令和2年中に東京都内で「休廃業・解散」した企業は、過去最多の1万2357件に上ることが、東京商工リサーチの調査で明らかになった。これまでで最も多かった令和元年(1万60件)の1・2倍に達した。直接的な要因は主に後継者不足などだが、同社は「広い意味で新型コロナウイルスの影響がみられる」と分析している。

 同社は平成12年以降毎年、債務がないにもかかわらず、事業を停止した「休廃業・解散」企業数を取りまとめており、対象は個人経営から大企業まで「ほぼすべての企業」としている。当初は2千〜5千件台で推移していたが、平成27年以降急増。令和元年には1万件を突破して1万60件に達し、過去最多となった。令和2年はこれをさらに上回り、1万2357件で過去最多を更新した。

 産業別にみると、飲食業や宿泊業を含むサービス業が最も多く4345件で、全体の35・2%を占めた。以下、情報通信業1303件(10・5%)、製造業1203件(9・7%)と続いた。新型コロナ禍で営業時間短縮要請などの影響を受けた飲食店だけを抜き出してみると、前年比15・6%増の473件だった。

 令和2年の「休廃業・解散」企業のうち、代表者の年齢が70代以上だったのは62%に上った。後継者の育成が進まないなど、事業継承の難しさが直接的な要因だという。ただ、東京商工リサーチの聞き取り調査には、「新型コロナで事業環境が悪化した」「これ以上借金をして続ける気力がない」などの声が多く寄せられた。

 担当者は「もともと事業を継続しようか迷っていたところに、新型コロナ禍が襲い掛かった。最後の一押しになった印象だ。休廃業を加速させた背景には、新型コロナの影響があったといえる」と話している。