発売初日、仕事帰りに近所の本屋さんで入手。待望の続編発売はその日の朝、ニュースでも流れていた。義理の親はテレビみながら
「ようわからんけど買う人がおるんやね。」
と微妙に冷ややかな感じ。うちのレイア姫(9歳児)は、帰宅した僕に尋ねた。
レイア「ちち、いちきゅーはちよん、買った
?」
アナキンtak「買ったよぉー」
レイア「買う人がここにいたのか。」
な、なんだよ。お前まで冷ややかな。発売日に本屋に行くよな気持ちは、読書嫌いのお前にはわからんやろうな。
ということで、BOOK3読み終わりました。今回は一言一言をなるべくじっくり読むように心がけましたが、はやる気持ちが「 」を先に読もうとするんだよね。その気持ちを抑えつつページをめくっておりました。BOOK3になって牛河氏が頻繁に登場するようになり、青豆と天吾にまつわる事実を読者に語ってくれる。まるでしつこい探偵役だ。それ故にこれまでぼんやりしていた部分が次第に明確に見えてくるようになった。
でもねぇ・・・煙にまかれるような不明確な中を読み進めていく楽しさが村上作品の魅力の一つと思うのだが、BOOK3があまりにもわかりやすい印象を受けるので、これまでの村上作品からするとちょっと違和感を感じた。しかし十二分に満足できる内容。後味がやたらと悪い作品も多い中、「1Q84」のクライマックスは実に爽快。月が雲間から出てくる場面には、行間から劇伴が流れるかと思うくらいに劇的。そして、月が綺麗に見える部屋で二人が結ばれるラスト。ここまでハッピーエンドの村上作品って他にあっただろうか。
過去の村上作品によく似たエピソードが出てくるのもファンとしては楽しい。小学校の同級生が再び巡り会う物語に、僕は「国境の南、太陽の西」を重ねた。最後のホテルの場面だって、「国境の南・・・」の別荘の場面を思い浮かべた。全体を通じて思ったのは、不確かなものが多いこの世の中で、自分にとって心の支えになるものがあるということが、いかに大切なことなのか・・・それを考えさせられた気がする。
深夜に読み終わった僕は、月がふと見たくなった。自分がいる世界を確かめたくて。
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