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観客席で思ったこと ~200文字限定のスポーツコラム~
 



すでに書いたように、南アフリカ・ワールドカップの観戦旅行を企画し、販売できる権利をもつ旅行代理店は、日本では、JTB、西鉄旅行、日本旅行、近畿日本ツーリストの4社である。このうち、JTB、西鉄旅行、日本旅行はJFAと契約したJFA公式旅行代理店であり、近ツリはFIFAと契約し、主に企業向けの高額なパッケージ商品を販売できる権利を持つ。

これらの公式旅行代理店は、FIFAやJFAから観戦チケットを購入し、「2010ワールドカップ南アフリカ大会」という名前やロゴを使って観戦ツアーを組める権利を買っている。日本の旅行会社では、この4社以外は、例えば「南アフリカ・ワールドカップ観戦ツアー」という名前でツアーを販売、つまり商売をしてはいけない。

しかしながら、実際には、公式旅行代理店ではない会社が「南アフリカ……」といったツアー商品を販売しているケースは多い。公式旅行代理店といった仕組み・制度があることを知らない場合もあるだろう。また、知っていながら、どうせ訴えられるようなことはないだろうと考えている場合もある。後者は、いわゆる確信犯で、悪質極まりない。

今回のトラブルのもとになったToer Afrikaも、WEBサイトで「2010年南アフリカサッカーワールドカップ」「日本応援 ダーバンキャンプ」といった商品名で観戦旅行客を募集していた。公式旅行代理店の権利を侵しているケースである。公式旅行代理店制度を知ってか、知らずかはわからない。しかし、いずれにしても、こういった権利を侵していることに対して、権利を売っているFIFAやJFAは、もっと取締りを強化すべきではないか。たとえ確信犯ではなかったとしても、そういう権利があることを周知し、権利を買った公式旅行代理店を守ることは、権利を売る側の責任である。

Toer Afrikaは、個人客の金を持ち逃げした以外にも、FIFAやJFAのマーケティングの権利を侵害していた。JFAが適切な対応をし、Toer Afrikaの活動に制限をかけていたなら、一般客への影響も、結果的に軽減できたのではないか。


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