1969年初版 亀山竜樹/訳 ディック・ハート/画
※「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します
本書に描かれているような、貧しくて、複雑な事情の中で暮らす子どもたちもいるんだな
どんなに小さくても、さらに無力なきょうだいを全力で守ろうとする子どもたち
顔色が悪かったり、衣服が乱れていたりっていう、ちょっとした観察で
困っている状況を見つけて、協力してあげることもできるのか
親戚の居場所を尋ねた時も、少年が空腹じゃないか聞いて
見知らぬおじさんがハムをはさんだサンドイッチをつくって
オートバイに乗せてくれたりする、優しさ、親切な心づかいのある大人に自分もなりたいなと思う
【内容抜粋メモ】
登場人物
ケビン 13歳の少年
サンドラ 妹
ハロルド いとこ
ジーン ハロルドの妹
ウォルター
ドリス
ディック 14歳 ケビンの友だち
ボブおじさん
アンソニー・ボイド(トニー) 教会の牧師補
シェイラ・ウッドロー 国語教師
●1
ジャングル街は、薄汚い、古ぼけた場所で
もうすぐ取り壊されることになっている
両親が亡くなり、ケビンと妹サンドラは叔父ウォルターのもとで暮らしている
いとこのハロルドは夢見がちで、宇宙飛行士になった空想が好き
いとこの母親は家出して、ドリスが世話をしているが
怠惰でいつもウォルターとケンカしては
家を出ると脅している
ケビンが友だちのディックとフットボールの試合を見に行った帰り
ウォルターとドリスが慌てて家を出て行くのを見る
その夜、2人はとうとう帰らず、子どもたちは少しの夕飯を食べて寝る
茶つぼに10シリング見つける
●2
このまま2人が帰らなかったら、警察に届けようかとも思うが
きょうだいがバラバラに施設に入れられることを怖れて
2、3日、自分たちでなんとかして、ダメならボブおじさんに頼ろうと決める
ディック:
食事に困ったらウチに来ればいいし
僕が働いている新聞店で僕の受け持ちを譲るよ
みんなでガンブル原っぱに引っ越せばいい!
●3
ガンブル原っぱは、家々の外れにあり、誰もこないし
ディックは友だちのビルと空き家になっている倉庫を見つけて
秘密の隠れ家に改造していたのを教える
はしごで上がり、近くの配水塔から水を汲む
敷物をはがして、あげぶたからも出入りできる
みんなでそこを“農場のおやしき”と呼ぶことにする
ガンブル原っぱからライトバンが来て
ちょびひげの男が運転しているのを見かける
ケビンは不安に思うが、ディックは気にしなくて大丈夫とうけあう
●4
フレッドが貸してくれたリヤカーに家のモノを乗せて、夜中に運ぶ
ハロルドは1人で家に戻り、父からもらった宇宙ヘルメットを持ち出す
ハロルド:父ちゃんがプレゼントしてくれたことは、これきりしかないんだもん
ハロルドは1人で原っぱにいた時、おじさんたちが倉庫に箱をたくさんおろしたのを見たという
ケビンも箱を見るが、翌朝には全部消えていた
●5
モールドさんに新聞配りをさせてほしいと頼む
モールド:
教育委員会の許可をもらわないとダメだ
まず父親の承諾書がいる
それから福祉委員が確かめに来る
ケビンはすぐにお金が必要なことを訴えて
なんとか明日から2週間ほど雇ってもらう
週に15シリングもらえるが、子どもたちを食べさせるには足りない
倉庫にある材木を切って、薪束にして売ろうと計画
荷物が消えた事件をディックに話すが、問題にしない
●6
知っている人に会わないために、ジャングル街から離れたツバキが丘へ薪を売りに行き
1時間ほどで6シリング稼ぐ
敵対している一団と鉢合わせてケンカになり
セント・ジュード教会の牧師補アンソニー・ボイドさんが止めに入る
どうしてケビンがそれほどお金が欲しいか聞いて、家に行くと言うので
ボイドさんの下宿で話したいと言って、行くと
国語教師ウッドローがいて婚約者だと紹介する
2人に事情を話すと、叔父が来るまで警察には言わないと約束する
ウッドローはサンドイッチをつくって子どもたちに食べさせる
トニー:明日、ケビンとボクでボブおじさんを訪ねよう 17時の汽車に乗るからね
帰り道、ケビンとディックは男2人がトラックから降りて
3、40箱の荷物をおろしていくのを見る
そのうちの1人はウォルターそっくりだった
●7
ディック:荷箱の1つをおやしきへ持っていこうぜ!
