はないため1から作られた
彼らはきっと生きていると断言するマストン
潜水具をつけ、海底2万フィートにおり
海底に着いてもロケットは見つからないまま6日が過ぎた
29日 サンフランシスコに戻る途中でブイを発見
そこにはアメリカの信号旗がついていた
マストン:なんというバカ者だ! 彼らは浮き上がったんだ!
窓の1つが開いた
ミシェル:白人でいっぱいだ!
●大団円
世界の隅々から彼らを見に大勢が駆けつけた
3人はバルチモアに戻り、バービケーンは『月世界へ行く』を掲載
その記録はこれまでの諸説を調整するのに役立った
1月5~9日までの4日間、3人とマストンはアメリカ中を周り
万歳で迎えられた
この試みの後、星から他の星へ行く交通機関を作りだしたか?
株式会社が設立され、社長はバービケーン
副社長はニコール、専務理事はマストン、業務部長はミシェル
何事も先回りして考えるアメリカ人らしく
失敗した時のことを考えて、破産主任役、破産管財人も任命された(w
■あとがき
ヴェルヌが生まれたナントは、古くはアフリカ向けの黒奴狩りの船で賑わった
ポーの小説を耽読し、その後80冊におよぶ冒険科学小説を書いた
毎年夏になるとヨットで地中海や大西洋に乗り出した
結婚後、株式仲買人となったが株には無関心で
全パリのエリートを集めたナダールのサロンに出入りした
そこで飛行船「巨人号」を建設したムードンと出会い
『気球の5週間』を書いて、出版社を21軒回ったが
どこも引き受けず、最後にジュール・エッツェルにたどり着く
エッツェルはロマンティスム文学は凋落すると予測し
科学冒険小説に興味を持ち
『気球の5週間』は世間に広く知れ、契約を結んだ
本書は『地球から月へ』の続編
ヴェルヌは当時42歳
普仏戦争に従軍
1871年、エッツェルも被害を受け
自分の銀行預金で店を修理させ、大いに当てたという美談もある
小説の半分以上は、発表と同時に諸外国語に翻訳された
5、6年前のフランスの週刊誌に、フランスの作家中
一番多く海外に翻訳されたのはヴェルヌだと書かれていた
とくにアメリカとソ連に多くの読者を持ち
この二大国が科学の発見を競い合っているのは興味深い
今日から見れば幼稚な点もあるだろうが
彼が科学の発展の方向を予言した功績は極めて大きい
潜水艦、飛行機、原子爆弾、ロケット、無線電信、電送写真などなど
偉大な夢を裏付ける科学知識が読者をなお魅了し続けている
※「作家別」カテゴリー内の「ジュール・ヴェルヌ」に追加します
前回読んだ『月世界旅行』 の続編
月に向かって飛び立ったロケットのその後の話だが
これもジュブナイルはなく、単行本で文字が小さく
挿絵が1枚もないのは残念
ヴェルヌの知識が惜しみなく書かれている
それは、彼の時代までヒトが粘り強く観察し
計算してきたことの総合の域を超えていないのも残念
他のヴェルヌ作品のハラハラドキドキ感が少なく
2人の学者による科学的見解と作者の説明が主
『月世界旅行』ではマストンの異様な興奮っぷりに時々笑ったけれども
今作で若干道化者を演じるフランス人のミシェル・アルダンですら
砲弾の中では少しオシャレな空想家というだけで笑いも少ないため
あとがきも含めて全255pを読むのに1ページごとに苦労した
これが書かれた1869年には違ったのかもしれない
毎日見上げる月にヒトが行くという発想
その行程の1つ1つが一般読者にとって興味が尽きない読み物だったかも
今では子どもでもテレビやネットで月の様子がかなり近くから見られるから
ここに事細かに描かれている数字が分からなくてもなんとなく想像できる
幾何学の数式まで出てきた時には
ヴェルヌが本書を誰向けに書いたのだろう?とフシギに思ったほど
これは実在する式なのか?
