翌日の朝、従姉に電話を掛けた。
「病院に行って、物忘れの検査をして貰った方が良いのではないだろうか。」と言いたかったのだ。ところが私が話し出すと、従姉も少し遅れて大きい声で話し出す。私の声と従姉の声がぶつかって、何を言っているのかさっぱり分からない。
全く私の話に聞く耳を持たないので、「私の話を聞かないでしゃべらないで、聞いてから言いたいことを話して頂戴。こんな電話の受け取り方は失礼でしょう!」と言って電話を切った。
そして次の日、ネットで従姉の家の近くにある「物忘れ外来」の病院を調べ、そのことを伝えようとまた電話した。
すると前日とはうって変って、大人しく聞いてくれた。そして従姉が「私がそんなに進んでいるように思うのかい?」と聞かれたので、「そうじゃなくて、できるだけ早くに病気が分かれば、薬で進行するのを遅くできるからだよ。」と答えた。
従姉は「分かった。来月になったら病院に行って見るから。」と言ってくれた。嬉しかった。本当は従姉自身が、物忘れが多くなった事を誰よりも不安に思っているに違いないのだから。