中学3年の年末に、映画好き友達と「ロードショー」や「スクリーン」誌の真似して年間ベストを選んでから34年。いち映画ファンによる映画愛表現の手段として、今年も個人的べスト作品を選出します。とはいえ、若い頃と違っていろんなことで忙殺される日々。フットワーク軽く映画館に行ったり、レンタル店に通い詰めるなんてできない。それだけ観る映画を自分で厳選する嗅覚がますます必要になっているのだ。
そして若い頃とは違って日々のいろんなことに悩まされる日々。今年は些細なことから深刻なこと、私的なことからお仕事のことまで悩んでしまうことの多かった年だった。何を信じていいのかが疑われる出来事が、世間でも自分の身の回りでも次々と起こった年だったようにも思う。世間の情報や見てくれに踊らされずにいることの難しさ。
そんな2014年に観たすべての映画から、私takが選んだ私的映画賞がこちら。国際映画賞の結果なんぞ関係なく、あくまでも個人としてグッときたかが基準。特に今年は自分を励ましてくれる映画が多かった。いや、映画がもつ力とともに、いろんな事に励まされ続けた年だったよな気もするのです。感謝。(昨年の結果はこちら)
★対象は2014年に観たすべての映画(劇場、DVD、VTR、地上波、BSすべて含む)。新作、旧作を問わない。
★劇場公開することを前提に撮られた映画を対象とする。いわゆるVシネマ、OVAなどビデオリリース目的のものは含まない。
■作品賞=「きっと、うまくいく/3 Idiots」(2009年・インド)
今まで敬遠してきたマサラムービーだったが、いやはや参りました。あっという間の3時間。途中に入った5分間の休憩時間が邪魔に感じるほど、先が観たくて仕方なくなった。人情喜劇、青春ドラマ、お約束のミュージカル場面、成長物語、謎解き、涙・・・映画に求められるエンターテイメントをてんこ盛りにしながらも、決して無駄がない。エンドロールを観ながら「すげえ」と口にしてしまった映画、これまで何本あっただろうか。そして悩み多き日々を送る僕らの背中を、ドーンと強烈に押してくれるような前向きさと優しさに満ちた映画。世間的には2013年公開作。だけど、小倉昭和館で今年この映画に巡り会ったのは、僕にとってとても意味のあることのように思えたのでした。傑作エンターテイメント。
今年の10本
「思い出のマーニー」(2014)
「紙の月」(2014)
「きっと、うまくいく」(2009)
「猿の惑星:新世紀(ライジング)」(2014)
「ジャージー・ボーイズ」(2014)
「ゼロ・グラビティ」(2013)
「そこのみにて光輝く」(2013)
「her/世界でひとつの彼女」(2013)
「マダム・イン・ニューヨーク」(2012)
「LIFE!」(2013)
■監督賞=アルフォンソ・キュアロン「ゼロ・グラビティ」(2013)
上映時間の間ずっと椅子にしがみついていた(恥)。これはまさに"映像体験"だった。だが「ゼロ・グラビティ」はただの見せ物娯楽映画ではない。困難に立ち向かうヒロインの姿に気づくと勇気づけられている。ラストシーンで大地に立ち上がるサンドラ・ブロックに涙が出た。ただ立ち上がるだけなのに。この物語を観たこともない映像で表現したキュアロン監督の手腕に素直に感動。
今年の10人
アルフォンソ・キュアロン「ゼロ・グラビティ」(2013)
市川準「トニー滝谷」(2004)
ウディ・アレン「ブルー・ジャスミン」(2013)
クリント・イーストウッド「ジャージー・ボーイズ」(2014)
呉美保「そこのみにて光輝く」(2013)
フランソワ・オゾン「危険なプロット」(2012)
ペドロ・アルモドバル「オール・アバウト・マイ・マザー」(1998)
ベン・スティーラー「LIFE!」(2013)
ラージクマール・ヒラニ「きっと、うまくいく」(2009)
吉田大八「紙の月」(2014)
■主演男優賞=ベン・スティラー「LIFE!」(2013)
