
■「シング・ストリート 未来へのうた」(2015年・アイルランド=イギリス=アメリカ)
監督=ジョン・カーニー
主演=フェルディア・ウォルシュ・ピーロ ルーシー・ボーイントン マリア・ドイル・ケネディ エイダン・ギレン
ジョン・カーニー監督の「ONCE ダブリンの街角で」「はじまりのうた」はどちらも愛して止まない映画。
監督の新作は、1985年を舞台に高校男子がバンドを始める青春映画だ。
聴く音楽によって影響されちゃってオリジナル曲が似てきたり、ファッション真似たりする様子が、
同じ時代に生きてきて自分も音楽活動してただけに「わかるなぁー♪」と嬉しくなってくる。
彼らのバンド最初のオリジナル曲"モデルの謎"は、duranduranの"Girls on film(グラビアの美少女)"が元ネタ?。
親の喧嘩が聞こえなくなるように兄貴の部屋でManeaterを聴く場面が好き。
大学中退して家でゴロゴロしてる兄貴が、主人公に音楽指南してくれる。
大好きなロックムービーには必ずこういう存在がいる。主人公に音楽面だけでなく、生き方でも啓示を与えてくれる素敵な存在だ。
思えばあの頃、好きな音楽が自分の世界をグイグイ広げてくれた。
そして好きな音楽が増えるきっかけには必ず誰かがいた。
毎週オススメ音楽を配信してくれる便利な現在とは違って、音楽は人と確実につながっていたと思うのだ。
それを思い出させてくれる。
だから僕らは、音楽配信を一人で楽しむんじゃなくて、誰かと語り合わなきゃいけない。あ、本編には関係ないね。
前2作と比べるとなーんか物足りない。
音楽の力や素晴らしさ、主人公の成長は確かによいのだけれど、話に深みが足りない気がする。
離婚直前の両親やメンバーの家族はもっと出てきて欲しかったかも。
それに、あの年頃ならバンド内での横恋慕みたいなこともあるだろに。
そういう意味では、J・J・エイブラムス監督の「スーパーエイト」は良くできた映画だったよな。
イギリスを目指すラストの二人を冷静な目で見てしまう自分。あー、10代でこの映画を観たかった。
でもこの映画は、あの頃の自分を思い出させてくれる。
僕と不思議と波長があって、国語の成績が良くて、センスが良い同じ学年の女のコに、
「ねぇ、歌詞書いて欲しいんだけど」
と切り出したあの春の日を。
劇中、音楽通の兄貴のひと言。
「彼氏はジェネシス聴いてたのか?そいつは大したヤツじゃねぇよ。フィル・コリンズ聴くようなヤツは女にモテない」
わっ、わるかったな!ジェネシスファンで!(泣)
『シング・ストリート 未来へのうた』予告編
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