1973年初版 1981年 第13刷 伊藤佐喜雄/編著
山下一徳/カバー図案 原新一/カバー絵・口絵・挿絵
※「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します
少女が苦労して生きる『おしん』的な物語は
古今東西で感動され、名作として親しまれていることが分かる
細かい部分は違えど、母と娘の別れのシーンでは涙が出るし
ハッピーエンドにはホッと胸をなでおろす
今作には、イギリスとアメリカの微妙な関係性も出てきて興味深い
もとイギリス支配下にあった植民地から独立したことによる偏見は
現代にもあったりするのだろうか?
【内容抜粋メモ】
登場人物
エレン
モントゴメリイ夫人 エレンの母 イギリス人
モルガン・モントゴメリイ アメリカ人の父 陸軍大尉
フォルチュン・エマースン エレンの父の父違いの姉
プラント フォルチュン家で働くお百姓
アリス 牧師の娘
ナンシー 山の上に祖母と2人で住んでいる
●母と子
13歳のエレンは、突然、大好きな母と離れて暮らすことになった
病気の母が父とヨーロッパに療養する間
エレンだけアメリカの叔母に預けられることに決まる
母:どんなに悲しくても、その中に神さまがなにを教えようとしているか探し出してちょうだい
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父は家庭や子育てに疎く、ケチなため、母はエレンのものを揃えるのに
祖母の形見の指輪を売ってお金をつくる
母の具合が悪くなり、1人で洋服生地を買いに来て
若い男性店員に邪険にされて泣いていると紳士が助けてくれる
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ダンスコーム大尉の妻と娘マーガレットがソイルウォールに旅行するから
連れて行ってもらえと、急に言われて、荷物をまとめて、母と別れの言葉を交わす
母:
エレンを神さまにお預けいたします
どうぞこの子に幸せをお与えください(まるで今生の別れみたいだ
エレンにとって生まれて初めての長い旅なのに
ダンスコーム夫人とマーガレットはエレンに意地悪ばかりする
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船が港に着いて、旅館まで行く辻馬車にも乗せず
女中のテミンスと一緒に歩かせる
●カラカラ村
ソイルウォールに着いても、叔母は迎えに来ていないため
旅館のおかみは、フォルチュン夫人を手伝うお百姓プラントの牛車に乗せてもらうといいとすすめる
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家に着くと、叔母と年老いた母親がいて、1か月前にモルガンから手紙をもらったきりで
急な来訪に驚き、冷たい態度
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散歩に出たエレンが白いよそ行き靴下を汚して帰ると
白は汚れやすく、贅沢だから、と全部、灰色に染めてしまう
●いたずら娘
山の上に祖母と2人で住んでいるナンシーが来て
叔母は村いちばんの畑持ちで金持ちだけれども、ケチで有名だと悪口を言う
ナンシーの後に続いて歩き、川に落ちてずぶぬれになり
プラントさんの家でひと晩世話になる
母に手紙を出したくても、郵便局はソイルウォールにしかなく
プラントさんがたまに母からの手紙が届いていないか見てあげると約束する
叔母はエレンを学校に行かせる代わりに、家事でこきつかう
自分で勉強しようとするエレンのために
プラントさんは勉強部屋に棚をつくってくれる
●アリスとともに
叔母はエレン宛ての母からの手紙を勝手に読んでいて、泣いていると
牧師の娘アリスが優しく声をかけて、自分の悪い所を直す努力をすればいいと諭す
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モルガンがつまらないイギリス女と結婚した、と母の悪口を言った叔母が許せず
アリスに会いに隣り村の教会へ行く
アリスは日曜に教会でお祈りしたり、ナンシーの祖母を訪ねたりしている
エレンも同行した帰り、吹雪になり、プラントのカンテラの灯りで命拾いする
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エレンは風邪で高熱を出し、いつも忙しく働くのが好きな叔母は看病してくれるが
エレンが求めるのは母親の愛情だった
回復したエレンは見舞いに来たプラントさんに讃美歌を読んでほしいと頼む
アリスも見舞いに来て、母からの手紙を渡す
父といよいよヨーロッパに渡ると書いてある
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アリスも母を亡くしているため、エレンを妹にする約束を交わし
クリスマスに招待する
●はちのよりあい
冬になると、農家では食料を蓄える仕事が忙しくなるため
みんなで集まって手伝い、ご馳走を食べる習慣がある
叔母は他人に家に入られたくないため、断ってきたが
大農家のため、よりあいを開くことにする
アリスは幼い頃、隣人の赤ちゃんの世話を頼まれて
“なすべきつとめ”を果たした時に満足した話を聞かせる
エレンはいつも一人でいる祖母に本を読んであげると泣いて喜び
これからはもっと気にかけてあげようと思う
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ナンシーもよりあい仲間にして欲しいと頼み、叔母は断るが
