本日はケニー・バレルをご紹介します。バレルについては以前「ブルージン・アラウンド」をご紹介しましたが、私にとってナンバーワン・ジャズ・ギタリストです。バレルはとにかく多作なことで知られており、ブルーノートやプレスティッジを中心に数々のセッションに参加し、ハードパップの屋台骨を支えました。一方、バレルはいわゆるソウルジャズとも親和性が高く、ジミー・スミス、フレディ・ローチ等オルガン奏者との共演も多くあります。本作「クラッシュ!」はプレスティッジを代表するオルガン奏者、ブラザー・ジャックことジャック・マクダフとの共演作です。録音年月は1963年1月8日と2月26日。メンバーはバレル、マクダフに加え、ハロルド・ヴィック(テナー)、ジョー・デュークス(ドラム)、レイ・バレト(コンガ)です。
内容ですが、1曲目”Grease Monkey”はダンスフロア向けのソウル・ジャズで、さすがにポップ過ぎますね。2曲目のスタンダード”The Breeze And I”も軽めの演奏。3曲目が本作のハイライトであるホレス・シルヴァー作”Nica’s Dream”。レイ・バレトの野生的なコンガに煽られるように、マクダフ→バレル→ヴィックが熱のこもったソロをリレーしていきます。4曲目”Call It Stormy Monday"はコテコテのブルースで、マクダフの糸を引くようなオルガンソロの後、バレルが十八番のブルージーなソロを聴かせます。5曲目はガーシュウィン・ナンバーの”Love Walked In”。この曲だけカウント・ベイシー楽団のフルート奏者エリック・ディクソンが参加しており、曲調もスインギーです。ラストの”We’ll Be Together Again"はほぼマクダフとバレルのデュオでスローバラードをムードたっぷりに演奏します。以上、決して名盤とは言えませんが、気軽に楽しめる一枚だと思います。