それでも、ドラマも映画も同様、本も一度読み始めたものは
最後の結末まで知りたい私は、途中の数字や説明文は半ば飛ばすように読んで
おおまかな筋だけを追うことにした
一番フシギなのは、砲弾の中では地球→月の引力が働いて
3人は常に地に足を向けて立っていられたこと
無重力までは想像が及ばなかったか
SF が空想科学小説と言われるように
跳躍したストーリーにワクワクするけれども
ヴェルヌの場合は自らの豊富な科学知識に基づいて
その延長線上になるべく現実的な未来の機械などを描写するため
ウェルズのような飛躍感がこの月旅行には感じられなかった
月観察の記録も当時の知られていた情報を越えなかったのも物足りなく感じる
全体的に測量や知識の情報ばかりで
今となっては退屈な文章だと思っていたが
あとがきを読んで訳者による文章の訳し方にもよるのかもしれないという気がした
持って回ったような難しい言葉を使って表現していて
それも小説の翻訳に反映していたのでは?
訳者は前編は退屈だと言うが
私はどちらかと言うと前編のほうが
いろんな誇張した展開が多く盛り込まれていて面白かった
月の衛星になりそうというあたりから
なぜ後ろに設置した爆弾を使わないのか気になっていたけれども
それは月に落下する際ショックをやわらげるために
とっておく必要があったからかと思っていたら
うっかり忘れていたって/驚
そこからは急展開して、もう地球に落下して
3人は月に着かなかったにも関わらず
出発と同様かそれ以上の拍手喝采を浴びる大団円
出発したのもアメリカなら
落下したのもサンフランシスコのそばって
偶然とは思えないプライドが感じられる
それを成し遂げたのがアングロサクソン系で
ミッシェルの第一声が「白人だ!」って言うセリフにもそれが感じられる
その前に読んだウェルズの月旅行のジュブナイルでも
やけに早く着いてびっくりしたけれども
実際調べてみたら、アポロも1週間弱で月に着いたと知ってびっくりした
それもエネルギーをなるべく抑えて軌道に乗った日数であり
直線距離だったら3時間ちょいって!
新幹線で京都あたりに行く感覚で行けるじゃん
・アポロ11号はどれくらいの時間で地球から月まで行って、どれくらいかかって... - Yahoo!知恵袋
・アポロ宇宙船は月まで行くのに、なぜ4日もかかったのでしょうか?ロケット... - Yahoo!知恵袋
・なぜ月面着陸はテレビ中継できたのか?アポロ計画の天と地を結ぶ地上局 | 宙畑
軍事費を全部テクノロジーにあてたら
ロケットで普通に月旅行することも今頃は実現していただろうに
そうしないのには別の理由があるからではないかと都市伝説系の推理をしてみた
やっぱり月の内部または裏側に高度な科学力を持つ生命体がいるとか!
【内容抜粋メモ】
■序章
砲弾は月の引力に引かれて運行し
月の衛星になった(ここでもう結末が出ている?!
彼らはどうして帰れるだろうか?
●午後十時二十分より十時四十七分
ミシェル:
こうなったら自分の家にいる気で
新しい住居を住みよくして気楽にやることです
マッチでガス灯(!)をともすと、まるで旅行する牢獄だとぼやくミシェル
その後、恐ろしい衝撃が起きて、ロケット弾は宇宙空間に飛び出した
●最初の三十分
バービケーンの考えた水のクッションが効いて
内部は異状なく、大事なものは無傷だったが
3人はひどく投げ出された
砲弾内はひどく暑く、45度
打ち上げに使ったコロンビヤード砲の
砲声が聞こえなかったのが謎として残る
昇降口のフタをさげ、4つの舷窓から外を観察すると
深い闇が包み、星を見ると万歳と叫ぶ3人
針路が合っているかどうかが気になるミシェル
大きく輝く円盤(!)を見るが流星と推理する
もし衝突したら終わりだが、なんとか免れる
一方通行の旅のため、見納めに地球を眺めると
銀色の三日月に見える(青くないのか?