プラントを通して、参加してもよい許可を得る
仕事が終わり、大宴会になると、ナンシーが楽しみにしていたご馳走を食べられない様子を見て
自分のご馳走をあげて、ナンシーは感激する
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●クリスマス
エレンはアリスの家に招かれると、弟のジョンが神学校から帰省する
アリスの父ハムフレイズ牧師、親戚のマシマン家の大家族はみな
素直なエレンが大好きになる
マーガレットも招待されて来て、エレンは友だちじゃないと言い張る
マシマン家の末娘ソフィアはみんなに美しい生地をプレゼントする
公平に分けるために袋に入れて、目をつむって取るようにする
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エレンは自分が持っていた青色のモロッコ皮を
マーガレットが欲しいと言ったために譲る
本当はチラっと目に入って手にとってしまったと話す
正直に話すのはいいことだと諭すジョン
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●母の死
叔母は蜜ろうを分けてもらってくれとエレンに頼む
「ボンネットに黒いリボン(家族が亡くなった時につける)くらいつけてもいいのに」と噂を聞いて
アリスに尋ねると、母がヨーロッパで亡くなったと聞く
悲しみに暮れたエレンはしばらく牧師館に留まり、春が来る
叔母が病気になり、他人の世話を拒み、エレンが世話をする
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叔母が回復し、久しぶりに牧師館を訪ねると、マシマン家が来ていて
エレンが大好きなおじいさんが子馬をプレゼントしてくれてブラウニイと名付ける
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●父の死
父の乗った汽船が大西洋で遭難したとしらせが入る
プラントはイタチの落とし穴で大怪我をして
エレンはブラウニイに乗って、ソイルウォールへ医者を呼びに行く
以前、邪険にした店員の男に出くわし、社長に怒られてクビになった恨みで脅されているところに
ジョンが来て、助けてくれる
プラントは回復し、叔母と結婚する
●アリスの死
アリスは病気になり、エレンの看護も空しく亡くなる
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エレンは代わりに牧師館の娘となり、アリスがしていたことを全部覚えたいと女中に相談する
女中:アリスさまは、家中のみんなを喜ばせることをいつもしていました
エレンは人に尽くす幸せを初めて知る
●最後の便り
ハムフレイズの親戚が亡くなり、財産を継ぐためにジョンはイギリスに向かう
ナンシーはエレンへのお礼に、母からの最後の手紙を叔母の家からもってくる
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そこには、母の母がイギリスにいるから、自分が亡きあとはそこに行くよう書いてある
スコットランドの名家で、アメリカ人との結婚を反対して疎遠になっていたが仲直りした
旅費が入っていたのに、叔母はモルガンが借金して返さなかったため横取りして黙っていた
●イギリスへ
牧師に相談すると、イギリスに渡ったほうがいいと説得され
マシマン家が旅行するから一緒に船に乗るよう手配してくれる
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リンゼイ家に着くと、女主人、息子のジョージ、娘のカセリンが迎えてくれる
ジョージは数年前に妻を亡くし、子どももいないため、エレンを養女にする
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申し分ない生活を送るが、みんなアメリカ人を嫌っていることが悲しい
カセリン:下品なヤンキーに育ったエレンがこんなにキレイな英語を話せるなんてウソみたいね
年越しのパーティにジョンが会いに来てくれて喜ぶ
一緒にアメリカに帰りたいと頼むエレンを説得し、リンゼイ家に挨拶すると
それまで財産目当てだと疑っていた家族はジョンを好きになる
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数年後に2人は結婚し、エレンはアメリカに帰り、ハムフレイズ家で楽しく暮らす
■解説
エリザベス・ウェザレル
1819年 NY生まれ 1885年 死去
本名スーザン・ワーナー
本書の原題は『広い広い世の中』
『アンクル・トムの小屋』と並ぶ傑作と言われる
もとは長編だが、短くまとめた
コロンブスがアメリカ大陸を発見し、とくにイギリスからたくさんの移民が送られ
ほとんど植民地のようになったが、後に独立宣言をしたため
本国の人たちは“謀反人”として憎む気持ちがあった
山下一徳/カバー図案 原新一/カバー絵・口絵・挿絵
※「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します
少女が苦労して生きる『おしん』的な物語は
古今東西で感動され、名作として親しまれていることが分かる
細かい部分は違えど、母と娘の別れのシーンでは涙が出るし
ハッピーエンドにはホッと胸をなでおろす
今作には、イギリスとアメリカの微妙な関係性も出てきて興味深い
もとイギリス支配下にあった植民地から独立したことによる偏見は
現代にもあったりするのだろうか?
