<パリ・オリンピック雑感 2024/8/15>
大会の次は、観戦旅行のまとめを。今回の一番の目的は、パルク・デ・プランスとスタッド・ドゥ・リヨンで実際にサッカーの試合を観ることだった。
数十年前に何度目かのパリで、環状線を走るクルマからパルク・デ・プランスを見たときに、その威厳ある外観にひきつけられ、一度は試合を観たいと思い続けていた。今回は2試合を、ゴール裏とバックスタンドの席から観戦した。熱狂的なサポーターが集まるゴール裏席への通路、壁には一面、「グラフィティ(落書き)」とか「ストリートアート」と呼ばれるもので埋め尽くされていた。本拠地とするパリ・サンジェルマンのサポーターにとっては「ホーム感」が高まることだろう。バックスタンドは、いたってふつうに小ぎれい。どちらも、適度な傾斜のスタンドの席に座ると、自然にピッチへの集中が高まる。古くなりつつある建物こその趣き、温かみのあるスタジアムだった。せひ、パリSGのホームゲームで訪れてみたい。
スタッド・ドゥ・リヨンは、EURO2016フランス大会のために建てられたスタジアムだ。そのEURO2016は観戦チケットを買っていたものの、おそらく仕事の都合で、リヨンに行くのを止めたのだった。なので、今回はそのときのリベンジ観戦ともいえる。リヨン市内からトラム(路面電車)でスタジアムのすぐそばに着くのは、ミラノのサン・シーロ・スタジアムを思い出させる。スタジアム自体は、率直に言って、欧州ではふつうのサッカー専用スタジアムだ。ただ、席へのアクセスも、席からの視線、視界も、声援の響き具合も、ふつうに素晴らしく、心地よかった。ここで、フランス国歌の大合唱を体感できたのは幸運だった。
もうひとつの目的は、日本国内の競技会ではなかなか難しい馬場馬術、ハンドボールの世界トップレベルのパフォーマンスを観ることだった。いろいろな競技を集中開催する総合大会だからできることだ。そして、すでに書いたように、馬場馬術もハンドボールも、期待にたがわずその魅力を十分に堪能できた。ただ、そうなると、欲深いスポーツ観戦好きとしては、馬術やハンドボールのそれぞれがもっているはずの雰囲気、空気感で満ちた大会に行ってみたくなる。早速調べてみたら、日本代表も出場するハンドボール男子の世界選手権が2025年1月から2月にかけて開催されるようだ。
今回は、当初の目的は達成できたし、思ってもみなかった友人たちとの再会や新しい出会いもあり、十分に満足できるオリンピック観戦旅行となった。ただ、いざパリ・オリンピックの現地に行ってみると、観るべき、体験すべきものは無限に広がっていた。「もう数日でも、長く滞在したかった」というのが、素直な感想である。