2001年公開でアーミル・カーン主演。
1893年のヴィクトリア朝イギリス領であった、
グジャラート州チャンパネールが舞台。
チャンパネールは行った事があるが、
イスラム教の遺跡と向かい合った山にあるヒンドゥー教寺院が、
世界遺産に登録されている。
ラガーンとはヒンディー語で地税の事で、
イギリスと村との間で地税の免除を賭けて行われた、
クリケットの試合の話である。
<ストーリー>
1893年チャンパネールは前年から全く雨が降らず、
農村では不作が続いていた。しかし、
イギリスの将校ラッセル大尉(ポール・ブラックソーン)は、
年貢を2倍にするように、ラジャ・プラン・シン
(クルブーシャン・カルバンダー)に告げる。
村の若者ブヴァン(アーミル・カーン)は、
ラッセルの鹿狩りの邪魔をして捕らえられたが、
注意された後に釈放された。
ラジャの使者からから年貢2倍と伝えられた村民は、
直訴しに行くがラジャはイギリス軍のクリケットの試合観戦中で、
待たされてしまう。待ちながら試合を観る村民には、
何をしているのか全く理解できなかった。
ラジャに直訴したが答えは「仕方がない。」であった。
それを聞いていたラッセルはブヴァンに提案する。
「3カ月後にクリケットの試合をして村民が勝てば、
3年間年貢は免除、しかし負ければ3倍とする。」
試合を観ていたブヴァンは,
クリケットがなんであるかは知らなかったが、
自分達がやって来た遊びに似ているからできるはずだと、
賭けを受けてしまった。
村長を始め村民はブヴァンを攻めるが、
ブヴァンは希望があるならやるべきだと語る。
誰もが反対したが母親とガウリ(グレーシー・シン)、
そして訪ねてきた一人の男の子だけは味方だった。
翌日ブヴァンは自分でバットを作り男の子を連れて、
村の広場に行きクリケットのまねごとを始める。
それを見ていた村人だが、興味を持った寺男とサドゥが集まった。
しかし11人には足らなかった。ルールが解らないので、
集まったメンバーで試合を覗きに行った。
それを見つけたラッセルの妹エリザベスが、
ルールを教えると申し出た。
ラッセルの賭けはイギリス軍の上層部に知れ、
万が一負けた場合は年貢はラッセル個人が払う事、
そしてアフリカへ左遷される事になった。
全くの素人相手である、勝って当然、負けるはずがない。
翌日から空き地でエリザベスの講義と練習が始まった。
イギリスに敵意を持っているシク教徒デヴァがやって来た。
ラッセルから暴力を受けて首になった馬具師も加わった。
隣の村から様子を見に来ていたイスラム教徒も加わった。
偶然、鶏を追って通りかかった村人も勧誘された。
毎日少しづつメンバーが増えていった。
隣村のラカと言う若者がラッセルの元に行き、
エリザベスが教えている事を密告しスパイになり、
ブヴァン達のチームに加わった。
最大の問題が発生したのはブヴァンが、
不可触民の投球センスを見抜きメンバーに勧誘した時だった。
名前はカチュラー、カチュラーとはヒンディー語でゴミの事である。
不可触民なのでゴミ集めの仕事の名前で呼んでいるのだ。
不可触民は汚れていると言う理由で、身体に触れる事はもとより、
話をする事も出来ない。カチュラーの右手は変形しており、
ボールを投げると変化する。ブヴァンが村民全員を説得し、
カチュラーもメンバーに加わり11人が揃った。
試合はイギリス軍の先行で始まった。村人チームも素人としては、
よくやったのだがイギリス軍の攻撃は終わらなかった。
攻撃の途中で1日目は終了となった。
ラカは闇夜に紛れてラッセルの元に行ったが、
エリザベスに見つかってしまい、エリザベスは馬車を飛ばして、
村人の所に報告に来た。村民はラカを問い詰める。
ラカは改心するのでチャンスをくれと言う。
11人しかいない事もあり、ブヴァンは受け入れた。
翌日、うって変わってラカは好プレーを連発した。
ラッセルはラカが変わった事に気づいた。サドゥやカチュラー、
寺男達も人が変わったようなプレーを見せ、
イギリス軍の攻撃は322点で終わった。
攻守交替。村人チームは最初の4人がポイントゲッターで、
その他は攻撃力が落ちる。ブヴァンとデヴァが得点を重ねたが、
イギリス軍は心理作戦や汚い手を使い、アウトを重ねて行った。
追い詰められた村人チームは脚が不自由なイスラム教徒の打順だ。
彼は走れないので代わりに子供が走った。
順調に得点を重ねて行ったがイギリス軍は子供相手に
大人げないプレーをして子供をアウトにした。
絶体絶命、最後の打者はカチュラーだった。ブヴァンが作戦を授け、
なんとか最後の1球でブヴァンに打席が回った。
運命の一打は空高く舞い上がり落下点でラッセルが捕球した。
歓声を上げるラッセルだったが、周りは静まり返っていた。
彼が捕球したのはピッチの外で得点6点が入り、
村人チームは賭けに勝った。
ラッセル一行はチャンパネールを去って行った。
ストーリーとしては、それほどひねりがあるわけでもなく、
当然のごとく村人チームが勝ってめでたし、めでたし、
であるが、3ヶ月間で力を合わせ行く様子、
邪魔が入ったり、裏切りがあっても、まとまって行く様子、
ブヴァンを中心としたチームに全村人が一喜一憂する様子。
そういった一体感が楽しめる作品である。
なお、インド映画では・・・・大体の場合、
イスラム教徒VSヒンドゥー教徒の場合は、
イスラム教徒が卑怯で悪者、イギリスVSインドや、
パキスタンVSインド、中国VSインドの場合は、
敵国が卑怯で悪者に描かれる。