メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

少年少女学研文庫 ぼくらのジャングル街 ジョン・ロウ・タウンゼンド 学研

2024-09-05 15:18:23 | 
1969年初版 亀山竜樹/訳 ディック・ハート/画

「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します


本書に描かれているような、貧しくて、複雑な事情の中で暮らす子どもたちもいるんだな
どんなに小さくても、さらに無力なきょうだいを全力で守ろうとする子どもたち

顔色が悪かったり、衣服が乱れていたりっていう、ちょっとした観察で
困っている状況を見つけて、協力してあげることもできるのか

親戚の居場所を尋ねた時も、少年が空腹じゃないか聞いて
見知らぬおじさんがハムをはさんだサンドイッチをつくって
オートバイに乗せてくれたりする、優しさ、親切な心づかいのある大人に自分もなりたいなと思う


【内容抜粋メモ】

登場人物
ケビン 13歳の少年
サンドラ 妹
ハロルド いとこ
ジーン ハロルドの妹
ウォルター
ドリス

ディック 14歳 ケビンの友だち
ボブおじさん
アンソニー・ボイド(トニー) 教会の牧師補
シェイラ・ウッドロー 国語教師









●1
ジャングル街は、薄汚い、古ぼけた場所で
もうすぐ取り壊されることになっている

両親が亡くなり、ケビンと妹サンドラは叔父ウォルターのもとで暮らしている
いとこのハロルドは夢見がちで、宇宙飛行士になった空想が好き

いとこの母親は家出して、ドリスが世話をしているが
怠惰でいつもウォルターとケンカしては
家を出ると脅している

ケビンが友だちのディックとフットボールの試合を見に行った帰り
ウォルターとドリスが慌てて家を出て行くのを見る

その夜、2人はとうとう帰らず、子どもたちは少しの夕飯を食べて寝る
茶つぼに10シリング見つける



●2
このまま2人が帰らなかったら、警察に届けようかとも思うが
きょうだいがバラバラに施設に入れられることを怖れて
2、3日、自分たちでなんとかして、ダメならボブおじさんに頼ろうと決める









ディック:
食事に困ったらウチに来ればいいし
僕が働いている新聞店で僕の受け持ちを譲るよ
みんなでガンブル原っぱに引っ越せばいい!


●3
ガンブル原っぱは、家々の外れにあり、誰もこないし
ディックは友だちのビルと空き家になっている倉庫を見つけて
秘密の隠れ家に改造していたのを教える

はしごで上がり、近くの配水塔から水を汲む
敷物をはがして、あげぶたからも出入りできる
みんなでそこを“農場のおやしき”と呼ぶことにする

ガンブル原っぱからライトバンが来て
ちょびひげの男が運転しているのを見かける
ケビンは不安に思うが、ディックは気にしなくて大丈夫とうけあう


●4
フレッドが貸してくれたリヤカーに家のモノを乗せて、夜中に運ぶ
ハロルドは1人で家に戻り、父からもらった宇宙ヘルメットを持ち出す
ハロルド:父ちゃんがプレゼントしてくれたことは、これきりしかないんだもん









ハロルドは1人で原っぱにいた時、おじさんたちが倉庫に箱をたくさんおろしたのを見たという
ケビンも箱を見るが、翌朝には全部消えていた


●5
モールドさんに新聞配りをさせてほしいと頼む

モールド:
教育委員会の許可をもらわないとダメだ
まず父親の承諾書がいる
それから福祉委員が確かめに来る

ケビンはすぐにお金が必要なことを訴えて
なんとか明日から2週間ほど雇ってもらう
週に15シリングもらえるが、子どもたちを食べさせるには足りない

倉庫にある材木を切って、薪束にして売ろうと計画
荷物が消えた事件をディックに話すが、問題にしない







●6
知っている人に会わないために、ジャングル街から離れたツバキが丘へ薪を売りに行き
1時間ほどで6シリング稼ぐ

敵対している一団と鉢合わせてケンカになり
セント・ジュード教会の牧師補アンソニー・ボイドさんが止めに入る







どうしてケビンがそれほどお金が欲しいか聞いて、家に行くと言うので
ボイドさんの下宿で話したいと言って、行くと
国語教師ウッドローがいて婚約者だと紹介する

2人に事情を話すと、叔父が来るまで警察には言わないと約束する
ウッドローはサンドイッチをつくって子どもたちに食べさせる
トニー:明日、ケビンとボクでボブおじさんを訪ねよう 17時の汽車に乗るからね

帰り道、ケビンとディックは男2人がトラックから降りて
3、40箱の荷物をおろしていくのを見る
そのうちの1人はウォルターそっくりだった








●7
ディック:荷箱の1つをおやしきへ持っていこうぜ!

