奥様は外食を好まない。
自分の作った食事が「一番美味しい」と思っているかのようだ。
それでも二人とも夏バテ気味で食欲も減退していたことから、奮発して
鰻重を食べることにした。
猛暑で外仕事がままならないこともあり、知事選と県議選の不在者投票を
済ませてから鰻料理の老舗「梅茂登」に向った。
高価な食事をすることは今まで無かったことなので注文してから30分も
待つことを初めて知った。
待っている間、梅茂登が53年前の二人の結婚披露宴の会場だったことを
思い出した。
披露宴の最後に、突然新郎の挨拶を求められ慌てふためいた。
右も左も分からない21歳の若造にまともな挨拶など出来るはずも無い。
ただ一言「ありがとうございました」と頭を下げて済ませれば良かった、
と今にして思う。
そんな苦い過去を思い起しながら食べた鰻重だったが極めて美味だった。