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観客席で思ったこと ~200文字限定のスポーツコラム~
 



昨年12月、南アフリカ大会の組み分けが決まった直後、日本サッカー協会(JFA)は、FIFAから出場国に配分された観戦チケットの販売をおこなった。グループリーグからノックアウトステージまでのチケットのみの販売で、フランス大会以来行われているものだ。観戦チケットのみの販売なので、交通手段や宿泊は、個人で手配しなければならない。フランスやドイツだったら問題はないが、今回は南アフリカである。

その観戦チケット販売直前に、日本サッカーミュージアムで南アフリカ大会を楽しく観戦するためのトークイベントが行われた。サッカーライターの大住良之さん、杉山茂樹さん、原田公樹さんらが中心になった、現地情報などを交えた楽しいイベントだった。

そこには、小倉純二さん(FIFA理事、JFA副会長)やJTB、西鉄旅行の方もゲストとして招かれていた。彼らは、やはり、南アフリカの危険性や不便さなどを理由に、観戦するならば観戦ツアーを、と訴えていた。旅行代理店の立場ならば当然だが……。

会場には、すでにFIFAの公式サイトを通じて観戦チケットを購入済みのファンが多くいたのだが、観戦チケットのみを持っているファンを対象とした航空券、ホテル、現地の交通をパッケージにしたツアー商品は販売しないことも、旅行会社は明言していた。

すでに、開催が決まったときから南アフリカの危険性については散々言われ続けていたし、ホテルなどもたやすく確保できないことも容易に想像できた。そのうえで、個人で観戦チケットを買ってしまったのだから、あとは個人でがんばるしかない、というのは理解できる。

しかし、既述のように、こんなイベントの後、JFAは観戦チケットのみを売り出すのである。どこか矛盾していないか。

この観戦チケットのみの販売時に、JFAの公式旅行代理店3社(JTB、西鉄旅行、日本旅行)が観戦チケットを含む観戦ツアーを売り出すことも発表していたが、観戦チケットを購入したファンを対象とするツアーパッケージの販売告知はなかった。しかし、その後、西鉄旅行と日本旅行は観戦チケット保有者向けのツアーも販売している。

南アフリカの難しい事情もわかるが、こういった情報をもっと早く発信していれば、今回のToer Afrikaのようなトラブルを減らすことはできたのではないか。



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ワールドカップ・南アフリカ大会が近づくなか、ワールドカップにつきものとなった観戦希望客と旅行会社とのトラブルがまた起こっているようだ。

報道によると、WEBサイト上で営業していたToer Afrikaという南アを専門とする旅行会社が、ワールドカップの観戦チケット購入者を対象に、交通・宿泊を手配するとして金を集めたまま連絡がとれなくなってしまった。被害者約20人、被害総額約1000万円。おそらく、まだ気づいていない潜在被害者も多いのではないか。

サッカー日本代表が初めてワールドカップ決勝大会に出場したフランス大会では多くの日本人サポーターがチケットトラブルに巻き込まれ、ワールドカップは観戦するファンにとっても厳しい世界だということを思い知らされた。ぼくが知るところでは、ぼくが初めて観戦した1990年のイタリア大会でも、日本人ツアー客と旅行代理店(もちろん日本の大手)との間で、観戦チケットのカテゴリーを巡ってトラブルが起きていた。

醒めたもの言いになるが、結局、ワールドカップやオリンピックなどの世界的なビッグイベントの場合、需要と供給が極端にアンバランスなうえに、あらゆる利権がからんでくるので、うまく収集がつくわけがないのである。こういう意味では、前回2006年のドイツ・ワールドカップは非常にうまくいった数少ない例と言えるだろう。

ドイツ大会でトラブルが少なかった要因は……。日々進化していたインターネット技術に加え、1998年フランス大会や2002年日韓大会でのチケットトラブルの教訓を活かすことで、スムーズな配券を実現した。ヨーロッパの中心に位置する立地や交通網が整備されていることから、遠い日本からでも旅行会社に頼らずに観戦することが可能だった。大規模なファンフェスタを展開することで、スタジアムに入れなかったダフ屋頼みの観戦客をうまく収容できた。さらに、サッカー大国ドイツらしい、運営、雰囲気作り、一般市民のメンタリティがベースにあったことは言うまでもない。

しかし、2010年の舞台は南アフリカである。何も起こらないわけがなかった。その手始めが、今回のToer Afrikaのトラブルか。ただし、このToer Afrikaに関しては、JFA(日本サッカー協会)にも責められるべき点があるのではと、ぼくは思っている。



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