ハードバピッシュ&アレグロな日々

CD(主にジャズ・クラシック)の感想を書き留めます

ジョージ・ウォーリントン/ザ・ニューヨーク・シーン

2024-03-20 15:22:52 | ジャズ(ハードバップ)

今回はジョージ・ウォーリントンをご紹介します。本名はジャチント・フィーリャと言い、シチリア生まれのイタリア人ですが、幼少期にニューヨークに移住し、カウント・ベイシーを聴いてジャズの道を志すようになったそうです。1940年代に興隆したビバップにはわりと初期から参画しており、チャーリー・パーカーやディジー・ガレスピーのバンドにも属していたとか。ただ、私はビバップには通暁していませんので、この頃の詳しいことはよくわかりません。モダンジャズにおいてウォーリントンが重要な役割を果たすのは1950年代半ば頃。1955年録音の「ライヴ・アット・カフェ・ボヘミア」はドナルド・バード、ジャッキー・マクリーン、ポール・チェンバース、アート・テイラーといった若き俊英を一堂に集めた”ハードバップの夜明け"的セッションとして名盤リストにも掲載されることが多いです。本作「ザ・ニューヨーク・シーン」はその2年後の1957年3月1日にプレスティッジに吹き込まれたものです。メンバーはトランペットは「カフェ・ボヘミア」と同じくドナルド・バードですが、他はフィル・ウッズ(アルト)、テディ・コティック(ベース)、ニック・スタビュラス(ドラム)となっています。バード以外はウォーリントン含め全員白人ですが、内容的には完全にハードバップです。

アルバムはモーズ・アリソンの自作曲"In Salah"で幕を開けます。アリソンは白人ピアニストでアル&ズートやスタン・ゲッツの作品にサイドメンとして参加していますが、作曲家としても知る人ぞ知る存在だったようで、この曲も熱きバップ魂を感じる名曲です。後はウッズとバードのオリジナルが3曲。中ではウッズ作"Sol's Ollie"が痛快ハードバップです。歌モノは2曲。ヴィクター・ハーバート作の"Indian Summer"はミディアムテンポで料理されており、リラックスした雰囲気の中、ウッズ、バード、ウォーリントン、コティックが軽快にソロを取って行ききます。"Graduation Day"はフォー・フレッシュメンが歌った美しいバラードですが、インストゥルメンタルでは他であまり聴いたことがありません。ここでは2管が抜けたトリオ編成で、ウォーリントンの端正なバラード演奏が味わえます。ただ、全体的にはウォーリントンのソロは控えめで、バードとウッズの2人を前面に押し出した音作りです。ウォーリントンとバード、ウッズの組み合わせは他にも何作かありますので、また近いうちにご紹介したいと思います。

 

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