冴えない顔したベン・スティラーが、物語が進むにつれてだんだん自信にあふれてくる。日頃の憂さを忘れさせるような広大な風景がスクリーンに広がる。ショーン・ペンに手招きされて大きな一歩を踏み出す主人公は、スクリーンのこっち側でその一歩を踏み出せずにいる僕らの心をムズムズさせてくれるのだ。彼の監督作「リアリティ・バイツ」から年齢を経て、ベン・スティラー自身の映画人としての成長を感じさせる秀作だった。
今年の10人
ウォルター・マッソー「サブウェイ・パニック」(1974)
ジェームズ・コーデン「ワン・チャンス」(2013)
ジェフリー・ラッシュ「鑑定士と顔のない依頼人」(2013)
ジョン・ホークス「セッションズ」(2012)
ジョン・ロイド・ヤング「ジャージーボーイズ」(2014)
ファブリス・ルキーニ「危険なプロット」(2012)
フォレスト・ウィティカー「大統領の執事の涙」(2013)
ベン・スティラー「LIFE!」(2013)
ホアキン・フェニックス「her/世界でひとつの彼女」(2013)
丸山明宏「黒蜥蜴」(1968)
■主演女優賞=宮沢りえ「紙の月」(2014)
今年は、舞台「海辺のカフカ」で宮沢りえの演技を生で観る幸せに恵まれた。舞台で高い評価を得ているりえちゃんだが、映画では「たそがれ清兵衛」や「父と暮らせば」「トニー滝谷」あたりが代表作。どこか玄人受けする地味な印象がある。吉田大八監督が角田光代の原作に挑んだ本作では、重いテーマの中に日々の生活にちょっと疲れた顔、年下彼氏とかわいくはしゃぐ顔、緊迫した場面のシリアスな顔と、今の彼女だからできる様々な表情を見せてくれる。間違いなく代表作となる名演。
今年の10人
池脇千鶴「そこのみにて光輝く」
エイミー・アダムス「アメリカン・ハッスル」
オドレイ・トトゥ「ムード・インディゴ うたかたの日々」
ケイト・ブランシェット「ブルー・ジャスミン」
サンドラ・ブロック「ゼロ・グラビティ」
シュリデヴィ「マダム・イン・ニューヨーク」
ニコール・キッドマン「グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札」
ハ・ジウォン「ハナ 奇跡の46日間」
ミア・ワシコウスカ「イノセント・ガーデン」
宮沢りえ「紙の月」
■助演男優賞=ハリソン・フォード「エンダーのゲーム」(2013)
助演ながらハリソン・フォードがSF映画に出てくるだけで映像がビシッと締まってしまうのは、僕らが「スターウォーズ」育ちだからだろうか。ゲームに卓越した才能をもつ少年少女をヴァーチャル兵士に育て上げる軍人を見事に演じておりました。最近脇役でいい仕事が多い。これもそのひとつ。
今年の10人
アンドレ・デュソリエ「美女と野獣」
オマール・シー「ムード・インディゴ うたかたの日々」
クリストファー・ウォーケン「ジャージー・ボーイズ」
ゲイリー・オールドマン「ロボコップ」
ダニエル・ブリュール「RUSH プライドと友情」
ティム・ロス「グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札」
ハリソン・フォード「エンダーのゲーム」
ベン・キングズレー「エンダーのゲーム」
リー・ヴァン・クリーフ「怒りの荒野」
ロバート・ショウ「サブウェイ・パニック」
■助演女優賞=エイミー・アダムス「her/世界でひとつの彼女」(2013)
人格を持つOSに恋をした主人公を見守る女友達役は、他の映画でキラキラと輝く彼女とは大きく違うやや冴えない役柄だ。しかし、主人公の本当の理解者であるこの映画の彼女は、自分にもこういう理解者がいてくれたらと思わせるに余りある素敵な存在。今年は「アメリカン・ハッスル」でもセクシーで気丈ないい女を演じてくれた。これからも応援したいハリウッド女優。
今年の10人
エイミー・アダムス「her/世界でひとつの彼女」
エマニュエル・セニエ「危険なプロット」
小林聡美「紙の月」
ジェニファー・ローレンス「アメリカン・ハッスル」
