車の中に、糸くずみたいなものが、ふわふわと揺れていた。わたしの帽子のところまで、ぴこぴこと動いていく。縮んだり伸びたりして。初めて見た尺取虫だ。
孫を迎えに行って待っている間、孫の友達が3人やってきた。「尺取虫おるよー。」と、言うと群がってきて「あー、〇のばぁちゃん!」と、寄ってくる。「おー、また遊びにおいでー。」というと、近づいてきて手を出して握手を求めてきた。他の子も寄ってきて、わたしの生きている中で、男の子がこんなに寄ってくるのは初めてだ。わたしの人間性ではなく、尺取虫のおかげだが。
小学3年生は「つ」のつく最後の歳で可愛い。九つ達に尺取虫を進呈すると喜んでいた。
休んだ先生の代わりに2回だけ違うクラスに行ったら、「先生、今度いつ来るんやー」と、言ってくれるのも、九つまでかも。
「咳をしても一人」と、尾崎放哉の俳句にあるが「夜になると一人」の、わたしだ。昼の子供たちは喜びだ。
しかし、夜にブログに一方的に語っているのも暗い。
「分け入っても分け入っても青い山」これは、種田山頭火だったっけ。
「引いても引いても向こう弦」「引いても引いてもあづちにささる」
ひとりで尺取虫を真似てみる がああんん。暗い仲間になりそうだ。