メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

岩波少年文庫 2081 隊商 キャラバン ハウフ/作 岩波書店

2024-09-12 18:58:20 | 
1977年初版 1995年第6刷 高橋健二/訳 ヨーゼフ・ヘーゲンバルト/挿絵

「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します

隊商(キャラバン)が砂漠を旅する過程と
1人ずつ話を披露する短編とが交差する構成

あらゆる人が出てきて、複雑に絡み合い
独特な言い回しもあって、ストーリーが読み取りにくい感じがした


【内容抜粋メモ】

商人衆のキャラバンに堂々とした男ゼリムが加わり
退屈だから1人ずつ物語を披露しようともちかけ
まず言い出した自分から話を始める


■コクノトリになったカリフの話
カリフ(回教国の王)カシドと宰相マンゾルは
商人からいろいろ買ったついでに小箱を手に入れる

学者ゼリム:
粉をかいで、ムタボルと唱えると動物に変身できる
東を向いて3回礼をし、呪文を唱えれば人間に戻れるが
笑ってしまうと戻れなくなる

カシドとマンゾルはコウノトリに変身し、滑稽な踊りを見て笑ってしまい呪文を忘れて焦る
フクロウに身を変えられた王女は、プロポーズされるまで魔法が解けないと泣く







カシドはプロポーズして、魔法使いから呪文を聞き、ヒトに戻る
王女も美しい姿に戻る








■幽霊船の話
アハメットが語る
乗っていた船が沈み、アハメットと老僕は幽霊船を見つけて助かる








船には2、30の死体が転がり、船長はクギで額を帆柱に打ち付けられている
海に葬ろうにもびくともしない
夜になると、みんな生き返り、朝になると死体に戻る

陸地を見つけ、賢いムライに聞いて、死体を板からはがすと灰に戻る
船長は50年もの間、ずっと呪いがかけられていたが
ようやく死ぬことができると感謝し、お礼に宝をあげる


■切り取られた手の話
左手をなくしたツァロイコスが語る

医者の勉強をして、父が亡くなり、多額の遺産はなぜか教会に寄付されて一文無しになる
インドのものをイタリアで売る商売で身を立てる

ある時、メモを見つけて、橋に来いと呼ばれて行くと
赤いマントの男が現れて消える

そのマントを店に置いて、男が現れるのを待つが
若い男がマントを大金で買ってしまう

マントに倍で買うというメモを見つけて、金を払って返してもらい、マントの男に会う
亡くなった妹の頭を切って、父の所に持って行かねばならない手伝いをしてほしいと頼まれる

メスで首を切ると、女はまだ生きていたと分かるが時すでに遅し
彼女は知事の娘ビアンカと分かり、結婚に関する警告を受けていた









片手を切り、財産没収、永久追放の条件で命は助かる
マントの男は家を買い、不自由のない暮らしを提供する








■ファトメの救い出し
弟ムスタファと妹ファトメらを乗せた船が転覆し、海賊に誘拐され
父から永久追放され、探しに出かける

テントの大将オルバザンからズリアイカの総督に間違われて
部下の小男も彼に間違いないとウソの証言をするが
後にそっくりな本人が捕まり、人違いを謝り
金貨と短刀を預けて、助けが必要な時にいつでも駆けつけると約束する

奴隷市に着くと、きょうだいはティウリという老人が高値で買った後
総督になりすましてテントに入るが小男がいて、妹を嫁にくれないとウソを暴くと脅される

医師になりすまし、奴隷は重病だとウソを言って仮死状態になるクスリを与える
女奴隷が死んで棺に入れられたのを確かめるとファトメと名付けられた別の女
彼女は噴水の管から逃げる方法を教える


■小さいムクの話
ムライが語る
故郷に小さい男ムクが住んでいて、幼い頃からかったのを父に怒られムチで打たれる









ムクの生い立ちについて父が語る
ムクの父が亡くなり、形見として長い剣を持って幸せを求める旅に出た

たくさんの犬猫のためにおかゆを食べさせているアハヴツィ夫人の下男になるも
ここにも幸せはなく、大きな靴とステッキを盗んで家を出る

魔法の靴はものすごい速さで走り、3度かかとで周ると好きな所にワープできる
ステッキは3度叩くと宝があり、2度たたくと銀を見つける

ムクは競走に勝って王の早飛脚の職につくが、他の家来に嫉妬される
王の父が庭に埋めた金を探して家来にふるまうと、国庫から盗んだ疑いをかけられて捕まる
命請いをする代わりに、王に靴をあげる

いちじくの実を食べて鼻と耳が伸び、第二の木で元通りになる秘密を知り
王のご馳走にふるまい、鼻と耳が伸びた王は、宝をなんでもあげるから元に戻せと頼む

ムクは靴とステッキを持って、王はそのままにして国を出た
その後も人間を軽蔑して信じなくなった








■偽りの王子のおとぎ話
仕立屋の職人ラバカンは、トルコ皇帝の服の仕立てを頼まれ
着てみるとよく似合ったため、わけありの王子として旅に出る








オマルは王の息子だが、恐ろしい予言のために別に育てられた
22歳になり、円柱のそばに行き、短剣を渡して王子の身の上を明かす予定だと話す

ラバカンは羨ましくて、剣を奪って、先に円柱に着き、自分が王子オマルだと名乗る
後から来た本人を仕立屋ラバカンだとウソの証言をする

王妃はオマルがにせものだと見抜き、2人に上着とズボンをつくるよう命令する
ラバカンは上手く縫ったが、オマルは失敗したのを見て、オマルこそ王子だという

迷った王は仙女に聞くと、2つの箱のうち正しいほうを選んだのが王子だと教わる
幸いと富を選んだラバカンの箱には針と糸
誉れと栄光を選んだオマルの箱には王冠と勺が入っていて、オマルが本物だと分かる









オマルの情けにより助かったラバカンは師匠の元に戻るが散々叩かれて放り出される

小箱を売った金で店を持つと、小箱に入っていた針はひとりでに上手に縫物をし
糸は永遠になくならないと分かる



キャラバンが目的地に到着する
ゼリムが赤いマントを着けてツァロイコスの前に現れて身の上を明かす

兄は若い娘ビアンカと結婚したが、ナポリ人と駆け落ちしてしまった
父と兄は政府の疑いを受けて処刑された

母が呪うフィレンツェ人は知事になっていた
彼を嫌う下男を買収し、娘ビアンカの二度目の結婚を阻止するためにツァロイコスに頼んだ

その罪を許してほしいと頼む
彼は盗賊オルバザン?



解説

ヴィルヘルム・ハウフ
1802年 ドイツ生まれ
父はヴィルヘルムが7歳の時、37歳で亡くなった
修道院学校を経て、家庭教師になる
長い文学修行の旅に出て、いとこルイーゼと結婚
25歳で病死 娘の誕生を喜んで1週間後だった



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