ジュリー・ウォルターズ「ワン・チャンス」
ジュリアン・ムーア「フライト・ゲーム」
ペネロペ・クルス「オール・アバウト・マイ・マザー」
ヘレン・ハント「セッションズ」
余貴美子「あなたへ」
ルーニー・マーラ「her/世界でひとつの彼女」
■音楽賞=ボブ・クリュー/ボブ・ゴーディオ「ジャージー・ボーイズ」(2014)
フォーシーズンズの栄光と挫折を描いたブロードウェイミュージカルをクリント・イーストウッドが監督するなんて誰が予想しただろう。キャストたちがオリジナルに負けない熱唱を聴かせてくれる。人生と歌が重なるクライマックスは何とも言えない余韻を残してくれる。今年も旧作のノミネートが多いこと。
今年の10人
井上尭之「太陽を盗んだ男」
エンニオ・モリコーネ「鑑定士と顔のない依頼人」
坂本龍一「トニー滝谷」
周防義和「舞妓はレディ」
ジム・オルーク「私の男」
バーナード・ハーマン「北北西に進路をとれ」
ボブ・クリュー/ボブ・ゴーディオ「ジャージー・ボーイズ」
宮川彬良/宮川泰「宇宙戦艦ヤマト2199星巡る方舟」
村松崇継「思い出のマーニー」
リズ・オルトラーニ「怒りの荒野」
■主題歌賞=Step Out (Jose Gonzalez) 「LIFE!」(2013)
世間的には今年の映画主題歌と言えば「アナ雪」の"レリゴー"なんだろうけど、僕は人生の応援歌のようなこの映画のサウンドトラックにノックアウトされた。予告編でも使われたホセ・ゴンザレスの"Step Out"のわき上がるような高揚感。サントラは他にもデビッド・ボウイの"Space Oditty"(本編でも使われ方は最高だった!)やホール&オーツの"Maneater"の見事なカヴァーを収録。今年の主題歌賞は大激戦。
今年の10曲
BLUE (水樹奈々)「宇宙戦艦ヤマト2199追憶の航海」
Fine On The Outside (Priscilla Ahn)「思い出のマーニー」
Let It Go (Idina Menzel)「アナと雪の女王」
Live And Let Die (Paul McCartney & Wings)「アメリカン・ハッスル」
Space Oditty (David Bowie feat. Kristen Wiig)「LIFE!」
Step Out (Jose Gonzalez)「LIFE!」
Sweeter Than Fiction (Taylor Swift)「ワン・チャンス」
This Woman's Work (Kate Bush)「結婚の条件」
シネマタイズ(映画化)(特撮)「ヌイグルマーZ」
ヌイグルマーZ(特撮X中川翔子)「ヌイグルマーZ」
■ベストアクション映画=「オール・ユー・ニード・イズ・キル」(2014)
日本のライトノベルをハリウッド映画化したSF活劇。アクションがどうだこうだというよりも、見せ方の面白さこそがこの映画の魅力。トム・クルーズのSF作品はハズレがないよな、悔しいけど。
■ベストコメディ映画=「WOOD JOB!神去なあなあ日常」(2014)
矢口史靖監督は新作が常に楽しみな映画作家のひとり。今回はオリジナル脚本ではなく、三浦しをんの小説を映画化。都会人から見た山村のカルチャーギャップをおもしろおかしく描いている映画じゃないところが素晴らしい。
■ベスト恋愛映画=「たまこラブストーリー」(2014)
アニメだからってナメたらいかん。卒業を控えた高校生の恋心を描くだけではなく、親世代の心をもキュン!とさせる見事な作品。「だいすき」って何気ない言葉がこんなにも心に響くなんて。
■ベストミステリー/サスペンス=「イノセント・ガーデン」(2013)
パク・チャヌク監督のハリウッド進出第1作はおどろおどろしい雰囲気が極上のスリラー。思春期の不安定な心と異常心理を融合させた見事な展開。この映画は記憶として残らない。背筋に感覚として残るのだ。
■ベスト人間ドラマ=「あなたへ」(2012)