ニコールは、発射のほうが音より速かったために砲弾音が聞こえなかったと分かる
●落ちつく場所
眠るのに、ここより静かで穏やかな環境があるだろうか?
(まさに! でも1人でもいびきをかく人がいたら最悪だけど/苦笑→あとで分かる
砲弾の中で3人がトイレに行く描写が1度も描かれていないのも妙な話
2匹の犬のうち、ディアーヌは荷物の下から出て来た
ミシェル:
“はじめに神は人間を創り給うた
そして彼がかくも弱いのをみて、神は彼に犬を与え給うた”
というトゥスネルの言葉を引用する
(猫派は異論があるだろうねw
ヒトを男性としているところに女性蔑視もあるし
サテリットは、激しい衝撃で頭部が砕かれていた
(ライカ犬を思い出させる/涙 なんとヒトは残酷で勝手な生き物だろう
犬の描写が出てくるのはここいらだけで、まるで3人は動物のことなど忘れている
ミシェル:
我々は新しい世界に住んでいる
我々以外に人類はない 我々は同類だ
彼は料理人になり、その後も3人分の食事を作る
牛のブイヨン、ビフテキ(!)、ワインなどで舌鼓を打つ
ミシェル:
このアルミニウムの上に腐蝕土を広げれば
グリンピースを芽生えさえることもできるだろう
3人はまず水、食料の箱の安全を確かめた
月には川や泉があるはずだから、最初の年は大丈夫だろう
酸素を作る機械、二酸化炭素(訳では炭酸ガス)を浄化する機械もある
ほかにも羅針盤、六分儀、望遠鏡、ピッケル、つるはしなど
あらゆる道具がコンパクトに詰め込まれているが
3人が動き回るには十分なスペースもある
バービケーンは克明に旅行記を書くと決める
●代数学をちょっぴり
砲弾の底部は昼、上部は夜
非常な速さで動いているのに、まるで止まったような感覚になるのは
周りに対象物がないせい
(ヒトがロケットを打ち上げる前は宇宙ゴミもないか
ミシェルはつがいの鶏も持ち込んで、月に放って2人を驚かせようと企んでいたが
途中で大声で鳴いてバレてしまうw
ロケットの最初の速度が知りたいと聞くと
バービケーンは長い式を見せて、余計に混乱する
2人の科学者の会話をミシェルは冗談と芸術的に言い換える
バービケーンは計算して初めて摩擦で速度が1/3落ちることに気づき
地球と月の引力の中立点まで行けないと予測し、ガッカリする3人
(こんなにいろいろ計算したのに、そんなウッカリがあるかな?
●空間の冷却
出発から32時間経過し、行程の半分以上が過ぎた(速っ!
