メランコリア

メランコリアの国にようこそ。
ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

ジュニア・ベスト・ノベルズ 火の戦士 ジム・キェルガード 岩崎書店

2024-09-25 17:32:55 | 
1975年初版 福島正美/訳 石津博典/画


「ジュヴェナイルまとめ」カテゴリー内に追加します


ヒトが槍とこん棒でマンモスなどを狩っていた時代の話を
これほど生々しく書いた小説は初めてで、夢中で一気読みした
ARKまんまみたいな生活だな

本作は多分、サルからヒトに進化したダーウィンの進化説をもとに書いてるだろうけれども
今ではもう否定されているよね

こうした原始時代もあったかもだけど
縄文時代みたいに宇宙人が知恵を授けた説もあるし

狩猟民族の中で、女は男の奴隷状態だったというのも謎


【内容抜粋メモ】

■まえがき
クロマニョン原人は、我々の直接の先祖と思われている
大規模な狩りをし、投げ槍、投石器、弓矢を発明し
死者を葬る墓を作り、岩壁に素晴らしい絵を描いた


登場人物
槍つくりの長 ホーク(鷹)
狩人の長 ウルフ(狼)
ウィロウ(柳)ウルフの娘
火づくりの長 カー
ショート・レッグ(短足)




●火の狩人
父を亡くして槍つくりの長となったホーク(鷹)は
槍つくりが専門で狩りに加わることはできない





狩人の長ウルフ(狼)の娘ウィロウ(柳)は
ほかの部族の男と結婚しなければならないルール

大野牛の群れは200頭以上いて、周りの草に火をうつして火攻めにし
川に逃げてきたところを殺す予定が、以前ヒトに襲われて学んだ野牛は
火の弱い所を目指して突進してくる

狩りの腕が最弱のショート・レッグ(短足)は1人で立ち向かって失敗する
ショート・レッグ:槍のせいで外れたんだぞ

キャンプは飢えた野犬に襲われる
みんなが防御にあたる時はホークにも狩りが認められる
ウィロウが脚を噛まれて血を流す








●槍の柄
食物があれば腹いっぱい食う その日を生きて、食うこと
生きるということは、それだけで大変な仕事だった

暗闇の間はいつも危険に迫られている

ホークは木の魔法を見つけて、槍をヒトが投げるより遠くへ飛ばす方法を見出す
近くにいたサーベル・タイガーが叫んで逃げる様子を見て、狩人たちは怖れを感じる
ウルフ:わしらの狩りの方法ではない







女たちが乾し果実の粉でパンを焼いたが
肉がなくなれば、部族は移動しなければならない

ウィロウは脚に草の湿布を巻いている
2人の女が歩くのを助けたが、遅れれば置いて行くしかない
1人になることは、すなわち死ぬということ

ホークは狩人の力に応じた槍をつくる
小鳥が真っすぐ飛ばないと、狩人はその槍を認めないため
じっくり小鳥を選ぶが、尾羽が曲がった鳥はふらついたため
ショート・レッグは槍を拒否する







毛サイが近づいてきて、ホークはまた新しい槍を試してみる
サイはショート・レッグの腹に角を突き刺した
ウルフ:おまえを部族から追放する!



●置き去り
ホークとウィロウは残されて、ハゲタカが十数羽集まってくる







ホークは火づくりの長カーを真似て枯れ木を集めて、火打石で火をおこす
ウィロウ:小枝を使うのよ

どんなことも起こる前から心配しても役に立たない

ヤマイヌが戻ってきて、ホークは投げ槍を試すと、見事に当たる
獲物から安全な距離をとって攻撃する方法を得た

2人で放浪生活はムリと諦めて、森で狩りをした

そばに巨大ホラアナグマのいる洞窟を見つける
オオカミの群れに襲われても、洞窟が三方を守ってくれるので優位に戦えるのを見て
頭の中に知恵として覚えておくことにした

ヤマイヌの夫婦を殺して、その子犬2匹を見つける



●サーベル・タイガー
肉がなくなった時に殺して食べようと思って子犬をたき火の所まで連れて来る
脚の傷が治りかけてきたウィロウは、すぐに子犬と仲良くなる
子犬たちはヒトを親と思って、狩りの手助けをするようになる







