1955年の作品、タイトルはヒンディー語で「立派な詐欺師」。
420(チャール・ソー・ビース)と言う番号はインド刑法の
420条と言う意味で詐欺罪である。大まかに泥棒なども
こう呼んでいる。420番は永久欠番的な数字でインド人なら
誰でも知っている悪い番号である。
ラージ・カプールと言えば超有名な俳優で映画監督である。現在、
ボリウッド界で一番有名なカプール一族の元祖的人物。相手役の
ナルギスはスニール・ダットの妻で息子はサンジェイ。
帽子に杖と言う格好はチャプリンの小さな放浪者に影響を
受けている。主題歌の「メーラー・ジューター・ヘー・
ジャパニー」(私の靴は日本製)は数少ない私のヒンディー語の
持ち歌の一つである。
<ストーリー>
ヒッチハイクをしているラージ(ラージ・カプール)が道路に、
倒れこんで車を停める。親切に乗せてくれた人に嘘がばれて、
「チャール・ソー・ビース」と言われ道路に掘り出されるが、
ボンベイまで420Kmと書かれた標識が出ている。
軽やかに歩き始めるラージ、ここで主題歌が流れる。
「私の靴は日本製、このズボンはイギリス製、
頭の赤い帽子はロシア製、そして心はインド製。」
ラージはウッタル・プラデシュ州のアラハバードから一攫千金を
夢見てボンベイへ向かう。しかし物乞いに大都市ボンベイでは、
正直者は仕事にありつけず、詐欺師だけが成功すると言われる。
行く当てもなく、お金もなく、仕事もないラージは海岸で
ヴィディヤ(ナルギス)と出会い家までついて行く。そして
ヴィディヤの父親に会い嘘八百で丸め込む。ヴィディヤは、
学校で子供を教えていた。ラージはクリーニング屋で
アイロンがけの職に就きいつしか二人は惹かれ合って行く。
ラージはマヤ(ナディラ)の家に配達に行きカジノに連れて
行かれソナチャンド(ネモ)と知合い、いかさま師として
雇われる。ヴィディヤはそんなラージを戒めるが、
ラージがお金に執着していたため離れる事を決める。
ソナチャンドはお金持ちと貧乏人とを区別してはいけない事を、
ラージに教えラージは100ルピーでホームレスのために家を
提供する事を決める。しかしソナチャンドが約束を守る気が
ない事に気づいたラージは大金の入ったカバンを持って、
逃げようとし警察に捕まってしまう。
カバンの中身がお金でなかったためソナチャンドはラージを撃つ。
銃声を聞いたヴィディヤや詰めかけていた民衆がソナチャンドの
屋敷に押し寄せる。
詐欺師のラージは生き返ってみせ、ソナチャンドの悪事を暴く。
そして自分はただの詐欺師ではなく、立派な詐欺師であると宣言し、
ヴィディヤもラージを許す。
これはデリーにあるマダム・タッソー蝋人形館にあった
詐欺師の扮装のラージ・カプールと私の記念写真。
時代を感じさせるモノクロで私だけ現代的なカラー。
劇中で東京と会話するシーンがあったがなんと中国語と
ミックスだった。まぁインド人には解らんだろうが。
インド映画の歴史を感じるためには観てもいい作品である。
確かに「ラジュー出世する」のベースになっていたが、
こちらは一人で主役と語り部を演じている。