浅野秀弥の未来創案
【大阪自民よ立ち上がれ】
安倍+維新の危険性さらに
先に論じた今上天皇陛下の生前退位への対応をみても、現在の安倍政権は健全な保守政治とはいえない。今こそ、隠れ与党の日本維新の会の正体を知り尽くす大阪の自民党は、自らの保身を捨て安倍政権打倒に立ち上がらなければならない。
今の衆院小選挙区制度で、候補者個別の公認権を官邸に握られている状況では、自民党議員は自分の議席維持が気になり政府与党に逆らえない。党内で 正論を吐けるのは選挙に絶対の自信を持つ石破茂氏(鳥取1区)や野田聖子氏(岐阜1区)などごく少数だ。かつて弊害の代表と言われた党内派閥は、実際は “党内党”として、内閣が国民の支持を失った際には自浄作用を発揮した。同時に中選挙区で自民党候補者同士が戦う状況下で互いが切磋琢磨(せっさたくま) し合うことで、自然と党内に主流・反主流を生み出し長く政権を維持し続ける土壌となった。
1世代上の戦争体験がある自民党議員は、自らの政治的身上から「二度と日本を戦争に巻き込んではならない」と筋が通っていた。保守本流であっても、左傾化と同様、あるいはそれ以上に右傾化を警戒し、自衛隊の軍隊化に神経質なほど反対し続けた。
今の自民党はアベノミクスの行く末を実は悲観的に予感しながら、誰もまっとうな指摘をせず、作り笑いを浮かべながらさっさと党総裁任期延長を決め るのだから恐れ入る。かつて野党に転落時に権力の固定化を憂いて多選禁止を明文化した精神も痛みも忘れてしまうほど、今の自民党は劣化している。
その最中に、小沢一郎氏率いる生活の党が、自由党の名称に戻った。彼にはかつての栄光も腕力もない。しかし目指したものは官僚支配の打破であり、同時に米国追従一辺倒の外交施策からの転換であった。
世界は新たな秩序作りに動いている。本気で「外交は安倍で大丈夫」と思っている有権者はごくわずかだ。団塊の世代が後期高齢者となる日が刻々と近づく今こそ、国家百年の大計をもってわが国の枠組み作りから見直す必要がある。