イナの大群、水面を黒々と染める 水しぶきあげ右往左往 三重
三重県鳥羽市の中心市街地を流れる妙慶川の河口に、体長約20センチのイナの大群が居つき、地元住民らの話題となっている。水面を黒々と染め、人影などに驚いては水しぶきをあげて右往左往している。
地元の人たちによると、イナの大群は1月中旬に初めて目撃された。当初は小さな塊だったが次第に増え、10日現在では長さ15メートル、幅4〜5メートルの楕円(だえん)状に拡大。川底が見えなくなるほど密集している。数年に1度の頻度で見られるが、「これほどの大群を見たのは初めて」と驚いている。
イナは出世魚のボラの幼名。鳥羽地方は昭和の初期までボラ漁が盛んだった。妙慶川南側に位置した鳥羽城は江戸時代、ボラを驚かせないため海側を黒色に、山側を白色に塗っていたため「二色(にしき)城」とも呼ばれていた。【林一茂