霜後桃源記  

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新聞のコラムより その一

2013-10-22 17:24:22 | 社会
新聞にも目を通せない毎日が二カ月ほど続いたが、ようやく解消し「全国農業新聞」で興味深いコラムを
見つけたので二回に分けて紹介したい。


(庭の秋明菊)

農民作家の山下惣一さんは「ダーチャ市民皆農の世界」と題して書いていた。

「ダーチャ」体験のために三泊四日でハバロフスクに行ってきた。ダーチャは都市住民が郊外に持つ家付き
自給菜園のことでは8割がこれを所持しておりロシアのジャガイモの90%を生産しているという。
二泊させてもらったのは元市交通局勤務のチェンコワさん(68)と元幼稚園先生のリューバさん(65)夫妻の
ダーチャで、1600平方メートルと広かった。夫妻はここにサウナ付きの家を手造りで建て、各20種類の野菜と
果樹を育てニワトリを飼い、夏の間をダーチャで暮らす。その間に冬のための食料を確保し加工し保存食を
作り地下室に貯蔵して都心に戻り、マイナス20度、雪と氷に閉ざされる長い冬を高層アパートで過ごす。この
ようにロシアの市民はアパートとダーチャを行き来して暮らしている。ダーチャを持たない若い世代は両親や
祖父母のダーチャに依存している。学校の夏休みが3カ月あるため、どこのダーチャでも祖父母と孫が同居
しているのが多かった。若いカップルが両親のダーチャからジャガイモ、トマト、キュウリなどどっさりと乗用車
に積んでいく姿も見られ、ジャガイモの90%生産もまんざら大ボラでもなさそうだ。
まさに市民皆農の世界でみんな楽しそうだった。リューバさんにソ連崩壊当時の体験を仰望したら、話が止ま
らなくなり夜明けまで続きそうだった。「昔はよかったよ。
生活の心配がなく失業者もいなかった。教育は無料で2人の息子は大学を出たよ。今は豊かになったというけ
れど若い人たちは職探しが大変なようだよ」
現在夫婦は年金暮らしだが2人でひと月2万ルーブル(7万円)。「年金だけでは大変だけれど、ダーチャがある
から豊かに暮らしていけるよ」と笑う。ロシアの古い諺に「イモ植えりゃ国破れてもわが身あり」という。
ソ連崩壊の混乱期に餓死者が出なかったのはダーチャのおかげだといわれている。
コメント
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