全英オープンゴルフ・最終日(TV朝日)
タイガー・ウッズの強さばかりが際立った最終日となった。
第134回全英オープンゴルフは、トータル14アンダーで、2位に5打差をつけたタイガー・ウッズが優勝した。これで、タイガーは、マスターズ、全米プロ、全米オープン、全英オープンの4つのメジャー大会を2度以上づつ制覇したことになり、29歳の若さでダブルグランドスラムを達成した。
最終日のタイガーは、18ホールを完璧にマネージメントしていた。
アウトの9ホールのうち、5番と9番で計算どおり2つのバーディーを奪いスコアを14アンダーに伸ばす。しかし、そのバーディー奪取よりもすごかったのが、6番、7番のセカンドショット、そして8番ショートホールのティーショットだった。アイアンでピンをデッドに狙ったボールは、ピンに当たり、カップをかすめた。いずれもパーに終わったが、聖地セント・アンドリュースに挑むタイガーの勇気と技術を垣間見た瞬間だった。
折り返しとなる10番でボギーとしたときの苦笑いは、それでも勝利を確信していたからではなかったか。その後、タイガーを追うはずの一流選手たちが、真綿で首を絞められるかのように、聖地のグリーンの、それもカップ際のわずかな傾き、繊細な芝の目に狂わされながら、じわじわとスコアをくずしていく。そして、タイガーだけが、計算どおりにバーディーをとり、ボギーを想定の範囲内におさめ、目論見どおりに勝者となった。
最終日のタイガー・ウッズのプレーを見て、ゴルフとは自分との戦いであり、コースとの戦いであることを再確認した。そして、戦う相手である自分やコースをいかに味方にできるかが勝負のカギだということも。聖地セント・アンドリュースは、果敢に勝負に挑んだタイガー・ウッズだけに微笑んだように感じた。
波乱はなかったが、タイガー・ウッズのプレーを追いかけるだけで、十分にドラマティックな全英オープンゴルフの最終日だった。これがメジャーの、メジャーと言われる所以だろう。
ところで、表彰式で優勝トロフィーを受け取ったタイガー・ウッズのコメントが始まると同時に、テレビ中継の画面は東京のスタジオに切り替わってしまった。スコットランドから帰国したばかりのキャスターには気の毒だが、ダブルグランドスラムを達成した新しい帝王の言葉を聴きたかったのは、ぼくだけではなかったはずだ。
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