今時あまり読む人もいないであろう本を読んだ。読んだ、と言う語は適切ではない。理解できないのだから眺めたというべきだろう。言い訳をさしてもらえば、「難しくて分からない」のではなくて「バカバカしくて読んでいられない」と言うことなのだが、こんなことを言うと今でも多いらしい小林秀雄教の信者を怒らせると思ったからである。
なぜ新潮文庫のこの本に手を伸ばしたかといえば、いまジイド(今ではジッドというらしい)の「贋金作り」を読んでいるのだが、これが昭和初期に我が国に紹介されて文壇に「かなりの衝撃」を与えたというので、日本への導入状況と言うか受容状況を知りたいと思い、調べたところ、その一つに小林の私小説論があった。
それで読んでみた(眺めてみた)がほんの一、二行しか書いていない。それも要領を得ない文章である。590円(税抜き)が惜しくてもう一度眺めなおしている。