<パリ・オリンピック雑感 2024/8/10>
帰国した日の深夜に、サッカー男子決勝、フランス対スペインをTV観戦した。大きな大会の決勝戦とは思えないゴールラッシュと劇的な展開にすっかりひきこまれた。序盤から攻勢をかけるフランスが先制。その後、前半15分過ぎからはスペインがペースを握り、10分間で3点を奪い逆転かつ2点リードとする。先制されても動じない、スペインのゆるぎない自信をみた。先のEURO2024の準決勝を思い出した。後半は、フランスが怒涛の攻撃をみせ、FKからのゴールで1点差に迫り、追加時間にPKで同点とした。90分で勝ち切るための選手交代をしていたスペインにとっては、まったくの想定外だっただろう。この流れにのって、大声援に後押しされる地元フランスが勝つかと思って延長戦を観ていたが…。延長の前、後半に1点ずつ追加したスペインが、5対3で勝利し、1992年バルセロナ大会以来の優勝となった。
試合を観ながら、少し意味が違うかもしれないが、柔道の世界で使われることが多い「柔よく剛を制す」という言葉を思い浮かべた。フランスの速くて強いプレッシャーに、スペインは繊細なポジショニングとパスワークで対抗した。時間と空間のマネージメントがチーム内で共有されているのが素晴らしい。10代の選手も活躍してのEURO2024、パリ五輪での優勝は、スペイン時代の再来と言えるだろう。
一方、準々決勝のアルゼンチン戦、延長戦となった準決勝エジプト戦と厳しい戦いを勝ち抜いてきたフランスも素晴らしいチームだった。スペインの魅力が引き出されたのも、フランスの頑張りがあったからこそだ。スペインの最有力対抗馬として期待したい。
この試合の延長後半、ここまでの6試合に出続けたフランスのマテタが両足の疲労によって、ほぼ立っているだけの状態になってしまっていた。グループリーグから準決勝まで中2日で5試合を戦い、中3日で決勝戦というハードスケジュールのせいだろう。アスリートのためを思い、大会を魅力あるものにしたいのであれば、改善すべき点は多い。