年間ベスト選出映画と振り返る、平成と自分。
その5。
2009「パイレーツ・ロック」
2010「(500)日のサマー」
2011「英国王のスピーチ」
2012「ミッドナイト・イン・パリ」
2013「タイピスト!」
2010年、僕は2度目の転職をする。家族や周囲の人の多くは賛成してくれた。一方で
「その年齢で転職しなくてもいいでしょ」
とか、それまでの仕事に関係する業界だったから
「裏切り者」
めいた声も聞こえた。そうした声に
「まだアガリを決めた大人になるには早いんじゃないかって、思うんだ」
と答えた。思わず口から出たこのひと言は、アニメ「東のエデン」の台詞でもある。そうそう、再びアニメ熱が高まるのもこの時期。19歳、20歳くらいの学生と長いこと接してきた影響かもね。
この時期、忘れることができないのは2011年の震災。自分に今何ができるのか、何もできないのか。テレビからCMが姿を消す中で、それを誰もが日々考えていた。「英国王のスピーチ」でジェフリー・ラッシュが演じたライオネルが吃音の国王を生涯支え続けた姿は、復興に必要なのは"支え続けること"だと教えてくれた気がする。
「(500)日のサマー」の主人公が恋愛の理想と現実の狭間でもがく姿は、自分を見られてるみたいな気がした。「パイレーツ・ロック」と「タイピスト!」は、まさに自分が好きなテイストがあふれた映画だった。
自分に何ができる?
自分の好きなことって?
とわが身を改めて振り返っていた時期なのかもしれない。そして、いろんな意味で自分の身の程がわかってきた時期なのかもしれない。
遅えかww
年間ベスト選出映画と振り返る、平成と自分。
その6。
2014年 「きっと、うまくいく」
2015年 「セッション」
2016年 「ブルックリン」
2017年 「ブレードランナー2049」
2018年 「ボヘミアン・ラプソディ」
そして現在。2度の転職を経て、自分が社会人経験を積んで思い知らされたのは、人間関係を維持することの難しさ、仕事は年齢なんて考慮してくれないこと、経験値とキャリアがなんだかんだで役に立つこと。身の程を思い知った今だからこそ、昔と違って感じることがたくさんある。
映画生活もそう。世間で賛否両論だった「セッション」を多面的に観ることができたのも、インド映画にこれまでにない感激を味わったのも、これまでの知識や蓄積、経験で知ることがあってこそ。
昔観た映画も今では違う感慨を抱く。若い頃はサスペンスにハラハラしたはずの「死刑台のエレベーター」は愛の映画だと思うし、バイオレンスで有名なスティーブ・マックイーンの「ゲッタウェイ」で夫婦について考えさせられたり。80年代の青春映画も、今観るときっと親に感情移入するだろな。
生きることも何かを楽しむことも、積み重ねで得るものがある。
小学校教員やってる友人に
「ホームルームでお前のことをときどき話すんだ。」
と言われたことがある。
「高校時代にやったどのバカを笑いのネタにしてんの?やめてくれ。」
と言うと、彼は
「"継続は力なり"って話をする時にネタにさせてもらってる。しなきゃいけないことと自分が好きなことを両立して長年貫いてることはすごいと思うんだ。」
と言う。いやいや、別にそれで世間に認められてる訳でもないのに…と言うと、彼は続けた。
「有名人を例に挙げるより、身近にこんな人がいるって話の方が勇気づけられるんよ。だからお前は今のままでいい。」
2016年の「ブルックリン」はアイルランドからアメリカに渡ってきたヒロインの社会人デビュー物語。社会人なりたての不安とか迷いとか、それは男だって同じ。観て数年経つのに今でも感想を書けずにいる映画のひとつ。だって、「魔女の宅急便」で泣いた社会人1年目の自分(その1参照)を思い出させてしまうんだもの。
平成の終わりにあたって、社会人になってからの30年を振り返ってみた。映画観てたことで救われたことが何度もある。単に楽しいだけじゃなくて、日々の癒しでもあり、異国の現実を知る機会でもあるし、年の離れた人と打ち解ける話題の一つにもなるし、時々自分を振り返らせてくれる2時間でもある。「ブレードランナー2049」も「ボヘミアン・ラプソディ」も、80年代を振り返らせてくれた。だからって、クィーンやガンダムを若い世代に「昔はよかった」って語るような迷惑な親父にはなってません、念のためww
ともあれ、平成の時代に支えてくださった皆さまに心から感謝します。ありがとうございました。
令和になってもオレはオレです。
これからも、どうぞよろしく。
長文を最後までお読みいただき、
ありがとうございました。