Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

光る君へ

2024-12-17 | テレビ・アニメ



日曜20時からテレビの前を動かず、家族から用を言いつけられたら不機嫌になるほど(笑)、真剣に向き合った大河ドラマって久々な気がする。キャスティングに惹かれたのもあるが、ドラマ「セカンドバージン」にもどハマりしたから、僕は大石静の脚本と相性がいいのだろう。

大河が幾度も題材とした戦国絵巻とは違うから、放送が始まった頃はどんな時間が流れるのかと思った。しかし、権力争い、出世のために妻(の家)を選ぶ男たち、女性のおかれた立場、そしてまひろと道長を中心とする人間模様が面白くって、中だるみすることなく、夢中になってしまった。言葉を大切にする作品を好む文系男子の僕としては、本作は大アタリ🎯だった。

一条天皇をめぐるパートが主役そっちのけでストーリーが進んでいく感じがしたのは気になった。だが、一条天皇をめぐる対立構図の愛憎劇があったからこそ、「枕草子」も「源氏物語」も位置付けや特徴がしっかり描かれるのがよかった。漢詩や和歌の解釈が難解になるのではとも思ったが、下手に字幕を入れることも、解説する台詞も過剰にならず、ちょうどよい。教科書にも登場する道長の「望月」の詩。これを皆で唱和する場面は印象深い。藤原家の栄華と同時に、そこに至るまで政敵を次々と追い払ったことを思うと、怖さをも感じてしまう。

一緒にいられない二人が同じ月を見上げる。道長が堂々とまひろのもとを訪れる事情ができた後、どんな思いで月を見上げていたのかを話す場面が好きだ。道長があらゆる場面でまひろに「好き」という気持ちを示していく様子に男として共感。だが次第に周囲に見透かされても仕方ない行動になっていくのには、毎週ハラハラした。だんだん黒木華が怖く見えてきたものだから、柄本佑と黒木華が夫婦役の映画「先生、私の隣に座っていただけませんか?」を観たくらいだ。最終回直前の回、「殿とはいつからなの?」には電撃が走る。最終回、死が迫った道長に寄り添うまひろが物語の続きを引き延ばすのがただただ辛い。そのシーン転換もまた月が映される。うまいなぁ。

ファーストサマーウイカ、秋山竜次、三石琴乃、オウムの声に種崎敦美など芸達者なキャスティングの妙も楽しい。また、刀伊の入寇をきちんと描いている意義も大きい。

道長の政(まつりごと)を見届けると言ったまひろ。道長が亡くなったラストシーンでつぶやく「嵐がくるわ」は、のちに平安と呼ばれた時代が変わりつつあることを示す。思い合う人間模様を示してしんみり終わるのかと思っていたら、最終回で戦のない世の中というワードが示され、不穏な空気で終わったのは一つのメッセージなのかもしれない。明日への不安もなく、人を愛し愛される世の中こそが大切。

見応えのある大河ドラマだった。



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