穴村久の書評ブログ

漫才哲学師(非国家資格)による小説と哲学書の書評ならびに試小説。新連載「失われし時を求めて」

黄色いスカーフを巻いたマーロウ

2013-01-08 09:24:31 | 書評
チャンドラーの高い窓を読んでいる。ほとんど処分してしまったのでこの間買いなおした。書くとなると若干の責任も感じるので読み返すことにしたのだ。

さて、湖中の女は読み終わったが、やはり質からいくと高い窓、湖中の女の順だな。この分だとプレイバックも買い直さないといけないわい。終わりの方でマーロウが依頼者のスカーフを巻いて(目印にして)金を届けるところがある。湖中の女でね。

描写が何カ所かあって一応後で読み返すと、その時々の状況に合わせて書いてある、別のいいかたをすればヒントをばらまいている。ま、推理小説の手法なんだろうが、マーロウにはこういう辛気くさい持って回ったやり方は似合わない。眠くなるだけだ。

しかし、退屈とはいえ、この三冊で何日かの冬の夜長の無聊はしのげるというわけである。

高い窓、三分の一ほど読んだ。でだしは好調だったが急速に失速したね。やはり村上春樹がこれらの翻訳を後回しにしたのは正解だ。本当に翻訳するのかな。

大いなる眠りが四番目に来たのは、創元社との関係かもしれない。唯一早川が版権を持っていなかったものだろう。もっとももう著作権は期限切れかな。英米の法律はどうなっているのだろうか。もっとも翻訳にも著作権があるなら創元社の方は切れていないのかな。

それと、大いなる眠りだけが創元社のつけたタイトルと同じなんだね。この辺のことで土壇場になって創元社がクレームでも付けたのかな。書店への並び方の跛行性を見て素人が考えたわけであります。