岩だなのサーベル・タイガーの休息所から、ホークたちの夜営地がよく見える
近くにラクダの群れが移動してきて、そこで狩りをする間は肉食獣はヒトを襲わないだろう

石器の穂先はヤマネコも貫いた
ウィロウはヤナギの若枝でカゴを編む







ホークはヤマネコを襲ったヤマアラシのとげを観察して武器にする方法を考える
軽い投げ槍は6本でもこれまでよりずっと軽く持ち運べるようになった



●尾羽
サーベル・タイガーがたき火との間に立ちはだかり襲ってきた時
子犬が襲いかかった隙にたき火に戻り、槍でしとめた
この世界で最も強い敵に勝ったことで興奮する

鳥の動きを観察し、槍の先に羽をつけることで命中率を上げる
ウィロウは死んだ1匹の子犬の皮で投げ槍入れをつくる
もう1匹の子犬は獲物を追い、見つけるとホークに知らせた








●マンモスの群れ
ホークはイヌを信頼し、理解することを覚えた
たき火の周りは獲物がすっかりいなくなってしまい、移動しなければならなくなる

ウィロウは種、木の実、根などを乾燥させて皮袋に詰めた

体長5m以上のナマケモノ(!)がゆっくり葉を食べている
その子どもに槍を刺し、まだ守っている母親を火で脅して追いやった







マンモスの群れを見つけ、そのそばで部族同士が争った血の跡を見つける
群れと離れた母子を狙っていると、見知らぬ部族がホークを襲う








●にげる
ホークは母子に槍を当てて怒らせ、部族は高い岩に逃げる
ヒトの狩人はどんな動物よりはるかに恐ろしい







3人の狩人を投げ槍で殺して、マンモスが追ってこれない岩の間に逃げる
ホークらは足跡を残さないよう、なるべく石や岩の上、川の中を歩き
何度も行ったり来たりしてからたき火の場所に戻る

この数か月で草食動物たちが戻ってきているのに気づき
これからは、狩りの場所を区分けして、順番に周ることで
動物たちが警戒をゆるめて戻り、肉に困らないという知恵を身につける



●ホラアナグマ
ホークは肉食動物、ほかの部族との戦いに備えて
ホラアナグマの住む洞窟に住むことを思いつく
まともにやりあったら勝ち目がないため、煙でいぶり出し、投げ槍で刺した







ホークはホラアナグマにフシギな同情を感じる
クマもヒトと同じく1人で頑張って生きてきたのだ

これまで広々とした野原で暮らしていたため
洞窟内は閉じこめられた気がして落ち着かない

たき火をたくと、煙が充満して咳き込んだ
ウィロウは棒で天井をつついて煙突穴を掘る



●ヤマヘビ
ヤマヘビがウサギをほぼ無傷で仕留めるのを見て、なにか魔法があると思い観察すると
牙から透明な液体が流れているのに気づく
この世界には、よく注意して観察しなけれならないことが山ほどある







矢に毒液をつけて、ピューマにささいな傷をつけただけで倒すことができた






洞窟にいると水源が断たれてしまう
ウィロウはタールが水をはじくことに気づく
タールを塗ったカゴに水をくむともれなくなった



●包囲された!
16人の狩人が執拗にたき火まで追ってきた
彼らの持っている槍は原始的なもの

投げ槍は十数本、長い槍が2本、こん棒1本
ウィロウは石を洞窟に集めておいた
この危機に彼女が一緒にいることは心強かった

突っ込んできた部族に投げ槍を飛ばすと、ひどく驚いて退却し
投げ槍が届かない場所にたき火をして持久戦に入った

夜はどちらも肉食動物から身を守るためにたき火に釘付けにされる
狩人の一部は洞窟の上から穴をあけようと掘りはじめる

とっておいた肉がたき火の煙でいぶされて、腐りにくくなっていることに気づくホーク



●曲がった弓
上から落ちてきた土でカゴの水が全部こぼれてしまった!
ノドの渇きに耐えられず、サーベル・タイガーがいない間に
洞窟から出て、泉でカゴに水をいれるホーク







ついに木と腱を組み合わせて弓が完成する
何度も練習してから、ヘビの毒を塗った槍をリーダーに射る
肩をかすっただけで倒れるのを見て、狩人たちは森の中へ逃げて行った










●帰還
サーベル・タイガーの毛皮をベッドにし
シカ皮のかけ布団をかけて眠るホークとウィロウ
ウルフたちがやせ細って帰って来て、食べ物が欲しいと頼む








ウルフ:
お前以外に見事に飛ぶ槍をつくれなかった
ほかの部族の槍を盗もうとして戦い、半分が殺された
野獣に襲われ、飢え死にして、死んだ

ホーク:食べ物はたくさんある 獲物を探してさまよい歩く必要はもうないのだ!



あとがき

ジム・キェルガード
『荒野の旅』
『皮服を着た勇者たち』

本書は3万年ほど前のアメリカが舞台
太古の人類が何世紀もかけてなしとげた発明や発見を
1人の少年の経験のように描いている


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