赤鉛筆で×印をつけた箱が1つあり、ディックは新聞紙をかぶせて隠す
翌日の早朝、ケビンが物音で目を覚まし、はしけ船にウォルターらが荷箱を運ぶのを見る
マークのついた箱は残されていた
ディックは疲れが重なり、地理の授業中に居眠りしていたのを叱られて
放課後に居残りを命じられる
遅れてトニーの下宿に行くと、誰もいない
おやしきに戻ると、子どもたちもいない
すっかり気が動転して、ディックに相談
ディック:君は1人で汽車に乗ってボブおじさんを連れて来るんだ
2人で印のある荷箱をやしきに上げ、中を見ると普通の電気アイロンが入っていた
●8
前にボブおじさんを訪ねたのは4年前、ケビンが9歳の時
両親が亡くなった時、きょうだいを引き取りたくても奥さんが病気で叶わなかった
ケビンは汽車で“赤んぼうづらのフリックが刑務所から脱走した”という記事を読む
駅に着いて、歩いて叔父の家に着くと、1年前に引っ越していた
店の主人ハリスン氏に聞くと、スカーショルム地域に引っ越したが
だだっ広いため、息子マイクのバイクで送るよう言いつける
ハリスン:
叔父さんは、木球ゲームの名手だった 今もやってるに違いねえ
スカーショルムのシティ・アームズってクラブに行けば分かるだろう
ハリスンさんはお腹を空かせたケビンにサンドイッチを作って食べさせる
●9
クラブで聞いても、叔父を知る人はいない
その他の3つの木球ゲームをする場所を周っても分からなかった
マイク:とにかく、親父が晩の食事はごちそうするし、帰りの切符くらい世話してくれるさ
マイクが道に迷って困っているところに、ボブおじさんが偶然通りかかって
事情を話して、次の9時の汽車に乗る
●10,11
ディック:
印の箱にサンタ・ルシア共和国の旅券が入っていた
誰かをイギリスから脱出させるために用意したんだ
近くにある北西連絡運河から盗んだ品を非公式貿易して
人間も密輸出しているに違いない
ケビンは新聞で読んだフリックがダイヤモンドを盗んだ事件に関連していると推測する
原っぱの倉庫にいつ戻ってくるか分からない
そこにシェイラのもとで泊っているはずのハロルドが1人でおやしきに戻ってきた
ハロルド:どこにも行くとこがないんだ!
トラックの音がして見ると、女に変装したフリックが
印の入った箱がないと仲間ともめている
ビンス:2、3日前、ガキどもがうろついてた
フリックが窓から入ろうとして、ディックが突き飛ばして
ケビンとハロルドに逃げるよう指示する
●12
ケビンはハロルドを倉庫に隠れているよう言い、トニーとボブおじさんに危険を知らせる
店の電話を借りようにも女主人が話を聞かず、電話ボックスまで走って警察に知らせる
●13
倉庫に戻ると、ハロルドを心配して来たサンドラがフリックに人質にとられている
ディックはぐったりしている
近くにいたケビンは電気アイロンを投げて、フリックの注意がそれたため
トニー、ボブおじさん、ディックも含めて大乱闘になる
はしけ船で着いたウォルターはハロルドの呼ぶ声に気づいて味方に入る
フリックは海に落ちて、泳げないんだと助けを求める
警察が来て、電気アイロンの中からダイヤモンドが出てきた
●14
ウォルターは盗難や脱獄について何も知らなかったため罪に問われず
また子どもたちを家に連れて帰り、面倒をみると約束
ドリスは家を出て、町をうろついていたのをシェイラが見つけて
また一緒に住むことになる
トニー:
ウォルターは君が思うほどろくでなしでもないよ
理想的な家庭でなくても、もっと恵まれない環境で暮らすたくさんの子どもたちがいるんだ
ボブおじさんは家賃をうけもつと約束し
子どもたちにはいつもの日常が戻る
■あとがき
ジョン・ロウ・タウンゼンド
イギリス生まれ
新聞社で働き、貧しい社会環境の児童に関心を持ち続け、本書で高い評価を得た
続編『さよならジャングル街』
貧しい社会の人々の連帯意識、さまざまな性格の人々への理解と愛情を描く
※「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します
