ハードバピッシュ&アレグロな日々

CD(主にジャズ・クラシック)の感想を書き留めます

ジョージ・ウォーリントン/ジャズ・アット・ホッチキス

2024-03-28 21:42:55 | ジャズ(ハードバップ)

ジョージ・ウォーリントンについては、先日の「ザ・ニューヨーク・シーン」でご紹介しましたが、ビバップ期から活躍する白人ピアニストで、特に50年代半ばにドナルド・バード(トランペット)、フィル・ウッズ(アルト)をフロントラインに据えたクインテットで何枚か傑作を残しています。本作はその最後にあたるもので、録音年月日は1957年11月14日。メンバーはウォーリントン、バード、ウッズに加え、ノビー・トター(ベース)、ニック・スタビュラス(ドラム)です。バード以外全員白人ですが、サウンド的には完全にバップです。サヴォイ・レコードということで、ジャケットの写真が何となくカーティス・フラー「ブルースエット」に似ていますね。ちなみにタイトルのホッチキスとは文房具のホッチキスではなく、コネチカット州にあるホッチキス・スクールと言う名門私立校の名前らしいです。同校で行われたコンサートの曲目をスタジオで再録したもので、ライブではありません。

全5曲。1曲目バド・パウエルの”Dance Of The Infidels(異教徒たちの踊り)”、4曲目ディジー・ガレスピーの”Ow”とビバップの古典を取り上げているところが、元祖ビバッパーのウォーリントンらしいです。後者は冒頭で2分半にわたってノビー・トターのベースが大きくフィーチャーされ、ウォーリントン、バード、ウッズがソロをリレーしていきます。ラストの"''S Make T'"はバード作曲による痛快ハードバップ。3曲目"Before Dawn"はウォーリントン作曲のバラードで、バードの哀愁溢れるトランペットとウッズの泣きのアルトが聴きモノです。全体的に2管を表に出した演奏ですが、2曲目"Strange Music"はバード、ウッズが抜けたトリオ。クラシック曲のジャズ・アレンジで、グリーグの有名なピアノ曲「トロルドハウゲンの婚礼の日」を下敷きにしたものだそうです。愛らしいメロディを持つ楽しいピアノ・トリオで、ウォーリントンがピアニストとして確かな実力の持ち主だったことがよくわかります。ただし、ウォーリントンはこの作品を最後にジャズ界から引退し、実家のエアコン販売業を継いだそうです。先日のルイ・スミスもそうでしたが、やはりジャズマンってのは基本儲からない仕事だったんですね・・・

 

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