すなわちウィキリークスが内部告発者から入手したナマの情報が
そのまま閲覧できるパスワードが流出していたというニュースである。
ウィキリークスが9月1日にみずから発表したという。
これがなぜ大問題となるのか。それを9月2日の朝日新聞の報道
に沿って説明する。
因みにこのニュースを報じているのは今日のところは朝日だけだ。
日本発の米外交公電を独占的にウィキリークスから入手していた
朝日新聞にとってもこの流出は深刻な問題であるから、書かざるを得な
かったということだ。
ウィキリークスは内部告発者から寄せられる情報を決してそのまま
流さない。みずから流さない。
既存の大手メディにそれを検証させ、その大手メディアの判断で
それを公開する方針を採ってきた。
検証作業と公表後の責任の所在の双方を、その情報公開に協力した
メディアに転嫁する、極めて賢明なやり方だ。
最初は欧米のメディアが複数協力したが、自国政府や国民の批判も
あり、協力することをやめたメディアもある。
米国のニューヨークタイムズや英国のガーディアンが主要な協力
メディアとして残っている。
日本では朝日新聞が日本関係に米外交公電を独占的に提供を受け、
その情報を自らの判断で検証し、公表してきたことは既に述べた
とおりだ。
このメルマガでも何度も書いてきた。
読売などはウィキリークスのやり方を評価せず、公表された情報だけ
を二次的に報じる方針をとっている。
これを要するに、ウィキリークスの公開情報は、内部告発者がウィキ
リークスに寄せた情報のすべてではないということだ。
それどころか、慎重に配慮を重ねた上で選定される情報だけが公開され
ているということだ。
その事自体は責められるべきものではない。
告発者から寄せられた情報をそのまま無制限に垂れ流せば、様々な弊害
が生じ、ウィキリークス自体の存在も否定されて、折角の告発情報サイト
が潰されてしまうからだ。
ところがその流出が起きてしまった。
ウィキリークス側が発表したところによれば、英紙ガーディアンが今年
2月に出版したアサンジュ代表の内幕本の中で、米外交公電を保存した
ファイルの暗号を解除するためのパスワードを記してしまったという。
それがウィキリークスを窮地に陥れる悪意によるものか単なる不注意
かはわからない。
それを知ったウィキリークスは騒ぎが大きくなるのを恐れて事実をふせ
てきたが、ドイツなどのメディアが相次いで流出を報じたため、隠し切れ
ずに発表に踏み切ったと言う。
これが米国政府との関係で大問題になるおそれがある。
ただでさえ警戒している米国政府だ。未編集の告発情報すべてが実名入り
で世界に公表されることになると人権問題となると騒ぎ出す。
ウィキリークスの違法責任につながる。
だからウィキリークスと英国ガーディアン紙との間で責任の押し付け合い
がはじまっている。
すなわちアサンジュ代表はガーディアンと交わした協定に反する行為だと
して法的措置を検討すると同時に8月下旬に米国務省の法律顧問に釈明した
という。
一方のガーディアン紙は、声明を出し、パスワードはすぐに使えなくなると
聞かされていた、本が出版された後の7ヶ月間でウィキリークスはファイルを
削除することはできた、などとウィキリークスの責任を問うている。
このニュースを読んだ私の感想は次の3点だ。
1.ウィキリークスやガーディアンには申し訳ないが流出した未編集情報
なるものは是非とも知りたい。流出した未編集情報なるものは誰かの手で
公開してもらいた。特に日本発の米外交公電は国民に知らせたい。
2.もっともこの流出によってウィキリークスが閉鎖されるようなことに
なれば大きな損失だ。米国政府の圧力には要注意だ。
3.そして朝日新聞だ。私はウィキリークスから日本関連部分を独占入手
してきた朝日新聞の国民に対する説明責任を問うてきた。ウィキリークスと
朝日がどのような協定を結んでいるかは知らないが、もし未編集情報のすべて
が公開されるようなことになると、朝日新聞の正体がわかる。何を隠して、
何を公表してきたのか。それを仔細に比べることによって朝日新聞が外務省
にどのように配慮したか、国民の知る権利をどこまで放棄したか、それが
わかる。
了
このメルマガを配信した後で、読者から以下の情報が寄せられた。
世の中はネット情報がものを言う時代になった。一般大衆が権力者を
倒せるわけだ。
引用はじめ
ウィキリークスの全文解読のカギ、これのようです。 ACollectionOfDiplomaticHistorySince_1966_ToThe_PresentDay#
ウィキリークスの全文解読ファイルです。http://cryptome.org/ のサイトの上の方にある、z.7zです。ダウンロードしてZIPを解凍すると1.7ギガぐらいのCSVファイルが出てきます。エクセルで読みこんだらオーバーフローしたので、テキストエディターで読んでいます。
ウィキリークスの全文解読ファイル。ちょっと読んだだけでもこれはおもしろい。超1級の資料だ。ある意味では思った通りだ。米国も実は戦略があるようでいて実際には右往左往だ。予算はあるけど決算は滅茶苦茶。計画はあるけど実態は滅茶苦茶。要するに米国が追いつめられていく過程が記述されている
引用元"http://www.amakiblog.com/