2020年の作品、タイトルはヒンディー語で「無力な心」。
2014年のアメリカ映画「きっと、星のせいじゃない」、
2012年に出版されたジョン・グリーンの小説
「さよならを待つふたりのために」に基づいている。
末期癌患者同士のラブストーリー。
5月公開予定だったがコロナで延期になり、
6月に自殺したスシャントの遺作となってしまった。
舞台はジャールカンド州、インド全29州の中でも、
あまり聞かない州だと思うが、元々ビハール州から別れた州で、
スシャントはビハール州出身なので、
そう言う理由でのキャスティングかもしれない。
<ストーリー>
ジャールカンド州の主要都市ジャムシェッドプルに住む
キジー(サンジャナ・サンギ)は甲状腺癌でプシュペンドラと
名付けた酸素吸入器を持ち歩いてる。
大学祭でラジニカーントを愛する骨肉腫で右足を失った、
マニー(スシャント・シン・ラージプート)と出会う。
障害があっても明るく周囲を盛り上げるマニーとキジーは
親しくなっていく。
マニーは友人で緑内障のJP(サヒール・バイド)と一緒に、
映画を撮影しており、そこにキジーも加わって行く。
キジーはアビマニューと言う引退した歌手のファンで、
マニーはアビマニューを調べ本人と連絡を取った事を告げる。
マニーはキジーをダンスパーティーに誘うが、
自宅でキジーの父親がダンスの練習相手をするシーン、
実際にダンスパーティーで踊るシーン、
手術で両目の視力を失ってしまったJPを挟んで、
3人で踊るシーン、ここはジーンと来る。
マニーはパリにいるアビマニューに会いに行こうとキジーを誘い、
キジーの母親が同行する事を条件に医師の許可が下りたが、
キジ―の容体が悪化してしまう。キジーの回復を待ち、
3人はパリに飛ぶ。そしてアビマニュー(サイフ・アリ・カーン)に
未完成の曲の理由を聞くが納得のいく話は聞けなかった。
それでも二人はパリを楽しみ想い出を作るが、
マニーは自分の癌が終末期にある事を伝える。
帰国後マニーは入院する。そして急いで映画を撮り進める。
そして教会でJPと三人で模擬葬儀を行う。JPはマニーに、
賛辞を贈り、キジ―も短くも美しい二人の想い出を語る。
2日後・・・・マニーはこの世を去った。
キジ―への手紙と映画を残して・・・・。
ジャールカンド州の風景として火力発電所が映っていたが、
インドではかなり多い。私も友人の結婚式でビハール州へ行った時、
かなり大きな火力発電所があり、空気が汚染されているせいで、
目が痛くて開けられなくなった事があった。
あれは絶対に身体に悪い。癌の原因はそれだけではないと思うが。
この映画で救われたのは主人公の2人もそうだが、
障害のある人達や周りの人々が暗くなかった事である。
悲壮感がある演技をしていたら物凄く暗い映画になっていただろう。
我が母は末期癌で自分の誕生日の1カ月前に、
誕生日までの余命は残っていないと宣告されたが、
本人が諦めなかったのが良かったのか生命力が強かったのか、
2回の誕生日を迎える事ができた。
最後は眠るように逝ってしまったが、すいぶんと頑張った。
私も癌サバイバーであるが(末期ではなかったが)、
余命宣告されたら・・・明日死んでもいいように計画し、
会いたい人に会い、やりたい事をやり、食べたい物を食べ、
飲みたい物を飲むだろう。悔いのない人生をおくろう。