今年は昭和の名優が亡くなった年でもある。地元北九州ロケ作品でありながら、公開当時スルーしてしまっていた高倉健の遺作「あなたへ」。訳ありの男たちが織りなすエピソード。あと10年若かったらこの映画の良さはわからなかったと思うのだ。ありがとう、健さん。
そして若い頃とは違って日々のいろんなことに悩まされる日々。今年は些細なことから深刻なこと、私的なことからお仕事のことまで悩んでしまうことの多かった年だった。何を信じていいのかが疑われる出来事が、世間でも自分の身の回りでも次々と起こった年だったようにも思う。世間の情報や見てくれに踊らされずにいることの難しさ。
そんな2014年に観たすべての映画から、私takが選んだ私的映画賞がこちら。国際映画賞の結果なんぞ関係なく、あくまでも個人としてグッときたかが基準。特に今年は自分を励ましてくれる映画が多かった。いや、映画がもつ力とともに、いろんな事に励まされ続けた年だったよな気もするのです。感謝。(昨年の結果はこちら)
★対象は2014年に観たすべての映画(劇場、DVD、VTR、地上波、BSすべて含む)。新作、旧作を問わない。
★劇場公開することを前提に撮られた映画を対象とする。いわゆるVシネマ、OVAなどビデオリリース目的のものは含まない。
■作品賞=「きっと、うまくいく/3 Idiots」(2009年・インド)
今まで敬遠してきたマサラムービーだったが、いやはや参りました。あっという間の3時間。途中に入った5分間の休憩時間が邪魔に感じるほど、先が観たくて仕方なくなった。人情喜劇、青春ドラマ、お約束のミュージカル場面、成長物語、謎解き、涙・・・映画に求められるエンターテイメントをてんこ盛りにしながらも、決して無駄がない。エンドロールを観ながら「すげえ」と口にしてしまった映画、これまで何本あっただろうか。そして悩み多き日々を送る僕らの背中を、ドーンと強烈に押してくれるような前向きさと優しさに満ちた映画。世間的には2013年公開作。だけど、小倉昭和館で今年この映画に巡り会ったのは、僕にとってとても意味のあることのように思えたのでした。傑作エンターテイメント。
今年の10本
「思い出のマーニー」(2014)
「紙の月」(2014)
「きっと、うまくいく」(2009)
「猿の惑星:新世紀(ライジング)」(2014)
「ジャージー・ボーイズ」(2014)
「ゼロ・グラビティ」(2013)
「そこのみにて光輝く」(2013)
「her/世界でひとつの彼女」(2013)
「マダム・イン・ニューヨーク」(2012)
「LIFE!」(2013)
■監督賞=アルフォンソ・キュアロン「ゼロ・グラビティ」(2013)
上映時間の間ずっと椅子にしがみついていた(恥)。これはまさに"映像体験"だった。だが「ゼロ・グラビティ」はただの見せ物娯楽映画ではない。困難に立ち向かうヒロインの姿に気づくと勇気づけられている。ラストシーンで大地に立ち上がるサンドラ・ブロックに涙が出た。ただ立ち上がるだけなのに。この物語を観たこともない映像で表現したキュアロン監督の手腕に素直に感動。
今年の10人
アルフォンソ・キュアロン「ゼロ・グラビティ」(2013)
市川準「トニー滝谷」(2004)
ウディ・アレン「ブルー・ジャスミン」(2013)
クリント・イーストウッド「ジャージー・ボーイズ」(2014)
呉美保「そこのみにて光輝く」(2013)
フランソワ・オゾン「危険なプロット」(2012)
ペドロ・アルモドバル「オール・アバウト・マイ・マザー」(1998)
ベン・スティーラー「LIFE!」(2013)
ラージクマール・ヒラニ「きっと、うまくいく」(2009)
吉田大八「紙の月」(2014)
■主演男優賞=ベン・スティラー「LIFE!」(2013)
冴えない顔したベン・スティラーが、物語が進むにつれてだんだん自信にあふれてくる。日頃の憂さを忘れさせるような広大な風景がスクリーンに広がる。ショーン・ペンに手招きされて大きな一歩を踏み出す主人公は、スクリーンのこっち側でその一歩を踏み出せずにいる僕らの心をムズムズさせてくれるのだ。彼の監督作「リアリティ・バイツ」から年齢を経て、ベン・スティラー自身の映画人としての成長を感じさせる秀作だった。