ロケットは月に着陸出来ないと言うバービケーン
それを覆して、大丈夫なことを証明するニコール
前途には小石すらない
安心したミシェルは、退屈を紛らわせるために荷物に入れた
将棋、碁(チェスじゃなくて?!)、トランプなどを出して
2人を驚かせる
バービケーン:
もし月に生物がいれば、地球より数千年は進歩しているだろう
彼らは我々から学ぶことはない 我々のほうが学ぶべきだ
ミシェルはなぜ地球と郵便のように連絡が取れないかと尋ねる
こうして科学には疎い冒険家のミシェルが2人に質問することで
様々な現象や知識などが文中で語られる
月の引力は地球の1/6だから、月から飛ばすなら1/10の力で済むと話す
バービケーン:
何千年も前、地上に人類が出現する前にそれは成されただろう
我々より賢い月世界の人たちは火薬を発明しなかったんだ
(月のほうが文明が進み、地球にも何かしら影響を及ぼしたに違いなく
その文明はとっくに滅んだという説は今の都市伝説っぽくて面白い
ミシェル:
この砲弾を第二のノアの箱舟のようにして
あらゆる家畜を1組ずつ持って行くべきだった
ロバを連れ込むことくらいは出来たろうに
気づくと頭を打って瀕死で寝ていたサテリットが死んでいることに気づく↓↓↓
死体をこのままにはしておけないから、宇宙空間に投げ出そうとする
砲弾は酸素しか作らないから、窓を開けた時になるべくその成分を漏らさないようにして
空気のない所は熱も散光もないから暗くて冷たいため
外部の寒気を取り込まないようすみやかに行わなければならない
ミシェル:1861年に地球が彗星の尾を通った
宇宙は空気がない絶対の真空
そこにはエーテル(?)があるだけ
エーテルとは重さのない原子の集まり と説明するバービケーン
サテリットは窓から外に投げ出される
●質疑応答
すでに道のりの7/10に達する
ミシェルは思いつくままに2人の学者に質問し、明解に答える
もし流星に衝突したら粉々になるだろう
熱は分子の運動にすぎない
もし地球が公転を止めたら、すぐ蒸発するくらい沸騰する
大気に包まれていることがどれほどラッキーか知るミシェル
月では昼と夜が360時間続く
月から地球が昇るのが見たいというミシェル(それも映像で見たことある
彗星にあるガス状の痕がないため
月は地球の引力に捕らえられた隕石という説は怪しい
(地球に隕石が衝突した時のかけら説もあるよね
窓から外を見ると、何かが砲弾と並行して進んでいるのが見える
宇宙に投げ入れたモノは埃でも鉛でも同じ速度になる
ミシェル:役立つモノを詰め込んで、投げ出せば、一緒に月に着いたのに
それは投げ出したサテリットの変わり果てた姿だと分かる(なんてことだよ・・・
●陶酔の時間
ロケットの速度が徐々に落ちていることに気づかない3人
その日の零時には月に着くはずだが、まだ距離があり
軌道がわずかにそれていた
ミシェルは前祝にワインを出す
彼はぶどうの株も何本か荷物に入れていた
3人は砲弾の生活で太り始めていた
ミシェル:外を散歩出来ないのは残念だ
バービケーン:潜水服を着ていても、体内の空気が膨張して破裂してしまうよ
ニコール:我々はどう地球に戻るんだね?
バービケーン:そんなこと全然知らないね
ミシェル:それが分かっていたら僕は行かなかった
バービケーン:
月にコロンビヤード砲がないなら造ればいい
地球の同僚に連絡するのも隕石を使えば難しいことじゃない(?
ミシェル:電報のやり取りも出来たろうに
バービケーン:
我々が戻らなかったら、マストンが探しに来るのは間違いない
コロンビヤード砲はまだあるし
18年後には、月はまた同じ位置に来る
3人はますます興奮して、ほとんど叫ぶように喋り続ける
ここに日本人がいたら、外国人のマシンガントークに相当なストレスを感じただろうね/苦笑
ミシェル:
なぜ来たかって? アメリカの名において月を手に入れるためさ!
植民地として開墾し、移民し、芸術、科学、産業を持って行くためさ!
誰もいなければ、我々が月世界の人になり、共和国を作ろう!
(アングロサクソン系は侵略が好きだな
3人はとうとうダンスを始め、ついには意識を失って倒れる
●七万八千四百四リューにおいて
極度に興奮していた理由は、酸素のバルブが緩んで飽和状態になっていたから
そのまま気づかなかったら、窒息ではなく燃えて死んだだろう(驚
ミシェル:
酸素の小部屋のある建物を作るべきだ
器官の弱った人が数時間生活すれば、活気に満ちて
芸術もさらに高まり、強大な国にもできるだろう
彼の想像力は加速するばかり
この本のお蔭でその研究もとっくにやり終えたのでは?
