11Nov2016
安倍首相は、まっさきにトランプ氏に面談を求め、それが実現したこ とを手柄のように吹聴している。
まだ来年の1月までオバマ政権が続くというのにである。
米国民の半分がトランプを認めないと抗議し、米国が分断の瀬戸際に あるというのにである。
それだけではない。
そのトランプ氏に、日本を見捨てないでくれと言わんばかりに、更な る対米従属を誓おうとしている。
これほど情けない指導者は世界を見渡してもいない。
プーチンも習近平もメルケルもオランドも、トランプの出方を見極め ながら、自らの国益に沿った自主、自立外交を貫こうとしている。
あのドゥテルテ比大統領ですら、米比関係が改善するかどうかは、 「まったくわからない。それは米国次第だ」と落ち着き払っている。
しかし、メディアも有識者も国民も、そんな安倍首相を笑えない。
トランプが大統領になればどうなるのか、心配だ、と、そればかりを メディアは報じ、有識者は、トランプの米国によって日米関係が損なわ れる事はない、そうさせてはいけない、としか論じない。
野党の政治家は、安倍政権批判に忙しく、来たるべき総選挙で生きの びるための野党共闘で頭がいっぱいだ。
国民はなすすべなく、先行きの経済不安におびえるだけだ。
一億総トランプショックの中で、ただ一人トランプの米国を歓迎し、 いまこそチャンスだと言った政治家がいる。
それが沖縄の翁長知事である。
トランプ政権の誕生は沖縄にとって歓迎すべきことだ、トランプ氏に は沖縄の現状を伝え理解してもう、そういって訪米すると語った。
翁長知事は正しい。
まさしく沖縄にとっては千載一遇のチャンス到来である。
トランプ氏はその差別主義のゆえに米国民の半分から否定されてい る。
大統領になっても差別主義を続ければ、たちまち行き詰まるだろう。
「米国を分断して辞任した大統領」という汚名を米国の政治史に残す だろう。
だからこそ、トランプ氏は、異例の大統領選直後のホワイトハウス訪 問を行って、オバマ大統領とともに、ひとつの米国を強調したのだ。
差別への怒りは、沖縄は誰にも負けない。
訪米し、トランプ氏に米国は沖縄差別を止めろ、と世界の前で直訴した なら、ただでさえ米軍撤退を口にするトランプのことだ。聞く意味を持 つ、いや、聞かざるを得ない。
日本が対米自立できるかどうかのカギは、やはり沖縄が握っている。
トランプ大統領の誕生は、沖縄から対米自立の日本を実現する絶好の チャンスなのだ。
トランプショックを逆手にとってジャパンショックを起こすのだ。
問題は翁長知事にそこまでの戦略があるかだ。
その戦略をつくり、それを実践するブレーンがいるかだ。
今の沖縄で、まともに対米外交をできそうな政治家は伊波洋一議員しかいな い。
伊波洋一議員は野党共闘に推されて当選した政治家だ。
野党はいまこそ伊波洋一議員を活用し、翁長知事の訪米を成功させる ために全力をあげる時だ。
それこそが安倍政権を倒す野党共闘の正しい姿である(了)