本書に描かれているような、貧しくて、複雑な事情の中で暮らす子どもたちもいるんだな
どんなに小さくても、さらに無力なきょうだいを全力で守ろうとする子どもたち
顔色が悪かったり、衣服が乱れていたりっていう、ちょっとした観察で
困っている状況を見つけて、協力してあげることもできるのか
親戚の居場所を尋ねた時も、少年が空腹じゃないか聞いて
見知らぬおじさんがハムをはさんだサンドイッチをつくって
オートバイに乗せてくれたりする、優しさ、親切な心づかいのある大人に自分もなりたいなと思う
【内容抜粋メモ】
登場人物
ケビン 13歳の少年
サンドラ 妹
ハロルド いとこ
ジーン ハロルドの妹
ウォルター
ドリス
ディック 14歳 ケビンの友だち
ボブおじさん
アンソニー・ボイド(トニー) 教会の牧師補
シェイラ・ウッドロー 国語教師
●1
ジャングル街は、薄汚い、古ぼけた場所で
もうすぐ取り壊されることになっている
両親が亡くなり、ケビンと妹サンドラは叔父ウォルターのもとで暮らしている
いとこのハロルドは夢見がちで、宇宙飛行士になった空想が好き
いとこの母親は家出して、ドリスが世話をしているが
怠惰でいつもウォルターとケンカしては
家を出ると脅している
ケビンが友だちのディックとフットボールの試合を見に行った帰り
ウォルターとドリスが慌てて家を出て行くのを見る
その夜、2人はとうとう帰らず、子どもたちは少しの夕飯を食べて寝る
茶つぼに10シリング見つける
●2
このまま2人が帰らなかったら、警察に届けようかとも思うが
きょうだいがバラバラに施設に入れられることを怖れて
2、3日、自分たちでなんとかして、ダメならボブおじさんに頼ろうと決める
ディック:
食事に困ったらウチに来ればいいし
僕が働いている新聞店で僕の受け持ちを譲るよ
みんなでガンブル原っぱに引っ越せばいい!
●3
ガンブル原っぱは、家々の外れにあり、誰もこないし
ディックは友だちのビルと空き家になっている倉庫を見つけて
秘密の隠れ家に改造していたのを教える
はしごで上がり、近くの配水塔から水を汲む
敷物をはがして、あげぶたからも出入りできる
みんなでそこを“農場のおやしき”と呼ぶことにする
ガンブル原っぱからライトバンが来て
ちょびひげの男が運転しているのを見かける
ケビンは不安に思うが、ディックは気にしなくて大丈夫とうけあう
●4
フレッドが貸してくれたリヤカーに家のモノを乗せて、夜中に運ぶ
ハロルドは1人で家に戻り、父からもらった宇宙ヘルメットを持ち出す
ハロルド:父ちゃんがプレゼントしてくれたことは、これきりしかないんだもん
ハロルドは1人で原っぱにいた時、おじさんたちが倉庫に箱をたくさんおろしたのを見たという
ケビンも箱を見るが、翌朝には全部消えていた
●5
モールドさんに新聞配りをさせてほしいと頼む
モールド:
教育委員会の許可をもらわないとダメだ
まず父親の承諾書がいる
それから福祉委員が確かめに来る
ケビンはすぐにお金が必要なことを訴えて
なんとか明日から2週間ほど雇ってもらう
週に15シリングもらえるが、子どもたちを食べさせるには足りない
倉庫にある材木を切って、薪束にして売ろうと計画
荷物が消えた事件をディックに話すが、問題にしない
●6
知っている人に会わないために、ジャングル街から離れたツバキが丘へ薪を売りに行き
1時間ほどで6シリング稼ぐ
敵対している一団と鉢合わせてケンカになり
セント・ジュード教会の牧師補アンソニー・ボイドさんが止めに入る
どうしてケビンがそれほどお金が欲しいか聞いて、家に行くと言うので
ボイドさんの下宿で話したいと言って、行くと
国語教師ウッドローがいて婚約者だと紹介する
2人に事情を話すと、叔父が来るまで警察には言わないと約束する
ウッドローはサンドイッチをつくって子どもたちに食べさせる
トニー:明日、ケビンとボクでボブおじさんを訪ねよう 17時の汽車に乗るからね
帰り道、ケビンとディックは男2人がトラックから降りて
3、40箱の荷物をおろしていくのを見る
そのうちの1人はウォルターそっくりだった
●7
ディック:荷箱の1つをおやしきへ持っていこうぜ!
