◼️「パリタクシー/Une belle course」(2022年・フランス)
監督=クリスチャン・カリオン
主演=リーヌ・ルノー ダニー・ブーン
昨年の劇場公開時に見損ねて以来、気になっていた作品。できれば映画館で観ておきたかった。でもパリの地図を広げて自宅で観るのも楽しいかもしれない。どれだけのドライブだったのか、どれだけ寄り道をしたのかがよくわかるかもw
感動ポイントや泣かせどころがいわゆる"人情"にある映画ってあれこれある。そういう映画を観るたび、若い頃の僕は"教科書のような優等生の映画"とちょっと距離を置くような感想を口にしていた。でも決して嫌いじゃない。今思うと、ヒネリのある作風を好んで観てた時期だったし、それ以上に王道の感動をくれる映画をちょっとくすぐったく思ってたのが本音かもしれない。
もし「パリタクシー」を若い頃に観ていたら、多分似たような感想だったかもしれない。ばあさんの思い出と心優しいダメ男が生き方を改める物語。(回想以外は)善人しか出てこないとか言われるかもしれない。でも、そんな作風がなんか心地よい。歳とったせいかもしれない。世知辛い話題ばかりの毎日にちょっと疲れているから、2時間ばかりホッとできたのが嬉しかったのだろう。
されど、途中に挟まるばあさんの回想シーンは、観ていて辛い場面も多い。ひとつ挙げるなら暴力的な夫に耐えたマドレーヌが選んだ激しい仕返し。大昔の映画なら、何をやったのかセリフだけで品よく流しちゃいそうなものかも。でもビジュアルとして見せることで、彼女が抱えていた怒りはバーナーの炎よりもさらに激しいものだったと観客に示してくれるのだ。
全編を通じて心に残るのは、主人公シャルルが次第に穏やかな言動になっていく姿と老婆マドレーヌの柔らかな笑顔。予想を超える映画ではないけれど、じんわりと心を温めてくれる幸せな結末が待っている。今の年齢で「ドライビング・ミス・デイジー」を観たら、あの頃とは違った感想になるのかな。
ひと言言わせて。
邦題はなんとかならんのかい💢
感動ポイントや泣かせどころがいわゆる"人情"にある映画ってあれこれある。そういう映画を観るたび、若い頃の僕は"教科書のような優等生の映画"とちょっと距離を置くような感想を口にしていた。でも決して嫌いじゃない。今思うと、ヒネリのある作風を好んで観てた時期だったし、それ以上に王道の感動をくれる映画をちょっとくすぐったく思ってたのが本音かもしれない。
もし「パリタクシー」を若い頃に観ていたら、多分似たような感想だったかもしれない。ばあさんの思い出と心優しいダメ男が生き方を改める物語。(回想以外は)善人しか出てこないとか言われるかもしれない。でも、そんな作風がなんか心地よい。歳とったせいかもしれない。世知辛い話題ばかりの毎日にちょっと疲れているから、2時間ばかりホッとできたのが嬉しかったのだろう。
されど、途中に挟まるばあさんの回想シーンは、観ていて辛い場面も多い。ひとつ挙げるなら暴力的な夫に耐えたマドレーヌが選んだ激しい仕返し。大昔の映画なら、何をやったのかセリフだけで品よく流しちゃいそうなものかも。でもビジュアルとして見せることで、彼女が抱えていた怒りはバーナーの炎よりもさらに激しいものだったと観客に示してくれるのだ。
全編を通じて心に残るのは、主人公シャルルが次第に穏やかな言動になっていく姿と老婆マドレーヌの柔らかな笑顔。予想を超える映画ではないけれど、じんわりと心を温めてくれる幸せな結末が待っている。今の年齢で「ドライビング・ミス・デイジー」を観たら、あの頃とは違った感想になるのかな。
ひと言言わせて。
邦題はなんとかならんのかい💢
私の心に残る映画の1つについて語っていらっしゃるのを偶然見つけました。
意外と最近の映画なのですよね。
私は、たまたま劇場で観て...かなり心動かされ...
その後、BS放映版を録画...たまに観ています。
1988年から1995年にかけて、家族でパリで暮らしていました。
当時のタクシードライバー達の様子を思い出したり、
パリで一人暮らしをしていると思われる老婦人たちのことを思い出したりしています。
今はどうなのでしょう...パリのカフェやレストランは「おひとりさま」のための席を必ずキープしていたように記憶しています。
老婦人が、ワインを愉しみながら、しっかりと夕食を召し上がる姿、心に残っています。
おっしゃるとおり「予想を超える」結末ではなかったかもしれませんね。
それでも、厳しい道を歩み続けてきた老婦人が、困っている人には手を差し伸べる...
ただの夢物語ではないように感じて...います。
タイトルに関しては、賛成に1票ですね♪
確かに、そうなるかもなという結末ではあるんですが、今の自分の感覚だとそれが心地良かった。観る前からお気に入りになりそうな予感がしていたので、年内に観ておかなきゃ!と思って今回から挑んだ次第です。
ヨーロッパ映画の邦題って舞台となった地名をつけたがりますよね。「ミラノ、愛に生きる」「パリ、嘘つきな恋」「ストックホルムでワルツを」などなど。時にはネタバレ同然のものもあるし。本作も原題は「ある美しき旅路」ですもんね。マドレーヌの人生ともこのタクシーの旅とも受け取れていいタイトルだと思うんだけどなぁ。