◆朝日新聞と読売新聞が6月9日付け朝刊で、大飯原発再稼動を決めた「野田佳彦首相の決断」に正反対の社説を掲載している。なぜ正反対になるのか。それぞれが拠って立つ立場や見解の違いはどこからくるのか。じっくり検討して、よく認識しておかなくてはならない。というのは、次期総選挙、参院議員選挙が、消費税増税の賛否に加えて原発再稼動、原発推進の是非を問う選挙になる可能性が大であるからだ。
朝日新聞の社説は、「首相会見 脱原発依存はどこへ」という見出しをつけて、以下のように論説している。
「原発政策を主題にした野田首相の記者会見は初めてだった。それが、こんな内容なのか。関西電力の大飯原発3、4号機を再稼働させる。停電が起きれば、命の危険にさらされる人が出る。動かさないと電気代も上がる。企業や家庭に影響が出る。空洞化も加速する。首相は脅さんばかりに語った。さらに原発が重要な電源であり、夏場の限定稼働では国民生活を守れないと踏み込んだ。いったい、『脱原発依存』はどこへ行ったのか。根幹となる中長期的な原発政策について、首相は国民に選択肢を示し、『8月をめどに決めたい』としただけだ。当面、最低限の再稼働が必要と判断したとしても、中長期の方向性については揺らぎがないことを国民に説明するのが、首相がとるべき姿勢だ。新たな原発はつくらない。40年たった原発は廃炉にする。これまでさまざまな場面で首相や関係閣僚が言及してきた脱原発依存への具体的な道筋には一切触れなかった。これでは、政権の原発政策が大きく転換したと受け止められても仕方がない。会見は、福井県の西川一誠知事に押し切られた形で設けられた。地元同意の条件として、原発の必要性を首相が直接、国民に説明するよう求めたからだ。背景には、原発が減ることで地元の経済や財政が回らなくなることへの危機感がある。しかし、原発への依存度を減らしていくことは政権の大方針だったはずだ。そこに言及すると、地元が納得しないというなら、再稼働のほうをあきらめるべきだろう。福井県の姿勢にも、首をかしげたくなる。昨春以降、政府に新たな安全基準を示すよう求め、足元の安全対策を見直させた意義は大きい。これまで、さまざまな苦労を抱えながら、原発との向き合い方を模索してきた自負があることもわかる。だが、新たな原子力規制機関ができるまでの監視態勢に、福井県以外の周辺自治体を同列に参加させないことを再稼働の条件にする、とまでなると、度を超している感は否めない。京都や滋賀の知事をはじめ周辺自治体が原発の安全性確保に関与を求めるのは当然だ。両府県や大阪府・市が求める期間限定の再稼働についても、西川知事は『スーパーの大売り出しではない』と切って捨て、首相も一顧だにしなかった。野田さん、本気で原発を減らす気があるんですか」
菅直人前首相が、「3.11」を契機に、「脱原発」路線に転換し「再生可能エネルギーの普及・推進」に力を入れており、民主党議員のなかで「脱原発派」が増えている。朝日新聞も、「脱原発」にシフトした論調に変わってきている。それは、核燃料プルトニウムが、核兵器の材料になっていることに抵抗、反発し、反対の立場に立っているためだろう。この観点から、野田佳彦首相が、原発推進の立場に立って、大飯原発再稼動を決断したことに、ガッカリしているのだ。
◆一方、読売新聞は、米国CIAとの結びつきが深く、しかも堅く、社主の正力松太郎元初代科学技術庁長官(警察官僚出身、米CIA要因)が、警察の後輩である中曽根康弘科学技術庁長官(内務官僚出身、後の首相)とともに日本の原子力政策(裏には、核兵器の材料プルトニウム製造がある)を先頭に立って推進してきた経緯があるので、いまの読売新聞が、いまさら「反原発」に宗旨替えできない事情がある。
従って、国民生活のためという美名を掲げていても、本質は、電力業界の立場に立っているうえに、米国の核戦略に協力する立場からの論説を展開することになる。
読売新聞は6月9日の社説で、「大飯再稼動へ 国民生活を守る首相の決断」という見出しをつけて、こう論じている。
「野田首相が福井県にある大飯原子力発電所3、4号機の再稼働に強い決意を表明した。
首相は記者会見で『原発を止めたままでは、日本の社会は立ちゆかない。原発は重要な電源だ』とし、『国民の生活を守るため再稼働すべきというのが私の判断だ』と強調した。首相が原発を日本に欠かせない電源だと、明確に位置づけた意味は大きい。当面のエネルギー政策で、『原発ゼロ』の路線は回避される方向となろう。福井県の西川一誠知事は、再稼働に同意する条件として、首相が原発の必要性を国民に説明することを求めていた。福井県が了承する環境は整ったと言える。福井県とおおい町が早期に再稼働に同意し、手続きが加速するよう期待したい。もちろん再稼働には、原発の安全確保が重要である。政府は全国の原発で津波対策を実施し、大飯原発はストレステスト(耐性検査)も終えた。原子力安全委員会がテスト結果を了承している。大飯原発を再稼働する際は、経済産業副大臣らが現地に常駐する特別な監視体制も敷く。首相は『実質的には安全は確保されている』と述べた。