赤鉛筆で×印をつけた箱が1つあり、ディックは新聞紙をかぶせて隠す
翌日の早朝、ケビンが物音で目を覚まし、はしけ船にウォルターらが荷箱を運ぶのを見る
マークのついた箱は残されていた

ディックは疲れが重なり、地理の授業中に居眠りしていたのを叱られて
放課後に居残りを命じられる

遅れてトニーの下宿に行くと、誰もいない
おやしきに戻ると、子どもたちもいない
すっかり気が動転して、ディックに相談

ディック:君は1人で汽車に乗ってボブおじさんを連れて来るんだ

2人で印のある荷箱をやしきに上げ、中を見ると普通の電気アイロンが入っていた









●8
前にボブおじさんを訪ねたのは4年前、ケビンが9歳の時
両親が亡くなった時、きょうだいを引き取りたくても奥さんが病気で叶わなかった

ケビンは汽車で“赤んぼうづらのフリックが刑務所から脱走した”という記事を読む
駅に着いて、歩いて叔父の家に着くと、1年前に引っ越していた

店の主人ハリスン氏に聞くと、スカーショルム地域に引っ越したが
だだっ広いため、息子マイクのバイクで送るよう言いつける

ハリスン:
叔父さんは、木球ゲームの名手だった 今もやってるに違いねえ
スカーショルムのシティ・アームズってクラブに行けば分かるだろう

ハリスンさんはお腹を空かせたケビンにサンドイッチを作って食べさせる






●9
クラブで聞いても、叔父を知る人はいない
その他の3つの木球ゲームをする場所を周っても分からなかった
マイク:とにかく、親父が晩の食事はごちそうするし、帰りの切符くらい世話してくれるさ

マイクが道に迷って困っているところに、ボブおじさんが偶然通りかかって
事情を話して、次の9時の汽車に乗る








●10,11

ディック:
印の箱にサンタ・ルシア共和国の旅券が入っていた
誰かをイギリスから脱出させるために用意したんだ
近くにある北西連絡運河から盗んだ品を非公式貿易して
人間も密輸出しているに違いない

ケビンは新聞で読んだフリックがダイヤモンドを盗んだ事件に関連していると推測する
原っぱの倉庫にいつ戻ってくるか分からない

そこにシェイラのもとで泊っているはずのハロルドが1人でおやしきに戻ってきた
ハロルド:どこにも行くとこがないんだ!

トラックの音がして見ると、女に変装したフリックが
印の入った箱がないと仲間ともめている
ビンス:2、3日前、ガキどもがうろついてた

フリックが窓から入ろうとして、ディックが突き飛ばして
ケビンとハロルドに逃げるよう指示する









●12
ケビンはハロルドを倉庫に隠れているよう言い、トニーとボブおじさんに危険を知らせる
店の電話を借りようにも女主人が話を聞かず、電話ボックスまで走って警察に知らせる


