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観客席で思ったこと ~200文字限定のスポーツコラム~
 



WBC世界スーパーフライ級タイトルマッチ(TV東京)

チャンピオン川嶋勝重に前チャンピオン徳山昌守が挑んだタイトルマッチ。
軽量級には似合わない重いパンチ1発で相手をしとめることができる川島と軽量級らしいリズムでしなやかなパンチを繰り出す徳山との対戦。1年以上のブランクがある徳山の試合勘とスタミナが心配されたが…。

試合は、序盤から徳山がペースをつかみ的確なパンチを川嶋に浴びせた。6ラウンドあたりから、やや疲れが見え出した徳山に対して、川嶋も徐々に反撃にでるが、1発逆転が欲しいのか、大振りが目立った。最終12ラウンドには、スリップダウンにもみえたが、川嶋がダウンを奪う。しかし、徳山は最後まで冷静に川嶋の反抗をしのぎ、判定勝ちでチャンピオンに返り咲いた。

日本人同士となった今夜の対戦は、スピーディで緊迫感に満ちたとても素晴らしいものだった。この2人の対戦は過去1勝1敗の五分。このような状況での3戦目をボクシングでは「ラバーズマッチ」と呼ぶらしい。互いを熟知し、リスペクトする姿勢があふれていたこの試合は、まさに「恋人同士の殴り合い」だった。

このところ総合格闘技ばかりを注目し、凄惨な光景ばかりを目にしていたので、久々に観たボクシングの美しい殴り合いがやけに新鮮だった。

恋人たちの4度目の対戦に期待したいが、はたして実現するのだろうか。


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全英オープンゴルフ・最終日(TV朝日)

タイガー・ウッズの強さばかりが際立った最終日となった。
第134回全英オープンゴルフは、トータル14アンダーで、2位に5打差をつけたタイガー・ウッズが優勝した。これで、タイガーは、マスターズ、全米プロ、全米オープン、全英オープンの4つのメジャー大会を2度以上づつ制覇したことになり、29歳の若さでダブルグランドスラムを達成した。

最終日のタイガーは、18ホールを完璧にマネージメントしていた。
アウトの9ホールのうち、5番と9番で計算どおり2つのバーディーを奪いスコアを14アンダーに伸ばす。しかし、そのバーディー奪取よりもすごかったのが、6番、7番のセカンドショット、そして8番ショートホールのティーショットだった。アイアンでピンをデッドに狙ったボールは、ピンに当たり、カップをかすめた。いずれもパーに終わったが、聖地セント・アンドリュースに挑むタイガーの勇気と技術を垣間見た瞬間だった。

折り返しとなる10番でボギーとしたときの苦笑いは、それでも勝利を確信していたからではなかったか。その後、タイガーを追うはずの一流選手たちが、真綿で首を絞められるかのように、聖地のグリーンの、それもカップ際のわずかな傾き、繊細な芝の目に狂わされながら、じわじわとスコアをくずしていく。そして、タイガーだけが、計算どおりにバーディーをとり、ボギーを想定の範囲内におさめ、目論見どおりに勝者となった。

最終日のタイガー・ウッズのプレーを見て、ゴルフとは自分との戦いであり、コースとの戦いであることを再確認した。そして、戦う相手である自分やコースをいかに味方にできるかが勝負のカギだということも。聖地セント・アンドリュースは、果敢に勝負に挑んだタイガー・ウッズだけに微笑んだように感じた。

波乱はなかったが、タイガー・ウッズのプレーを追いかけるだけで、十分にドラマティックな全英オープンゴルフの最終日だった。これがメジャーの、メジャーと言われる所以だろう。

ところで、表彰式で優勝トロフィーを受け取ったタイガー・ウッズのコメントが始まると同時に、テレビ中継の画面は東京のスタジオに切り替わってしまった。スコットランドから帰国したばかりのキャスターには気の毒だが、ダブルグランドスラムを達成した新しい帝王の言葉を聴きたかったのは、ぼくだけではなかったはずだ。

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