【内容抜粋メモ】
登場人物
エレン
モントゴメリイ夫人 エレンの母 イギリス人
モルガン・モントゴメリイ アメリカ人の父 陸軍大尉
フォルチュン・エマースン エレンの父の父違いの姉
プラント フォルチュン家で働くお百姓
アリス 牧師の娘
ナンシー 山の上に祖母と2人で住んでいる
●母と子
13歳のエレンは、突然、大好きな母と離れて暮らすことになった
病気の母が父とヨーロッパに療養する間
エレンだけアメリカの叔母に預けられることに決まる
母:どんなに悲しくても、その中に神さまがなにを教えようとしているか探し出してちょうだい
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父は家庭や子育てに疎く、ケチなため、母はエレンのものを揃えるのに
祖母の形見の指輪を売ってお金をつくる
母の具合が悪くなり、1人で洋服生地を買いに来て
若い男性店員に邪険にされて泣いていると紳士が助けてくれる
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ダンスコーム大尉の妻と娘マーガレットがソイルウォールに旅行するから
連れて行ってもらえと、急に言われて、荷物をまとめて、母と別れの言葉を交わす
母:
エレンを神さまにお預けいたします
どうぞこの子に幸せをお与えください(まるで今生の別れみたいだ
エレンにとって生まれて初めての長い旅なのに
ダンスコーム夫人とマーガレットはエレンに意地悪ばかりする
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船が港に着いて、旅館まで行く辻馬車にも乗せず
女中のテミンスと一緒に歩かせる
●カラカラ村
ソイルウォールに着いても、叔母は迎えに来ていないため
旅館のおかみは、フォルチュン夫人を手伝うお百姓プラントの牛車に乗せてもらうといいとすすめる
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家に着くと、叔母と年老いた母親がいて、1か月前にモルガンから手紙をもらったきりで
急な来訪に驚き、冷たい態度
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散歩に出たエレンが白いよそ行き靴下を汚して帰ると
白は汚れやすく、贅沢だから、と全部、灰色に染めてしまう
●いたずら娘
山の上に祖母と2人で住んでいるナンシーが来て
叔母は村いちばんの畑持ちで金持ちだけれども、ケチで有名だと悪口を言う
ナンシーの後に続いて歩き、川に落ちてずぶぬれになり
プラントさんの家でひと晩世話になる
母に手紙を出したくても、郵便局はソイルウォールにしかなく
プラントさんがたまに母からの手紙が届いていないか見てあげると約束する
叔母はエレンを学校に行かせる代わりに、家事でこきつかう
自分で勉強しようとするエレンのために
プラントさんは勉強部屋に棚をつくってくれる
●アリスとともに
叔母はエレン宛ての母からの手紙を勝手に読んでいて、泣いていると
牧師の娘アリスが優しく声をかけて、自分の悪い所を直す努力をすればいいと諭す
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モルガンがつまらないイギリス女と結婚した、と母の悪口を言った叔母が許せず
アリスに会いに隣り村の教会へ行く
アリスは日曜に教会でお祈りしたり、ナンシーの祖母を訪ねたりしている
エレンも同行した帰り、吹雪になり、プラントのカンテラの灯りで命拾いする
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エレンは風邪で高熱を出し、いつも忙しく働くのが好きな叔母は看病してくれるが
エレンが求めるのは母親の愛情だった
回復したエレンは見舞いに来たプラントさんに讃美歌を読んでほしいと頼む
アリスも見舞いに来て、母からの手紙を渡す
父といよいよヨーロッパに渡ると書いてある
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アリスも母を亡くしているため、エレンを妹にする約束を交わし
クリスマスに招待する
●はちのよりあい
冬になると、農家では食料を蓄える仕事が忙しくなるため
みんなで集まって手伝い、ご馳走を食べる習慣がある
叔母は他人に家に入られたくないため、断ってきたが
大農家のため、よりあいを開くことにする
アリスは幼い頃、隣人の赤ちゃんの世話を頼まれて
“なすべきつとめ”を果たした時に満足した話を聞かせる
エレンはいつも一人でいる祖母に本を読んであげると泣いて喜び
これからはもっと気にかけてあげようと思う
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ナンシーもよりあい仲間にして欲しいと頼み、叔母は断るが
