■「アンナとアントワーヌ 愛の前奏曲/Un + Une」(2015年・フランス)
監督=クロード・ルルーシュ
主演=ジャン・デュジャルダン エルザ・ジルベルスタイン クリストファー・ランバード アリス・ポル
「男と女」のクロード・ルルーシュ監督がインドを舞台に撮った大人の恋の物語。
御歳78で、恋愛のワクワクしてキュンとして、切なくて、でも幸福な気持ちを、
スクリーンの上に描き続けられてることがすごいと改めて思う。
映画音楽家アントワーヌとフランスのインド大使夫人アンナがパーティで出会う。
仕事も興味の対象も違う二人だが、退屈なパーティの中で不思議と気が合い話が盛り上がる。
インドのスピリチュアルな世界に造詣の深いアンナは、
聖女アンマの祝福を受ける為に小旅行をすると言い始める。
慢性の頭痛に悩むアントワーヌは、彼女を追って一緒に列車の旅へ。
道中二人の会話は身の上話から男女のあり方めいた話まで及ぶ。
噛み合わないようで、お互いを楽しませている。
次第に二人は惹かれあっていることを意識し始める。
大人って自分の気持ちを抑えることを知っている。
それだけに、惹かれていることをお互いが口にし始めてからの展開が切ない。
自分に気づきを与えてくれる誰かの存在は、生きることを楽しくしてくれる。
大使夫人としての平穏な暮らしを送るアンナにも、
刹那の恋に身を委ね続けてきたアントワーヌにも、
お互いがそんな存在になると感じたのだろう。
映画の終わりは、ほろ苦くでも未来を感じさせる幸福な結末。
「女は欠点のない男だ」
「9割は女が正しい。でも残り1割がくせもの」
などなど素敵な台詞がたくさん出てくる。
中年男アントワーヌが「恋に恋してるんだ」なんて台詞を吐くのに驚くけど、
その台詞はまさにルルーシュ監督が心中貫いていることなんじゃないだろうか。
素敵な2時間、観てよかった
『アンナとアントワーヌ 愛の前奏曲』予告編