赤鉛筆で×印をつけた箱が1つあり、ディックは新聞紙をかぶせて隠す
翌日の早朝、ケビンが物音で目を覚まし、はしけ船にウォルターらが荷箱を運ぶのを見る
マークのついた箱は残されていた
ディックは疲れが重なり、地理の授業中に居眠りしていたのを叱られて
放課後に居残りを命じられる
遅れてトニーの下宿に行くと、誰もいない
おやしきに戻ると、子どもたちもいない
すっかり気が動転して、ディックに相談
ディック:君は1人で汽車に乗ってボブおじさんを連れて来るんだ
2人で印のある荷箱をやしきに上げ、中を見ると普通の電気アイロンが入っていた
●8
前にボブおじさんを訪ねたのは4年前、ケビンが9歳の時
両親が亡くなった時、きょうだいを引き取りたくても奥さんが病気で叶わなかった
ケビンは汽車で“赤んぼうづらのフリックが刑務所から脱走した”という記事を読む
駅に着いて、歩いて叔父の家に着くと、1年前に引っ越していた
店の主人ハリスン氏に聞くと、スカーショルム地域に引っ越したが
だだっ広いため、息子マイクのバイクで送るよう言いつける
ハリスン:
叔父さんは、木球ゲームの名手だった 今もやってるに違いねえ
スカーショルムのシティ・アームズってクラブに行けば分かるだろう
ハリスンさんはお腹を空かせたケビンにサンドイッチを作って食べさせる
●9
クラブで聞いても、叔父を知る人はいない
その他の3つの木球ゲームをする場所を周っても分からなかった
マイク:とにかく、親父が晩の食事はごちそうするし、帰りの切符くらい世話してくれるさ
マイクが道に迷って困っているところに、ボブおじさんが偶然通りかかって
事情を話して、次の9時の汽車に乗る
●10,11
ディック:
印の箱にサンタ・ルシア共和国の旅券が入っていた
誰かをイギリスから脱出させるために用意したんだ
近くにある北西連絡運河から盗んだ品を非公式貿易して
人間も密輸出しているに違いない
ケビンは新聞で読んだフリックがダイヤモンドを盗んだ事件に関連していると推測する
原っぱの倉庫にいつ戻ってくるか分からない
そこにシェイラのもとで泊っているはずのハロルドが1人でおやしきに戻ってきた
ハロルド:どこにも行くとこがないんだ!
トラックの音がして見ると、女に変装したフリックが
印の入った箱がないと仲間ともめている
ビンス:2、3日前、ガキどもがうろついてた
フリックが窓から入ろうとして、ディックが突き飛ばして
ケビンとハロルドに逃げるよう指示する
●12
ケビンはハロルドを倉庫に隠れているよう言い、トニーとボブおじさんに危険を知らせる
店の電話を借りようにも女主人が話を聞かず、電話ボックスまで走って警察に知らせる
●13
倉庫に戻ると、ハロルドを心配して来たサンドラがフリックに人質にとられている
ディックはぐったりしている
近くにいたケビンは電気アイロンを投げて、フリックの注意がそれたため
トニー、ボブおじさん、ディックも含めて大乱闘になる
はしけ船で着いたウォルターはハロルドの呼ぶ声に気づいて味方に入る
フリックは海に落ちて、泳げないんだと助けを求める
警察が来て、電気アイロンの中からダイヤモンドが出てきた
●14
ウォルターは盗難や脱獄について何も知らなかったため罪に問われず
また子どもたちを家に連れて帰り、面倒をみると約束
ドリスは家を出て、町をうろついていたのをシェイラが見つけて
また一緒に住むことになる
トニー:
ウォルターは君が思うほどろくでなしでもないよ
理想的な家庭でなくても、もっと恵まれない環境で暮らすたくさんの子どもたちがいるんだ
ボブおじさんは家賃をうけもつと約束し
子どもたちにはいつもの日常が戻る
■あとがき
ジョン・ロウ・タウンゼンド
イギリス生まれ
新聞社で働き、貧しい社会環境の児童に関心を持ち続け、本書で高い評価を得た
続編『さよならジャングル街』
貧しい社会の人々の連帯意識、さまざまな性格の人々への理解と愛情を描く