彼は1929年に愛知県に生れ、東京慈恵会医科大学を卒業し、認知症専門医になって研究を積み、1974年に「長谷川式簡易知能評価スケール」を開発した。これは世界で初めて開発された簡易検査スケールで、今も日本中で使われている。
また、それまで使われていた「痴呆症」という言葉を「認知症」という言葉に置き換えた医師でもある。
しかし、2017年に自身が認知症である事を公表した。
この本「認知症でも心は豊かに生きている~長谷川和夫100の言葉」は、認知症になった自身の体験を踏まえながら、認知症という病気についての理解を求め、患者への接し方が書かれている。
今や世界一高齢化が進んでいる日本で、平均寿命の延びに伴って認知症患者は増加しているが、誰もが認知症になる時代(90歳以上では2人に1人がなる)に、家族やその周りの人達、そして社会が、認知症患者に寄り添い、共に生きるようになって欲しいと彼は望む。
彼ら認知症になった人達は、記憶力、認知力は衰えても、感情、自尊心、個性は失われない。最後まで一人の人間として愛され、尊重される事が大切だと訴えている。
長谷川氏は、2021年11月13日、92歳で老衰のために死去した。
この本は、読みやすく、説得力がある良い本だった。
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