今年の10人
ウォルター・マッソー「サブウェイ・パニック」(1974)
ジェームズ・コーデン「ワン・チャンス」(2013)
ジェフリー・ラッシュ「鑑定士と顔のない依頼人」(2013)
ジョン・ホークス「セッションズ」(2012)
ジョン・ロイド・ヤング「ジャージーボーイズ」(2014)
ファブリス・ルキーニ「危険なプロット」(2012)
フォレスト・ウィティカー「大統領の執事の涙」(2013)
ベン・スティラー「LIFE!」(2013)
ホアキン・フェニックス「her/世界でひとつの彼女」(2013)
丸山明宏「黒蜥蜴」(1968)
■主演女優賞=宮沢りえ「紙の月」(2014)
今年は、舞台「海辺のカフカ」で宮沢りえの演技を生で観る幸せに恵まれた。舞台で高い評価を得ているりえちゃんだが、映画では「たそがれ清兵衛」や「父と暮らせば」「トニー滝谷」あたりが代表作。どこか玄人受けする地味な印象がある。吉田大八監督が角田光代の原作に挑んだ本作では、重いテーマの中に日々の生活にちょっと疲れた顔、年下彼氏とかわいくはしゃぐ顔、緊迫した場面のシリアスな顔と、今の彼女だからできる様々な表情を見せてくれる。間違いなく代表作となる名演。
今年の10人
池脇千鶴「そこのみにて光輝く」
エイミー・アダムス「アメリカン・ハッスル」
オドレイ・トトゥ「ムード・インディゴ うたかたの日々」
ケイト・ブランシェット「ブルー・ジャスミン」
サンドラ・ブロック「ゼロ・グラビティ」
シュリデヴィ「マダム・イン・ニューヨーク」
ニコール・キッドマン「グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札」
ハ・ジウォン「ハナ 奇跡の46日間」
ミア・ワシコウスカ「イノセント・ガーデン」
宮沢りえ「紙の月」
■助演男優賞=ハリソン・フォード「エンダーのゲーム」(2013)
助演ながらハリソン・フォードがSF映画に出てくるだけで映像がビシッと締まってしまうのは、僕らが「スターウォーズ」育ちだからだろうか。ゲームに卓越した才能をもつ少年少女をヴァーチャル兵士に育て上げる軍人を見事に演じておりました。最近脇役でいい仕事が多い。これもそのひとつ。
今年の10人
アンドレ・デュソリエ「美女と野獣」
オマール・シー「ムード・インディゴ うたかたの日々」
クリストファー・ウォーケン「ジャージー・ボーイズ」
ゲイリー・オールドマン「ロボコップ」
ダニエル・ブリュール「RUSH プライドと友情」
ティム・ロス「グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札」
ハリソン・フォード「エンダーのゲーム」
ベン・キングズレー「エンダーのゲーム」
リー・ヴァン・クリーフ「怒りの荒野」
ロバート・ショウ「サブウェイ・パニック」
■助演女優賞=エイミー・アダムス「her/世界でひとつの彼女」(2013)
人格を持つOSに恋をした主人公を見守る女友達役は、他の映画でキラキラと輝く彼女とは大きく違うやや冴えない役柄だ。しかし、主人公の本当の理解者であるこの映画の彼女は、自分にもこういう理解者がいてくれたらと思わせるに余りある素敵な存在。今年は「アメリカン・ハッスル」でもセクシーで気丈ないい女を演じてくれた。これからも応援したいハリウッド女優。
今年の10人
エイミー・アダムス「her/世界でひとつの彼女」
エマニュエル・セニエ「危険なプロット」
小林聡美「紙の月」
ジェニファー・ローレンス「アメリカン・ハッスル」
ジュリー・ウォルターズ「ワン・チャンス」
ジュリアン・ムーア「フライト・ゲーム」
ペネロペ・クルス「オール・アバウト・マイ・マザー」
ヘレン・ハント「セッションズ」
余貴美子「あなたへ」
