10と11をまとめます。両方とも読者論というか業界論というかマーケット論です。第十回が国内、第十一回が海外となっています。
258頁に国内ではメデイアに登場しないことや、サイン会等をしないことを述べていますが、海外ではわりとこの点でマメなことを弁解している。「ただ外国では公演したり、朗読したりサイン会を開いたりする」・・・「これは日本の作家として責務でやらなければならない」と思っているそうです。はなはだ説得力のない弁解ですね。だれも村上氏に日本の作家を海外で代表してもらいたいとは思っていないのではないですか。利口な彼だ、この点は触れなかった方がよかったのではないでしょうか。
第十一章は海外へ進出して行った経緯をわりと正直に(?)書いている。小さな指摘をひとつ。269頁で小会社とあるのは子会社の誤植ではありませんか。「講談社のアメリカ子会社」ということらしい。それとも小会社がただしいのかな。