◆日本が一旦緩急の場合に、国家国民を守るために戦死してくれる米軍将兵には、感謝しなくてならない。日本国憲法で戦争を放棄している日本としては、忸怩たる思いがあるけれど、致し方ない。この思いに立って観察すると、米海兵隊が一旦、岩国基地に上陸した後、8月に米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)に配置しようとしている「V-22」(愛称・オスプレイ)は、もう少し事故調査と機体調査を行ってから実戦配備した方がよいと考える。すでに日本が購入を決定している次期戦闘機「F35」についても、機体に亀裂が見つかり、導入が遅れている事実とも併せて、最近の米軍需産業は、「モノづくり」の技量が相当低下しているのではないかという疑念が払拭できないからである。この点を甘く見ていると、米軍将兵多数が、戦死するよりも、日本列島で事故死により無駄死にするばかりか、日本国民も多数犠牲になる危険が高い。拙速であってはならない。
V-22(愛称・オスプレイ=タカに似た猛禽類の「ミサゴ」)は、米国ベル・ヘリコプター社とボーイング・バートル(現ボーイング・ロータークラフト・システムズ)社が、共同で開発した軍用機であり、回転翼の角度が変更できるティルトローター方式の垂直離着陸機である。
通常のヘリコプターは垂直離着陸・ホバリング(空中停止)・超低空での地形追従飛行ができるが、速度が遅く、航続距離も短かい。一方、通常の固定翼機は、高速移動や航続距離の面では優れているけれど、離着陸には長い滑走路が必要で、垂直離着陸もホバリングも超低空での地形追従飛行もできない。
これに対して、V-22(オスプレイ)は、ヘリコプターの利点=垂直離着陸・ホバリング・超低空で地形追従飛行をこなしながら、通常の固定翼機のように高速移動かつ長い航続距離が可能である。米軍は第二次世界大戦直後から、戦略上有用な両者の利点を併せ持つ航空機を求めていた。
◆しかし、V-22(愛称・オスプレイ)は、試作機段階から重大事故に取り付かれていた。
1回目は1991年6月11日、試作5号機が初飛行時に左右に揺れながら離陸後、数mの高さから大きく機体を傾けてナセルとローターが接地し、機体は転覆して地上へ落ちた。火災も起きずパイロット2人は脱出して軽傷で済んだ。だが、機体は失われてしまった。墜落原因は、飛行制御システム (FCS) の3つのロールレイト・ジャイロの配線の内の2つが逆に接続されていたミスと判明した。
2回目は1992年7月に試作4号機が気候試験でエグリン空軍基地からクアンティコ米海兵隊基地へ飛行中の着陸直前に右エンジンナセルから出火した事故である。制御を失った機体はポトマック川に頭から落ちて、乗っていた海兵隊員3人と民間人技術者4人の計7人全員が死亡した。潤滑油が漏れてエンジンナセル内に溜まっていた状態で着陸しようとナセルをティルトしたことから、オイルがエンジンの高温部に触れて発火したのが、原因だった。火災の熱によって複合素材製のクロスシャフトが強度を失い破壊された。この2つの事故は、いずれもV-22自体の欠陥が原因だった。
3回目は2000年4月8日に14号機が夜間侵攻での兵員輸送を想定した作戦試験時に墜落事故を起こし、乗員4人と米海兵隊員15人の計19人全員が死亡した。低率初期生産段階での事故だった。前方機が減速したので衝突を回避しようと急減速、急降下を同時に行った。操縦不能になる直前、2.5倍の急激な降下をしたため、自らが生み出したVRS(vortex ring state、ボルテックスリングステート、セットリングウィズパワー、渦輪状態)と呼ばれる下降気流で揚力を失い墜落した。
4回目は、2000年12月11日に起きた。海兵隊訓練部隊VMMT-204部隊所属の18号機 (MV-22B) が、夜間飛行訓練中に森林地帯に墜落し、搭乗していた海兵隊員4人全員が死亡した。事故は、機体の機構的とソフトウェアの問題に加えて、パイロットが不適切な操作をしたのが原因だった。パイロットは、着陸に備えてナセルを回転させている途中、主飛行制御システム (PFCS) の警告灯の点灯を知って、手順に従い、停止するリセットボタンを押した。だが、警告灯は繰り返し点灯。PFCSのソフトウェアはこの時点で無用な警告を繰り返すミスを犯した。パイロットは、警告灯に気をとられて操縦が疎かになり誤って地上に墜落させた。
2010年には、アフガニスタンでオスプレイ墜落事故が発生している。調査報告は「機体に問題があった」としている。