ルーニー・マーラ「her/世界でひとつの彼女」
■音楽賞=ボブ・クリュー/ボブ・ゴーディオ「ジャージー・ボーイズ」(2014)
フォーシーズンズの栄光と挫折を描いたブロードウェイミュージカルをクリント・イーストウッドが監督するなんて誰が予想しただろう。キャストたちがオリジナルに負けない熱唱を聴かせてくれる。人生と歌が重なるクライマックスは何とも言えない余韻を残してくれる。今年も旧作のノミネートが多いこと。
今年の10人
井上尭之「太陽を盗んだ男」
エンニオ・モリコーネ「鑑定士と顔のない依頼人」
坂本龍一「トニー滝谷」
周防義和「舞妓はレディ」
ジム・オルーク「私の男」
バーナード・ハーマン「北北西に進路をとれ」
ボブ・クリュー/ボブ・ゴーディオ「ジャージー・ボーイズ」
宮川彬良/宮川泰「宇宙戦艦ヤマト2199星巡る方舟」
村松崇継「思い出のマーニー」
リズ・オルトラーニ「怒りの荒野」
■主題歌賞=Step Out (Jose Gonzalez) 「LIFE!」(2013)
世間的には今年の映画主題歌と言えば「アナ雪」の"レリゴー"なんだろうけど、僕は人生の応援歌のようなこの映画のサウンドトラックにノックアウトされた。予告編でも使われたホセ・ゴンザレスの"Step Out"のわき上がるような高揚感。サントラは他にもデビッド・ボウイの"Space Oditty"(本編でも使われ方は最高だった!)やホール&オーツの"Maneater"の見事なカヴァーを収録。今年の主題歌賞は大激戦。
今年の10曲
BLUE (水樹奈々)「宇宙戦艦ヤマト2199追憶の航海」
Fine On The Outside (Priscilla Ahn)「思い出のマーニー」
Let It Go (Idina Menzel)「アナと雪の女王」
Live And Let Die (Paul McCartney & Wings)「アメリカン・ハッスル」
Space Oditty (David Bowie feat. Kristen Wiig)「LIFE!」
Step Out (Jose Gonzalez)「LIFE!」
Sweeter Than Fiction (Taylor Swift)「ワン・チャンス」
This Woman's Work (Kate Bush)「結婚の条件」
シネマタイズ(映画化)(特撮)「ヌイグルマーZ」
ヌイグルマーZ(特撮X中川翔子)「ヌイグルマーZ」
■ベストアクション映画=「オール・ユー・ニード・イズ・キル」(2014)
日本のライトノベルをハリウッド映画化したSF活劇。アクションがどうだこうだというよりも、見せ方の面白さこそがこの映画の魅力。トム・クルーズのSF作品はハズレがないよな、悔しいけど。
■ベストコメディ映画=「WOOD JOB!神去なあなあ日常」(2014)
矢口史靖監督は新作が常に楽しみな映画作家のひとり。今回はオリジナル脚本ではなく、三浦しをんの小説を映画化。都会人から見た山村のカルチャーギャップをおもしろおかしく描いている映画じゃないところが素晴らしい。
■ベスト恋愛映画=「たまこラブストーリー」(2014)
アニメだからってナメたらいかん。卒業を控えた高校生の恋心を描くだけではなく、親世代の心をもキュン!とさせる見事な作品。「だいすき」って何気ない言葉がこんなにも心に響くなんて。
■ベストミステリー/サスペンス=「イノセント・ガーデン」(2013)
パク・チャヌク監督のハリウッド進出第1作はおどろおどろしい雰囲気が極上のスリラー。思春期の不安定な心と異常心理を融合させた見事な展開。この映画は記憶として残らない。背筋に感覚として残るのだ。
■ベスト人間ドラマ=「あなたへ」(2012)
今年は昭和の名優が亡くなった年でもある。地元北九州ロケ作品でありながら、公開当時スルーしてしまっていた高倉健の遺作「あなたへ」。訳ありの男たちが織りなすエピソード。あと10年若かったらこの映画の良さはわからなかったと思うのだ。ありがとう、健さん。