酸素バーなんてのも流行ったし
この反省から部屋内を片付け、出発時より重量が減少したことに気づく
バービケーンは、引力の等しい点を超えられるかどうか気になり始める
途中で止まれば、地球か月の引力に引っ張られる
中立点で止まれば、永遠にそこに留まることになる
しかし、どこで中立だと分かるのか?
ニコールが落としたコップが空中で止まったことで気づく
ミシェルが飛び上がると2人も続く
ここから徐々に天井が底にかわる
ミシェル:
なんて素晴らしい進歩! 自由を得た囚人だ!
麻酔で苦痛を取り除くように、重力も除けたら
起重機もジャッキも要らない!
バービケーン:
もし重さがなくなれば、何も安定しなくなる
月世界の人は星に比例して小人だろう
太陽に住む人は200フィートの高さだ(これには納得
弾丸は数m先に落ちてしまう(なぜ??? 銃がないなら平和でいいけど
●方向急転の結果
月への恐ろしい落下に備えて、あらゆる準備を始める
出発の時のように水を使うには足りないため
弾力性のある詰め物をつけると、前方の月が見えなくなった
ここで落下する方向に十分向いていないと気づく
底部にある20個の爆弾を発射して進めることも出来る
(ここで書かれているのに、忘れてたの?
ミシェル:我々は逸れたんだね? なぜだろう?
ニコール:到着が遅すぎたのでは?
ロケットは月に近づいてはいたが、到着しないだろうと明らかになった
ニコール:
この方向急転は、あの流動体に出会ったためだ!
少しのズレでも方向を狂わせるのに十分だよ
●月の観察者たち
やがて空気もなくなり窒息して倒れるだろう
ロケットと月の距離は約785kmと計算された
月は円形ではなく、巨大な卵型をしている
到着予定だった午前零時、月は満月だった
3人は窓に張り付いて、眠らずにただただ観測しデータをとった
ここからは長々と月の地図の歴史が語られる
ガリレイしか知らないけど、たくさんの人が観察して地図を作って
それぞれ好きな名前をつけては塗り替えられたんだな
●空想と現実
ここでは月の表面の特徴が語られる
大陸は南半球に位置している
南極が北極より大陸性であること
山脈、円錐形の円谷、島も数多い
かつての大海は広い大地となっている
「雲の海」「雨の海」「嵐の海」「不機嫌の海」
という名前には人間の一生が要約されているって面白い
4万以上の火口がある
(こうした描写もこれまでの研究の羅列で
肝心な地球から見えない裏側の話が出てこないため退屈になる
●山岳学の詳術
ロケットは月の北半球に向かっていた
素晴らしい美しさに輝くのはコペルニクス山
これらはすべて死火山
エラステネス山の円谷は人間の手で掘られたに違いないというケプラーの説は興味深い
それぞれの山の位置が詳細に語られる
●月世界の風景
ロケットから月までは千kmで、望遠鏡で見ると10km
平原の色は緑と褐色が混ざった灰色
ミシェルが畑の畝と思ったのは溝だが
これらの形成についてもバービケーンは知らない
季節がないから葉が茂ったり、枯れたりはないと考察
「シュレーター」とあるけど「クレーター」のことか?
とにかくヒトの手が加わったと示すものは何ひとつ見当たらないし動きもない
月までの距離は望遠鏡で4km
突然夜と昼が入れ替わる
月にはたそがれや夜明けはない
(やっぱり地球が一番美しいね
上空48kmになった時、ミシェルは窓から飛び降りようと思ったほどだが
ロケットが落ちないなら、ヒトもまた落ちないと言われる
ロケットは急速に夜の中に入った
●三百五十四時三十分の夜
完全な闇は三百五十四時も続く
なにか音がしたとしても、媒介する空気がないため聞こえない
月の裏側の観測は全部ダメだったが
ダイヤモンドのように輝く星が見られた
そのうち寒暖差で窓のガラスが凍り付いて外も見えなくなる
普通の寒暖計は役に立たない
外は氷点下40度(ロシアの冬もそれくらい寒いのでは?