最近では、4月にアフリカのモロッコで、海兵隊に所属する機体が墜落している。6月13日には、米国フロリダ州でも空軍に所属する機体が墜落している。
◆事故原因を整理すると、どうもヘリコプターと航空機を合わせているところから発生する「構造的な無理」と「操縦上の無理」とが、根本的な原因になっているように解釈できる。2つのプロペラが発生する気流によって、機体がバランスを失い、墜落するのだ。パイロットはこのバランスを崩さないように技量を上げなくてはならない。それでも、ヘリコプターと航空機の両方の操縦技術を同時に向上させるのは、至難の業である。これが戦場で発揮しなくてはならず、従って、曲芸師のように操縦する必要があり、大変である。
米軍空軍は、V-22(オスプレイ)を岩国基地に上陸させた後、日本列島では、「6ルートで計330回飛行」させる計画だという。山間部の森林地帯を掻い潜るように飛行させるという。だが、市街地や山間部の集落の上を低空飛行するときもあるので、人家に墜落したら、被害甚大である。
毎日新聞が 6月19日午前11時9分、「<オスプレイ>東北、四国、九州などで低空飛行訓練を計画」という見出しをつけて、以下のように配信している。
「米海兵隊が米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)に8月に配備予定の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイについて、東北、四国、九州などの計6ルートで低空飛行訓練を計画していることが分かった。オスプレイは4月のアフリカ・モロッコ、今月の米フロリダ州と墜落事故が相次いでおり、各地で低空飛行訓練への懸念が高まる可能性がある。米政府がオスプレイの配備計画に伴って実施した環境審査の報告書によると、低空飛行訓練が計画されているのは東北や信越地方の3ルートのほか、四国と紀伊半島を結ぶルート、九州北部のルート、奄美諸島のルート。各ルートはグリーン、ピンク、ブルーなどと名付けられており、飛行高度は約150メートルの低高度になる可能性があるという。米海兵隊は普天間飛行場など沖縄県での訓練のほか、岩国基地(山口県岩国市)とキャンプ富士(静岡県)で月2、3回、オスプレイを2~6機運用する予定で、その際にこの6ルートで飛行訓練を実施する計画だ。6ルートは年間最多でそれぞれ55回、計約330回使用されるとしている。【朝日弘行】」
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新党結党! 小沢一郎元代表が6月26日、遂に「行動」に打って出る ◆〔特別情報①〕
小沢一郎元代表にごく近い筋の情報によると、小沢一郎元代表が6月26日、遂に「行動」に打って出る。衆院本会議での消費税増税法案採決で同志とともに「反対投票」した後、民主党を離党し、新党結党に着手する。実は、この本会議で野田佳彦内閣不信任決議案を提出する予定だったが、民主党の支持母体である「連合」の古賀伸明会長にストップをかけられて断念したという。
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『民主党政変 政界大再編』 ( 2010年5月6日 ごま書房刊) 目次第1章 民主党と自民党、それぞれの分裂
小沢一郎が企てる「民主党分裂」と「敵昧方」の票読み
かつては「竹下派七奉行」が実権を握った
七奉行のルーツは慶長三(一五九八)年ごろ定められた豊臣秀吉の死去直前の「五奉行」、前田玄以・浅野長政・増田長盛・石田三成・長束正家にさかのぼる。この言葉をイメージして作られたのが「竹下派七奉行」であった。
竹下登、金丸信らが昭和六〇(一九八五)年一月二七日「創世会」を発足させ、後に「経世会」と名乗るようになる。この派閥のなかで、竹下、金丸の後継者と目された七人の政治家が「七奉行」と呼ばれるようになる。
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『国際金融資本の罠に嵌った日本』1999年6月25日刊 『政治家の交渉術』2006年5月刊 『カルロス・ゴーンの言葉』2006年11月刊「孫の二乗の法則~ソフトバンク孫正義の成功哲学」2007年7月刊
第7回 板垣英憲「情報局」勉強会のご案内
平成24年7月14日(土)
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