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渡島大野を出ると、前方をふさぐ山への登りが待っている。
その途中にある仁山は、かつては山越えのためのスイッチバックがあった駅。
今では、山の中に寂しく佇む駅舎が良い味を出している。
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ここを下ると左手の木立の中に小沼が見え隠れし、やがて大沼に到着する。
ここらあたりまでくれば、駒ケ岳が見えて来る筈だが、残念ながら今日は雲が重く
垂れ込めていて山頂部を見通すことが出来ない。
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大沼は、初めて北海道を訪れた折、その公園で最初にキャンプを張った懐かしい
場所だ。あの日は大沼越しに、馬がいなないている姿に形容される優美な駒ケ岳が、
その全貌を表していた。
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この列車は次の大沼公園を経て、このまま駒ケ岳の西麓を行くので、ここで一旦
列車を降り、未乗車区間の砂原回りに乗り換え、森に向かう。
この路線は超ローカル線で、日に5往復の普通列車が行き交うだけだ。
勿論運行する列車は、キハ40系の1両ワンマン運転である。
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内浦湾に沿ってはいるが、車窓から海を見ることは殆どなく、緑濃い山の中をの
んびりと走っていく。途中の尾白内の駅舎は、古い貨車を再利用したものであり、
道内にはこんな駅舎がたくさんある。
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右手に内浦湾の海が開けると終点の森である。
ここには、先ほど大沼で降りた普通列車が先着して待っているので、再びその列車
に乗り込んで終点の長万部を目指す。
がその前に、ここに来たからには外せない名物駅弁「いかめし」を買い込んだのは
言うまでもない。
海岸線を行く車窓を楽しみながらの「いかめし」は、最高の贅沢である(続)
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