●双曲線か抛物線か
ロケットは操作不可能なため
3人はまるで研究室に籠るように実験に没頭する
ロケットのスピードを測る目標も見えない
バービケーンとニコールはロケットが
双曲線を描いて飛んでいるか、それとも抛物線か熱くやりあう
このままならガスや空気が欠乏し死んでしまう
砲弾の位置に変化が起きたことにバービケーンは気づく
月を中心に曲線を描いていると分かる
噴火を目撃し、熱があるなら生物もあると言える
近くに白熱を持つ2000m級の巨大隕石が現れ
衝突すれば、ロケットは粉々に飛び散る危険を免れる
●南半球
ロケットの軌道は隕石のために再びズレる可能性もある
ようやく太陽が出て、ロケットは月を中心に楕円を描いていると分かる
ミシェル:月の月だ!
ここからはひたすら月にある山々の説明
地球の山と比べて大きさはどうかなど
●ティコ
窓の氷は魔法のように溶けて、見えたのは凍った雪!
すべては死の世界だった
ミシェルは廃墟の跡を見つけるが想像の域を超えない
ミシェル:月はもう花火のみすぼらしい残骸にすぎないのだ と嘆く
まばゆいティコ山が現れ、満月となる
●重大な問題
ティコの噴火口から出た光について議論し
月の内部から来たものだと言うバービケーン
ミシェルは月に生物や人間社会が存在するかを2人に改めて問う
バービケーン:
月は生存し得るか かつて生存し得たかの2つに分かれる
やはり居住には適さないと思う
ニコール:
動いているものは何もない
仮にあり得たとしても、深い洞穴の中に潜んでいるだろう
平原には足跡すらないため、その行動が不可解な生物となるわけだ
バービケーン:
それぞれ繁栄したが、永久に消滅してしまった
急速に老成化した世界なんだ
月に人間が住んでいた時代は
昼夜が三百五十四時間も続いてはいなかっただろう
これは地球の引力によって決まるから
どんどん空気が稀薄になり住めなくなったのだろう
地球も冷却していつかそうなるよ
それが40万年後と聞いてミシェルはひと安心する
ロケットは月から離れつつあった
●不可能にたいして闘う
弾道は地球に向いていた
引力が等しい点に着き、まだ速力があれば
月の周辺を永久に周り続けると言うバービケーン
ミシェル:
ロケットを我々の意のままに使うんだ
月でなくてもどこかへ落ちるように
もし弾丸が砲手に命令を下すなら、砲手を大砲に詰めなきゃならない(これが唯一笑えたww
バービケーン:船は積み荷を捨てることがあるが、宇宙空間では固有の重さは関係ない
宇宙間に描かれる軌道はすべて楕円形になる(そうなんだ!
ミシェルはようやく信管の後退力を使うことを提案する
ロケットが月の正面に向いた時でないとならない
引力の均衡点に来た時に発射する
その前にひと眠りした3人は弾丸のようないびきをたてる
(やっぱり・・・ だから男3人でよかったんだよ/汗×5000
爆弾を破裂させ、地球に向かって落ちていると分かる
地上に落下するスピードは23万km/h!
ミシェル:
あの世にあっては、魂は知るために機械も動力も必要とはしまい
魂は永劫の叡智と同一化するでろうから!(まったく同意
バービケーン:神の意のままに!
(彼らほどの科学者も無神論者ではいられないのがフシギ
とにかく物語はやっと急展開したことに感謝
●「サスクハンナ号」の水深測量
12月11日 アメリカの誇りとする小軍艦は
ハワイとアメリカの海岸を結ぶ海底電線の建設のため
ニューメキシコの海岸沿いで深海測量に従事していた
中尉:あの連中は10日前に出発してどうしているだろう?
(これだけ長い話がたったの10日間!?
