政治生命大安売り
一昨日の消費税増税法案の採決前に野田総理に質問しましたが、
そのときの速記録を読み返して、あらためて驚いています。
私から次のように質問しました;「野田総理は大体いつ頃から
消費税増税を主張するようになられたんでしょうか。」
それに対する野田総理の返答は以下の通りです;
「一昨年の参議院選挙で、消費税を当時の菅総理が打ち出しました。
その後を受けて、党内で社会保障と税の一体改革についての
いわゆる成案に向けての議論が始まりました。
そのころから明確にそうした私の姿勢は打ち出していた
というふうに思います。」
野田総理は、なんと2年前に消費税増税に目覚めたそうです。
あまりにも正直な回答だったので、ちょっと驚きました。
わずか2年前に菅直人総理に言われて消費税増税に目覚め、
その実現に政治生命を懸けるようになったということです。
ふつうに考えると国会議員が政治生命を懸けるべきは、
長年熱心に打ち込んできた政策課題だと思います。
ライフ・ワークという言葉があります。
どうせ政治生命を懸けるなら、ライフ・ワークと呼べるような、
自分がこだわってきた政策課題に命を懸ければよいと思います。
もしかすると野田総理には、政治家としてのライフ・ワークがなく、
ただ単に総理大臣になることだけが目的だったのかもしれません。
政治家としてやりたいこと(ライフ・ワーク)がなかったので、
総理大臣になって何をやればいいかわからなくなってしまい、
財務省の優秀な官僚に折伏されてしまったのでしょう。
わずか2年前から取り組むようになった消費税増税に、
政治生命を懸けるのは、あまりにも浅薄な気がします。
ひとつしかない命ならもっとマシなものに懸けるべきです。
消費税増税はあくまで手段です。それも手段のひとつです。
目的、財政再建でも、社会保障の財源確保でも、復興でも、
何でもよいのですが、目的がきわめて不透明です。
表向きは「社会保障と税の一体改革」といいながらも、
実態としては社会保障制度の改革としては中身が薄く、
メインは消費税増税であることは明らかです。
消費税増税という手段が自己目的化しています。
本来は、歳出削減、経済成長による増収、国有資産の売却をやり、
その足りない分を増税で賄おう、というのが筋です。
消費税増税を主導したのは、財務省、野田総理、自民党ですが、
自民党は公共事業200兆円という壮大な計画を立てています。
消費税を上げたところで、公共事業に消えるのが関の山です。
財政再建につながらないし、社会保障の充実には一部しか回らず、
霞が関の事業官庁がよろこび、利益誘導政治が復活するだけです。
野田総理はひとつしかない政治生命を安っぽいテーマに懸けず、
震災復興や原発事故対策、景気対策や行政改革による歳出削減等
他にもっとやるべきことに命懸けで取り組むべきです。
大義のない消費税増税に大事な政治生命を懸けるのは、
第三者的に見ていると賢明ではないと思います。
野田佳彦総理。残念な総理大臣です。
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