この「論理哲学論考」の英国で出版したときの原題は凝っている。
TRACTATUS LOGICO-PHILOSOPHICUSというラテン語である。この本は最初にドイツ(あるいはオ-ストリア?)で出版されたらしいが、そのタイトルはLOGISCH-PHILOSOPHIE ABHANDLUNGというらしい。やはり妙なところにハイフンがあるから、ラテン語のほうも間違えたのではないらしい。
このハイフンが昔から気になっていた。英語のタイトルがないらしいからたしかめられないが、(所ならぬ)ところにあるハイフンは意味があるのか。つまり「論理哲学論考」なのか「論理・哲学論考」なのかまぎらわしい。だいたい、そういえば論理哲学なんて言葉があるのだろうか。哲学的論理学ならなんとなく分かるが。日本語では中点を充てたが、ハイフンや中点のあるなしではテーマの範囲が違ってくる。中点だとすれば「論理および哲学についての論考」となるだろう。
そこで不図気が付いてSPINOZAのたしか「神学政治論」と訳されていた本があったんじゃないかとインターネットで調べた。ありましたね、こうある、、
TRACTATUS THEOLOGICO-POLITICUS
やっぱりハイフンがあるんだな。これをまねたらしい。
そこで岩波文庫版で「論理哲学論考」を流し読みした。ほとんどが論理学的というか、そういう記述だが、最後の二ページほど(6・4以下)で形而上学(哲学)や倫理にふれている。もちろん否定的に。ただし、それは論理的命題としては成立しない(無意味)という意味においてだが。そうすると日本語の訳は「論理・哲学論考」になるのかな。