ハードバピッシュ&アレグロな日々

CD(主にジャズ・クラシック)の感想を書き留めます

ルー・ドナルドソン/ウェイリング・ウィズ・ルー

2024-03-23 12:01:00 | ジャズ(ハードバップ)

ルー・ドナルドソンの代表作といえば、商業的成功という観点からはビルボードHOT100にもチャートインした1967年の「アリゲイター・ブーガルー」、名盤特集に良く取り上げられるのは1958年の「ブルース・ウォーク」あたりでしょうか?ただ、個人的にイチ押ししたいのが、今日取り上げる「ウェイリング・ウィズ・ルー」です。本作はドナルドソンの最高傑作というだけでなく、同時代のブルーノートの全作品群の中でもかなり上位にランクされるべき作品と思います。録音年月日は1957年1月27日。メンバーはドナルド・バード(トランペット)、ハーマン・フォスター(ピアノ)、ペック・モリソン(ベース)、アート・テイラー(ドラム)です。うち、フォスターとモリソンはドナルドソンのグループの常連としてその後も数々の作品で共演します。バードはこの頃飛ぶ鳥を落とす勢いであらゆるセッションに引っ張りだこの存在でしたが、本作ではいつにもましてキレキレの演奏で実質ドナルドソンと共同リーダーと言っても良いぐらいの存在感を見せつけます。

アルバムはエリントン・ナンバーの"Caravan"で幕を開けます。元々エキゾチックなこの曲を、テイラーが野性的なドラミングで盛り上げ、ドナルドソンとバードがファナティックなソロを繰り広げます。2曲目はスタンダードの"Old Folks"。ドナルドソンとバードが情感たっぷりのバラード演奏を聴かせますが、ブロックコードを多用したハーマン・フォスターの独特のバラード演奏も印象的です。3曲目"That Good Old Feeling"はチェット・ベイカーで有名な"That Old Feeling"のコード進行を少し変えたドナルドソンの自作曲。ハッピーな雰囲気に満ちたスインガーでバード、ドナルドソン、フォスターが気持ちよさそうにソロをリレーして行きます。

続いてレコードで言うB面。4曲目"Move It"もドナルドソンのオリジナルですが、この曲がまた素晴らしい。フォスター独特のローリング・ブロックコードがバックで煽り立てる疾走感溢れるナンバーで、バード、ドナルドソンが全編に渡ってスリリングなソロの応酬を繰り広げます。特にバードの輝きに満ちたトランペットソロが圧巻で、個人的には彼のキャリアの中でも最高のプレイではないかと思います。5曲目のスタンダード"There Is No Greater Love"はモダンジャズではミディアムテンポで演奏されていることが多いですが、ここでは原曲どおりバラードで演奏されており、ドナルドソンとバードがムードたっぷりに歌い上げます。ラストの"L.D. Blues"は名前通り、ドナルドソン自作のブルースで中盤のドナルドソンのファンキーなソロが圧倒的です。以上、珍しく全曲詳しく解説しましたが、6曲全て曲良し、演奏良しの文句なしの名盤です!

 

 

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