士官は同国人が小川でキャンプし、ミシェルは葉巻を吸っている姿を想像する(w
巨大なアルファベットを作れば、観測して通信ができる
でも、月世界には巨大望遠鏡がないため
地球からの返事が見えないと議論
今度の実験が成功したら、また誰かが始めるだろう
学者の代表だけでなく、月世界の征服のために
歩兵、砲兵、騎兵の一団を送ることも考えた
(どうしても戦争、侵略したいのね/汗
月の生命体がヒトより少しでも劣るなら皆殺しにしかねない
その時、遠くで聞き慣れない音がした
巨大な隕石が落ちたのだ
士官候補生:あの連中が帰ってきたんです!
●J・T・マストンを呼ぶ
水層が深いから墜落は弱まる
空気がなくなり窒息死は免れないなどと意見が飛ぶが
プラムズベリイ艦長:生きてようが死んでようが海中から引き揚げなければ!
最も近いサンフランシスコ湾まで船を飛ばし、4通の電報が打たれた
海軍、大砲クラブ、マストン、天文台の副所長宛て
(船から電報が打てないの??? モールスとかでもいいのに
このニュースは5分後に町中に広まり
午後6時にはアメリカ中が知った
マストンは5頭も馬を乗り潰してサンフランシスコに着く
マストン:出来るだけ早くロケットを釣り上げるんだ
●救助作業
ロケットを引き揚げる機械はないため1から作られた
彼らはきっと生きていると断言するマストン
潜水具をつけ、海底2万フィートにおり
海底に着いてもロケットは見つからないまま6日が過ぎた
29日 サンフランシスコに戻る途中でブイを発見
そこにはアメリカの信号旗がついていた
マストン:なんというバカ者だ! 彼らは浮き上がったんだ!
窓の1つが開いた
ミシェル:白人でいっぱいだ!
●大団円
世界の隅々から彼らを見に大勢が駆けつけた
3人はバルチモアに戻り、バービケーンは『月世界へ行く』を掲載
その記録はこれまでの諸説を調整するのに役立った
1月5~9日までの4日間、3人とマストンはアメリカ中を周り
万歳で迎えられた
この試みの後、星から他の星へ行く交通機関を作りだしたか?
株式会社が設立され、社長はバービケーン
副社長はニコール、専務理事はマストン、業務部長はミシェル
何事も先回りして考えるアメリカ人らしく
失敗した時のことを考えて、破産主任役、破産管財人も任命された(w
■あとがき
ヴェルヌが生まれたナントは、古くはアフリカ向けの黒奴狩りの船で賑わった
ポーの小説を耽読し、その後80冊におよぶ冒険科学小説を書いた
毎年夏になるとヨットで地中海や大西洋に乗り出した
結婚後、株式仲買人となったが株には無関心で
全パリのエリートを集めたナダールのサロンに出入りした
そこで飛行船「巨人号」を建設したムードンと出会い
『気球の5週間』を書いて、出版社を21軒回ったが
どこも引き受けず、最後にジュール・エッツェルにたどり着く
エッツェルはロマンティスム文学は凋落すると予測し
科学冒険小説に興味を持ち
『気球の5週間』は世間に広く知れ、契約を結んだ
本書は『地球から月へ』の続編
ヴェルヌは当時42歳
普仏戦争に従軍
1871年、エッツェルも被害を受け
自分の銀行預金で店を修理させ、大いに当てたという美談もある
小説の半分以上は、発表と同時に諸外国語に翻訳された
5、6年前のフランスの週刊誌に、フランスの作家中
一番多く海外に翻訳されたのはヴェルヌだと書かれていた
とくにアメリカとソ連に多くの読者を持ち
この二大国が科学の発見を競い合っているのは興味深い
今日から見れば幼稚な点もあるだろうが
彼が科学の発展の方向を予言した功績は極めて大きい
潜水艦、飛行機、原子爆弾、ロケット、無線電信、電送写真などなど
偉大な夢を裏付ける科学知識が読者をなお魅了し続けている