10月11日 01:26
法政大の説明会で、シミュレーターを体験する参加者=東京都小金井市の同大キャンパスで
(毎日新聞)
◇「在学中に資格」魅力
航空業界でパイロット不足が課題となるなか、私立大学のパイロット養成コースへの志望者が増えている。着実な就職実績を背景に、大学が開催する説明会や面談への参加者が増加。各大学は、優秀な学生が集まることに期待を寄せる。パイロットの安定的な確保を目指す国も、奨学金の新設を検討している。【内橋寿明】
9月下旬、東京都小金井市の法政大キャンパスで開かれたパイロット養成コースの説明会に、約70人の高校生や浪人生が参加した。フライトシミュレーター(模擬飛行装置)を体験した墨田区の草柳修祐さん(19)は「パイロットになるのが夢。大学での4年間で資格を取れるのは魅力だ」と言う。
法政大は2008年に「航空操縦学専修」を開設した。実際に機体を操縦する訓練も行い、在学中に自家用操縦士や事業用操縦士の免許が取得できる。来年の入試に向けて今年春から実施した志望者対象の面談には230人が訪れた。昨年より60人、一昨年より160人多い。担当の渡辺正義教授は「出願者が増えれば、優秀な学生を確保できる」と話す。
私大のパイロット養成コースは06年に東海大が国内で初めて創設。桜美林大、崇城大なども開設した。今年6月に五つの私大が3都市で開いた合同説明会には昨年の2倍の約350人が訪れた。 志望者増加の理由のひとつに、就職実績がある。国土交通省の統計によると、09~13年度の東海大、法政大、桜美林大の養成コース卒業生は計261人。うち82%の213人がパイロットとして就職した。経済的な支援も背景にある。国交省は、最大1000万円を無利子で貸し付ける学生向けの奨学金を来年度に創設することを検討。日本航空は今年度から上限500万円を給付する奨学金を始めた。
パイロットへの進路としては、独立行政法人航空大学校に進学する道もある。毎年、60人前後の卒業生のほぼ全員が航空会社に採用されているが、運営費用の7~8割を国が負担しており、大幅な拡充は難しい。自社のパイロットを社内で養成する航空会社もあるが、多額の訓練費がかかるため縮小傾向にある。 国交省の試算によると、航空需要の高まりにより、2030年には現在の約1.5倍にあたる約8500人のパイロットが国内で必要となる。国交省幹部は「私大が養成の柱になることが期待される」としている。
◇訓練の質確保、課題
私大のパイロット養成コースでは、自前の訓練施設を確保することが費用面で困難なことから、訓練を外部委託することが多い。海外の養成機関を利用するケースもあり、課題が浮上している。 桜美林大は昨年10月、国土交通省による検査で、ニュージーランドの養成機関に委託していた訓練のずさんな管理を指摘された。 国が承認した教育規程では、現地の指導員を大学教官に任用する場合、実際に航空機を操縦させて技量を確認しなければならない。しかし桜美林大は、現地指導員が学生に教える様子を見るだけで任用していた。学生の習熟度を記録する書類からも不備が見つかった。 桜美林大は、東海大、法政大とともに国の資格の技能審査を実施できる「航空従事者養成施設」に指定されていたが、同省の指摘を受けて指定を返上。再発防止策を検討している。国交省の担当者は「訓練の質は空の安全に関わる。適切に行っているかを厳しくチェックしている」と話している。』
何がブームになるか本当に分かりません。私立大学のパイロット養成コースが人気を集めていますが、私立大学のパイロット養成コースでは、自前の訓練施設を確保することが費用面で困難なことから、訓練を外部委託することが多く、海外の養成機関を利用するケースも有るそうですが、学生としてはかなり実習費用も高く付くと思います。大学側もシミュレーターや機器類の設備投資にもお金が掛っていますし、入学定員を確保しないと成り立たないと思います。今までのように航空自衛隊の元パイロットだけでは民間パイロットの需要確保が追いつかない状況といえます。