政府が1年以上をかけて安全対策を講じてきた点は、評価すべきだ。西川知事が同意を見送っている背景には、周辺自治体の姿勢への反発があるのだろう。特に、福井県から電力供給を受ける大阪市の橋下徹市長や、京都府と滋賀県の知事が提案している『夏季限定』の再稼働案を、西川知事は強く批判している。電気が足りない時期だけ原発の運転を求めるのは、ご都合主義にほかならない。この点について首相が、『夏限定の再稼働では国民生活は守れない』と述べたのは、妥当な認識である。政権党である民主党の国会議員117人が、『今年の夏は節電で乗り切る』などとして、首相らに再稼働への慎重な対応を求める署名を提出したことも問題だ。首相は『突発的な停電が起これば、命の危険にさらされる人もいる』とした。産業空洞化や雇用喪失への懸念も示した。なぜこうした危機感を共有できないのか。署名には、小沢一郎元代表のグループなど、消費増税に反対する議員が多く加わっている。社会保障と税の一体改革を進める政権を、からめ手からゆさぶる狙いだろう。目の前の電力危機を回避する再稼働を、政争の具にしてはならない」
政権党である民主党の国会議員117人が、野田佳彦首相に公然と叛旗を翻していることに強い不満と不快感を示しているのは、読売新聞の立場では、当然なのだ。しかも、この国会議員117人のなかに、消費税増税法案に反対している小沢一郎元代表と小沢派議員が多数含まれていて、倒閣運動から次期総選挙、参院議員選挙の「争点」にする戦略を展開し始めていることに強い危機感を抱いている。
◆なお、朝日新聞は6月6日付け朝刊に、大飯原発再稼働に再考を求め、署名した民主党国会議員117名の一覧(アイウエオ順・敬称略)を 次のように掲載している。
【衆議院】(81人)相原史乃、東祥三、新井聰、石井章、石原洋三郎、石森久嗣、石山敬貴 稲見哲男、今井雅人、生方幸夫、逢坂誠二、太田和美、大谷啓、大山昌宏、岡島一正 岡本英子、奥野総一郎、小沢一郎、小野塚勝俊、笠原多見子、梶原康弘、加藤学、川内博史、川島智太郎、黄川田徹、菊池長エ門、京野公子、櫛渕万里、工藤仁美、黒田雄、小泉俊明、小林興起、小宮山泰子、古賀敬章、近藤昭一、斉藤進、坂口直人、佐々木隆博、階猛、篠原孝、杉本和巳、菅川洋、瑞慶覧長敏、鈴木克昌、首藤信彦、平智之、高野守、橘秀徳 田中美絵子、玉置公良、玉城デニー、辻恵、道休誠一郎、中川治、永江、野田国義 萩原仁、橋本勉、畑浩治、羽田孜、初鹿明博、鳩山由紀夫、樋高剛、福嶋健一郎、福島伸享、牧義夫、松崎公昭、松崎哲久、馬淵澄夫、水野智彦、皆吉稲生、三宅雪子、宮崎岳志 村上史好、室井秀子、柳田和巳、山口和之、山崎誠、山田正彦、吉川政重、渡辺恒三
【参議院】(36人)相原久美子、有田芳生、石橋通宏、江崎孝、江田五月、大河原雅子、大久保潔重、大島九州男、岡崎トミ子、金子恵美、行田邦子、小見山幸治、今野東、佐藤公治、斉藤嘉隆、主浜了、武内則男、田城郁、谷岡郁子、ツルネン・マルテイ、徳永エリ 外山斎、中村哲治、那谷屋正義、難波奨二、西村正美、秦知子、姫井由美子、福山哲郎、藤谷光信、藤原良信、舟山康江、増子輝彦、松野信夫、森ゆうこ、米長晴信
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2012年ビルダーバーグ会議で、「日本の資産」を吸い上げる「シナリオと仕掛け」が決められた ◆〔特別情報①〕
フリーメーソン・イルミナティ筋(ニューヨーク・マンハッタン島発)の情報によると、欧米諸国は、日本の株式、為替、国債市場の今後の動きについて、ひとつのシナリオを描いて、実行に移しているという。最悪のシナリオとしては、「預金封鎖」も想定しているという説もある。
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『国際金融資本の罠に嵌った日本』(1999年6月25日)日本文芸社刊 目次おわりに―「永遠に栄える民族共同体」の建設に立ち上がれ
アメリカ政府や英国政府、ロスチャイルド財閥、ロックフェラー財閥などが中国東北部を独立させ、新しいユダヤ人国家を建設しようとしていると聞いて、一瞬、わが耳を疑った。少なくとも私の頭のなかに中国東北部、旧満州のことは何もなかったからである。あるとすれば、いまだに解決しているとは言えない旧満州の残留孤児の問題くらいだった。この計画を聞いて、いまはむしろ、勝手にやってくれと言いたい気持ちである。そのために、日本はもとより、アジア諸国に迷惑をかけて欲しくない。軍事的に問題があるのなら、そちらも日本を巻き込まないで静かに処理してもらいたい。
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『政治家の交渉術』2006年5月刊 『カルロス・ゴーンの言葉』2006年11月刊「孫の二乗の法則~ソフトバンク孫正義の成功哲学」2007年7月刊
第6回 板垣英憲「情報局」勉強会のご案内
平成24年6月16日(土)
『TPP参加で日本はどうなるか』
~還太平洋戦略的経済連携協定の真の狙いを解明する 板垣英憲マスコミ事務所