カズオ・イシグロ氏の「私を離さないで」であるが、ウィキペディアの該当サイトの「あらすじ」を読んだ。キャシーが15歳の時にルーシー先生がヘイルシャムの実態を生徒に明かすところがある。これは何章かな、私はそこまで読んでいないが。
それはともかくどうも妙だということを前のアップで書いたが、追加する。
人間には家族があって両親がいるということを生徒たちが全然しらないらしいし、疑問も抱いていないように書いてある(あるいは書いていない)。あまりにもうかつではないか。生徒たちはテレビや新聞から隔離されていて世間のことが分からないのかな。しかし、小説や詩の授業があると書いてある。当然父とか母、きょうだいという言葉に遭遇するはずだか、それでも自分たちに両親がいないことに不信を抱かないのは妙だ。小説だから、そういうことをすっ飛ばす、何というかごまかし、けれん味はあってもいいのだが、このケースのようにあまりにも明々白々で不自然なことは作者に許されるのかな、と思ってしまう。
大体幼児が共通して抱く疑問は「私はどこから生まれたの」というものだ。クローン児はそんな疑問を持たない必然性があるのかな。