ハードバピッシュ&アレグロな日々

CD(主にジャズ・クラシック)の感想を書き留めます

マイルス・デイヴィス&ミルト・ジャクソン

2024-03-27 21:40:44 | ジャズ(ハードバップ)

マイルスは1955年秋にいわゆる”黄金のクインテット”すなわち、マイルス、ジョン・コルトレーン、レッド・ガーランド、ポール・チェンバース、フィリー・ジョー・ジョーンズから成るレギュラー・クインテットを結成しますが、それより前は特に固定のメンバーはおらず、セッション毎に顔ぶれが変わっていました。今日ご紹介する作品は黄金のクインテット結成直前の1955年8月5日の録音ですが、ミルト・ジャクソン(ヴァイブ)をコ・リーダーに据え、レイ・ブライアント(ピアノ)、パーシー・ヒース(ベース)、アート・テイラー(ドラム)、さらに4曲中2曲でアルトのジャッキー・マクリーンが加わるという顔ぶれです。ミルトとは前年の「バグス・グルーヴ」セッションで共演、マクリーンとは1951年の「ディグ」やブルーノートの一連のセッションで共演歴がありますが、レイ・ブライアントとの組み合わせは最初で最後ではないかと思われます。

全4曲。スタンダードは1曲もなく、全てメンバーまたは他のジャズマンのオリジナルです。1曲目はジャッキー・マクリーン作の"Dr. Jackle"。後にマイルスが1958年の「マイルストーンズ」で取り上げ、そちらの方が一般的には有名かもしれません。一風変わったメロディーのバップ曲ですが、どんな曲もファンキーにしてしまうミルト・ジャクソンのヴァイブが圧巻で、正直マイルスやマクリーンよりも目立っていす。2曲目はサド・ジョーンズの"Bitty Ditty"、3曲目はマクリーンの"Minor March"です。ミルトは相変わらず好調なのに対し、マイルスはどことなく元気がないように感じるのは私だけでしょうか?元々マイルスはクリフォード・ブラウンやリー・モーガンのように音の強さで勝負するタイプでありませんが、それにしてもやや迫力不足。その点、4曲目の"Changes"はバラード演奏で、レイ・ブライアントの書いたリリカルなメロディとマイルスの枯れた味わいのミュート・トランペットがマッチしていてなかなか良いです。全部で30分強しかなく、内容的にも特筆すべきものがあるわけではありませんが、マイルス好きなら(ミルト好きも?)持っておいて損はない1枚ではないでしょうか?

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