プラントを通して、参加してもよい許可を得る
仕事が終わり、大宴会になると、ナンシーが楽しみにしていたご馳走を食べられない様子を見て
自分のご馳走をあげて、ナンシーは感激する
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●クリスマス
エレンはアリスの家に招かれると、弟のジョンが神学校から帰省する
アリスの父ハムフレイズ牧師、親戚のマシマン家の大家族はみな
素直なエレンが大好きになる
マーガレットも招待されて来て、エレンは友だちじゃないと言い張る
マシマン家の末娘ソフィアはみんなに美しい生地をプレゼントする
公平に分けるために袋に入れて、目をつむって取るようにする
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エレンは自分が持っていた青色のモロッコ皮を
マーガレットが欲しいと言ったために譲る
本当はチラっと目に入って手にとってしまったと話す
正直に話すのはいいことだと諭すジョン
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●母の死
叔母は蜜ろうを分けてもらってくれとエレンに頼む
「ボンネットに黒いリボン(家族が亡くなった時につける)くらいつけてもいいのに」と噂を聞いて
アリスに尋ねると、母がヨーロッパで亡くなったと聞く
悲しみに暮れたエレンはしばらく牧師館に留まり、春が来る
叔母が病気になり、他人の世話を拒み、エレンが世話をする
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エレンが大好きなおじいさんが子馬をプレゼントしてくれてブラウニイと名付ける
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●父の死
父の乗った汽船が大西洋で遭難したとしらせが入る
プラントはイタチの落とし穴で大怪我をして
エレンはブラウニイに乗って、ソイルウォールへ医者を呼びに行く
以前、邪険にした店員の男に出くわし、社長に怒られてクビになった恨みで脅されているところに
ジョンが来て、助けてくれる
プラントは回復し、叔母と結婚する
●アリスの死
アリスは病気になり、エレンの看護も空しく亡くなる
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エレンは代わりに牧師館の娘となり、アリスがしていたことを全部覚えたいと女中に相談する
女中:アリスさまは、家中のみんなを喜ばせることをいつもしていました
エレンは人に尽くす幸せを初めて知る
●最後の便り
ハムフレイズの親戚が亡くなり、財産を継ぐためにジョンはイギリスに向かう
ナンシーはエレンへのお礼に、母からの最後の手紙を叔母の家からもってくる
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そこには、母の母がイギリスにいるから、自分が亡きあとはそこに行くよう書いてある
スコットランドの名家で、アメリカ人との結婚を反対して疎遠になっていたが仲直りした
旅費が入っていたのに、叔母はモルガンが借金して返さなかったため横取りして黙っていた
●イギリスへ
牧師に相談すると、イギリスに渡ったほうがいいと説得され
マシマン家が旅行するから一緒に船に乗るよう手配してくれる
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リンゼイ家に着くと、女主人、息子のジョージ、娘のカセリンが迎えてくれる
ジョージは数年前に妻を亡くし、子どももいないため、エレンを養女にする
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申し分ない生活を送るが、みんなアメリカ人を嫌っていることが悲しい
カセリン:下品なヤンキーに育ったエレンがこんなにキレイな英語を話せるなんてウソみたいね
年越しのパーティにジョンが会いに来てくれて喜ぶ
一緒にアメリカに帰りたいと頼むエレンを説得し、リンゼイ家に挨拶すると
それまで財産目当てだと疑っていた家族はジョンを好きになる
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数年後に2人は結婚し、エレンはアメリカに帰り、ハムフレイズ家で楽しく暮らす
■解説
エリザベス・ウェザレル
1819年 NY生まれ 1885年 死去
本名スーザン・ワーナー
本書の原題は『広い広い世の中』
『アンクル・トムの小屋』と並ぶ傑作と言われる
もとは長編だが、短くまとめた
コロンブスがアメリカ大陸を発見し、とくにイギリスからたくさんの移民が送られ
ほとんど植民地のようになったが、後に独立宣言をしたため
本国の人たちは“謀反人”として憎む気持ちがあった