22Apr2016
オバマ大統領のサウジアラビア訪問を報じるきょう4月22日の読売新聞の記事で、私ははじめて知った。
すなわちオバマ大統領は先月(3月)、米誌アトランティックのインタビューで、サウジアラビアを次のように「ただ乗り国家」と批判していたのだ。
「経済力に恵まれ、アラブ諸国の中で主導的立場にありながら、中東全体の安定に尽力していない」と。
こんな衝撃的で、軽率な発言を、オバマ大統領は公言していたのだ。
これに対し、サウジアラビアの王族は、「あなたは我々を傷つけるだけでなく、侮辱した」と激しく反発したという。
当然だろう。
サウジアラビアの王族にとっては、もっとも触れられたくない「不都合な真実」であるからだ。
この、オバマ発言を知った私は、オバマが米国の大統領でいる間は、米国とサウジアラビアの関係は改善しないと直感した。
じつはこのオバマのサウジアラビア批判は、アラブの国民のすべてが内心思っていることだ。
特に、資源に恵まれないが、政治的にも、知的にも、サウジアラビアより優れていると自負しているアラブの国々は、皆そう思っている。
石油がなければ砂漠に遊牧するベドウィンに過ぎないくせに、たまたま石油に恵まれ、それがオイルダラーと言われるほど高騰したために、にわかに大金持ちになり上がった。そのくせに、その金を経済発展に有効に使う事が出来ずに、自分たちだけで無駄遣いし、おまけに米国に王制を守ってもらうために、イスラムの総本山を抱えているにもかかわらずアラブを裏切り続けてきた、と。
オバマにそう言われて反発するサウジアラビアの王族も、アラブの民からそう言われれば、ひとたまりもない。
サウジアラビアの王族がもっとも気にしていたところを、オバマ大統領に衝かれて、サウジアラビアは怒り狂ったのだ。
もっとも、アラブの民がそういうのならサウジアラビアは反論は出来ないが、オバマ大統領にそう言われる筋合いはない。
なにしろ、サウジアラビアを石油成金にさせたのは米国であり、そのサウジアラビアに米軍基地を置いて自らの中東政策のためにサウジアラビアを利用し、アラブの大義を蹂躙して来たのは米国だったからだ。
中東不安の元凶の一つは米国とサウジアラビアの仮面の同盟関係であった。
それがいま、見事に破綻しつつある。それだけの話である(了)