引退した元スター・ジョッキーが主人公のシッド・ハレーものは結局四作あるらしい。最後の(いまのところ)「再起」を読んでいる。
ちなみにシッド・ハレーものはつぎのとおり。
題名 著作年代 著者年齢
大穴 1965年 45歳
利腕 1979年 59歳
敵手 1995年 75歳
再起 2006年 86歳
「再起」には著者の息子の協力を得ていると言うが、86歳の加齢臭はあまり感じない。大穴よりはいい。「利腕」レベルだろう。「敵手」は未読。
小道具が一変している。いわく、携帯電話、留守番電話、DNA鑑定、インターネット・ギャンブリング。だだ、ご本人のために必要だったのだろうが注釈が長すぎて退屈。著者の高齢といい、うたた今昔の感あり。
ここでも英国独特のAntepost 制度が出てくる。訳者は出走馬掲示前、と訳している。たしかに辞書にはそうあるが、なんのことかこれじゃ注釈が必要だろう。
要するに数カ月、数週間前からの馬券前売りである。そう訳したほうがよかったのにね。
前売りは不正のタネだと前に書いたが、前売りにはその馬がそのレースに出るかどうかも予測して賭ける要素があるのが分かった。第一に馬の出走予定を予測して、第二にその馬が勝つかどうかを予測するわけだ。
つづく