●13
倉庫に戻ると、ハロルドを心配して来たサンドラがフリックに人質にとられている
ディックはぐったりしている

近くにいたケビンは電気アイロンを投げて、フリックの注意がそれたため
トニー、ボブおじさん、ディックも含めて大乱闘になる

はしけ船で着いたウォルターはハロルドの呼ぶ声に気づいて味方に入る
フリックは海に落ちて、泳げないんだと助けを求める

警察が来て、電気アイロンの中からダイヤモンドが出てきた












●14
ウォルターは盗難や脱獄について何も知らなかったため罪に問われず
また子どもたちを家に連れて帰り、面倒をみると約束

ドリスは家を出て、町をうろついていたのをシェイラが見つけて
また一緒に住むことになる








トニー:
ウォルターは君が思うほどろくでなしでもないよ
理想的な家庭でなくても、もっと恵まれない環境で暮らすたくさんの子どもたちがいるんだ

ボブおじさんは家賃をうけもつと約束し
子どもたちにはいつもの日常が戻る


あとがき

ジョン・ロウ・タウンゼンド
イギリス生まれ
新聞社で働き、貧しい社会環境の児童に関心を持ち続け、本書で高い評価を得た

続編『さよならジャングル街』

貧しい社会の人々の連帯意識、さまざまな性格の人々への理解と愛情を描く



コメント

映画『銀座二十四帖』(1955)

2024-09-05 14:44:00 | 映画
監督:川島雄三

出演
京極和歌子:月丘夢路 菊川
京極克己:河津清三郎
仲町雪乃:北原三枝 ワカコのいとこ
三室戸完(花売コニイ):三橋達也
ルリちゃん:浅丘ルリ子
望月三太郎:大坂志郎 画家
桃山豪:安部徹 画家
赤石峰男:岡田真澄 野球選手
湯川修:長谷部健
三ッ星伍郎:芦田伸介
ほか



主題歌♪銀座の雀/歌とジョッキー 森繁久彌

日活プラス対象作品

これも“よろめき”の部類なのかな?









【内容抜粋メモ】
主題歌♪銀座の雀 が流れる

森繁さんが軽快にナレーションをつけている

新田銀座 サロンひとみ
下着の女性が「シャネルの5番を買ってきて」と頼む

地方から花が運ばれてきて競りにかけられる
三室戸完(花売コニイ)も競りで花を仕入れる

銀座@東京
上空からの映像 350年前は海だった?!
バー、喫茶だけでなく、豆腐屋、八百屋もある
築地から新鮮な魚を届ける三輪車

ヒロインは京極和歌子さん
花屋コニーでバラを買おうとして予約済み
コニイ:ボクもバラ好きです
ルリが花束をつくる
ルリ:私たちみなしごなんです

引き出しから麻薬“ポン”のカプセルが出てきてジープ政に問いただす
チャー坊に頼まれたと聞いて責める
チャー坊:私もきっぱりやめたのよ!

菊川にバラを届けるルリ
絵を選別してるギャラリー経営者

父が満州にいた頃、学生ゴロウが描いたワカコの少女時代の絵を褒める
ワカコ:若い頃の思い出にとっておきたい







夫・克己は行方不明

新橋駅、有楽町駅の鉄道事情
大阪から来たいとこ仲町雪乃を迎えに来たワカコ
汽車で野球選手・赤石峰男と仲良くなったと紹介する

夫からの伝言があると男が声をかけて去る

夜の銀座をぶらつくワカコとユキノ
画廊が多い銀座
少女時代のワカコの絵になにか気づいたコニイ

ユキノは男シュウとぶつかって、すぐにデートに出かける
コニイはカップルに花を売って歩く







チャー坊:ジープはまだポンを打ってる
コニイ:銀座からたたき出してやる!
チャー坊:組織だってて危ないわ

メキシコっぽい生バンドで主題歌を歌う女性たち

フランスかぶれの画家・桃山:GMというサインの男を知っている とウソをつく

コニイ:
同じタッチの絵描きを知っている
その人はもう生きてはいないでしょう

ミス平凡コンクール
審査員は映画関係者や漫画家、桃山もいる
1人ずつ台に上がって、男たちがタバコをふかしながら見比べる
大阪代表ユキノがドレスを着て登場 3位だった

女将は娘タマヨちゃんを引き取るようワカコにアドバイスする

絵を描いてる望月三太郎はやたらとワカコらに詳しい/怖







鵠沼海岸
タマヨが水着で海で遊んでいる
タマヨ:ママはどうして家に帰ってくださらないの?

ワカコ:
ママは東京でお仕事するつもり
上手くいったら、おばあちゃんに頼んでタマヨを引き取るつもり

桃山はワカコを待っている間、給仕をしているユキノに会い、ワカコのいとこと知ってもてなす







夕刊に桃山について出ているのを見せるルリ

コニイ:
桃山って男に気をつけてください
私もGMを探してみようと思う

ハツエは桃山に嫉妬して酔っぱらう
桃山から金をもらうジープを見て注意するコニイ
ジープ:ほんとのGMは銀座にいると教えてやった 三ッ星伍郎だ

赤石と飲んでる三ッ星伍郎
ユキノを見つけて一緒に踊る
モチヅキもいる

コニイはゴロウに声をかける
三ッ星伍郎:首をつっこまないほうがいい

ナレーション:「銀座」と名のつく場所は全国に247か所もある

ワカコはユキノがファッションモデルになりたいという夢に協力しようと大阪に来る
ワカコ:私の監視つきでOKしてもらった

三ッ星伍郎:
桃山はニセモノです
本物のGMのことでお話がある

ここにもモチヅキがいる 探偵か?
ユキノ:あなた、まるで探偵さんみたいね

三ッ星伍郎:
GMは銀座にいる ご主人に会えば分かる
私といっしょにいらっしゃい

ワカコは断って逃げる
デパートで人形を家に送ろうとすると
同じ住所に送った人がいたと店員が教える

御堂筋には大丸、そごうなどが建ち並ぶ
東京は松屋、三越、松坂屋

パジャマショー
ユキノもファッションモデルとして登場

チャー坊:
ジープはポン売りの手伝いしてる
銀座のGMが取り仕切っている

言われた店に来ると裏にまわされる
モチヅキ、ジープもいる
GMについて聞いてケンカになり、警官が来て助かる


築地警察署
銀座の事件は年間約4000件

コニイとマスターが入れられている
マスター:三室戸って名しか知らない

コニイは釈放される 引き受け人はルリたち
タバコ、チョコレート、ビールもあげる

ユキノ:
私はワカコの代理 お話がある
おばさま、銀座で働きたいと言っている
コニイさんに相談に乗ってほしい
夫カツミの仕事は法律に触れていて
何度も話したけどやめないらしい
あの絵を描いたのコニイさんじゃない?
おばさま、コニイさんのこと好きらしいわよ








鵠沼海岸
ワカコ:西銀座に手ごろなお店が手に入りそう

コニイ:
バーなんて奥さんに向かない 体を張るつもりじゃなきゃ
今の銀座は汚くなりすぎてる

タマヨと一緒に砂の城をつくるコニイ

ワカコ:
あの絵、コニイさんにもらっていただきたい
バーはやめて、コニイさんのお店を手伝いたい

銀座教会の鐘が鳴る

みゆき通り
フランスっぽい名前の店が並ぶ

コニーの店で働くワカコ
カツミから手紙をもらいこっそり会いたいと書いてある

コニイ:
GMは私の兄です 社会運動に入って日本にいられなくなった
ご主人に会ってあなたの本当の気持ちを話します

キャバレー オペラ
裏の部屋で三ッ星がフィルムを流している

三ッ星:
花売りは花売りらしくしてな
ワカコさんは銀座のGMの奥さんだ


この時計は和光かな
ミムロトゴロウに会う
コニイ:あなたは兄じゃない
カツミ:ミムロトゴロウは奥地で殺された







GMはミムロトゴロウの親友 ワカコの夫のカツミ
カツミ:逃げ回って、女房、わが子に会うこともできない
コニイ:ワカコさんは会いたくないと言ってる

カツミ:
オレがいなかったら、銀座はもっと荒れていた
今は原子力の時代だ オレは自分の力以外信じない
この銀座とも今夜でお別れなんだ
オレは死ぬまであいつを可愛がってやる!

コニイ:あの人を不幸せにするなら、体を張って守ってみせます

モチヅキが警官隊を連れて来る
三ッ星らが連行される

カツミは銃を撃って逃げる
離婚手続きの書類をワカコに渡してくれとコニイに投げて頭を撃ち抜く



柳の碑
警官の制服を着たモチヅキと歩くユキノ
モチヅキは油絵で賞をもらった
ワカコは鵠沼に帰ることにした

ワカコの少女時代の絵はコニーの店に飾られる
ワカコはコニイにあいさつして別れる
ルリは花束を渡して追うよううながす

ホームでワカコに花を渡すコニイ
なにも言えないまま電車が来る



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