Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

BOOK3読了。

2010-05-10 | 読書


 発売初日、仕事帰りに近所の本屋さんで入手。待望の続編発売はその日の朝、ニュースでも流れていた。義理の親はテレビみながら
「ようわからんけど買う人がおるんやね。」
と微妙に冷ややかな感じ。うちのレイア姫(9歳児)は、帰宅した僕に尋ねた。
レイア「ちち、いちきゅーはちよん、買った
?」
アナキンtak「買ったよぉー」
レイア「買う人がここにいたのか。」
な、なんだよ。お前まで冷ややかな。発売日に本屋に行くよな気持ちは、読書嫌いのお前にはわからんやろうな。

 ということで、BOOK3読み終わりました。今回は一言一言をなるべくじっくり読むように心がけましたが、はやる気持ちが「 」を先に読もうとするんだよね。その気持ちを抑えつつページをめくっておりました。BOOK3になって牛河氏が頻繁に登場するようになり、青豆と天吾にまつわる事実を読者に語ってくれる。まるでしつこい探偵役だ。それ故にこれまでぼんやりしていた部分が次第に明確に見えてくるようになった。

 でもねぇ・・・煙にまかれるような不明確な中を読み進めていく楽しさが村上作品の魅力の一つと思うのだが、BOOK3があまりにもわかりやすい印象を受けるので、これまでの村上作品からするとちょっと違和感を感じた。しかし十二分に満足できる内容。後味がやたらと悪い作品も多い中、「1Q84」のクライマックスは実に爽快。月が雲間から出てくる場面には、行間から劇伴が流れるかと思うくらいに劇的。そして、月が綺麗に見える部屋で二人が結ばれるラスト。ここまでハッピーエンドの村上作品って他にあっただろうか。

 過去の村上作品によく似たエピソードが出てくるのもファンとしては楽しい。小学校の同級生が再び巡り会う物語に、僕は「国境の南、太陽の西」を重ねた。最後のホテルの場面だって、「国境の南・・・」の別荘の場面を思い浮かべた。全体を通じて思ったのは、不確かなものが多いこの世の中で、自分にとって心の支えになるものがあるということが、いかに大切なことなのか・・・それを考えさせられた気がする。

 深夜に読み終わった僕は、月がふと見たくなった。自分がいる世界を確かめたくて。

1Q84 BOOK 31Q84 BOOK 3

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海響館に行くの巻

2010-05-08 | うちの子に御用?


 山口県下関市にある水族館、海響館に行ってきました。メンバーは私アナキンtak、配偶者アミダラM、レイア姫(9歳児)の3人。長男ルーク(11歳児)は別行動です。
レイア「ちち(注・ちちと呼ばれている)、レイアは海響館3回目なの。」
アナキンtak「そうなんだ。」
レイア「今日はあたしが案内するから、しっかりついてきなさいよ。」
・・・ハルヒか?お前。
と思いたくなるほどに強気のレイアに引きずられてお出かけです。
本日は門司港から連絡船で下関入り。レイアは船に乗るのが初めてでやけにはしゃいでおりました。

 水族館もいろいろ行ったけど、海響館は通路もやや狭め。GWの大混雑で水槽の前は人、人、人。魚の群れより多いんじゃねぇ?と思えるくらい。その人の隙間をレイアはスイスイすり抜けて行く。母親であるアミダラもデパートの混雑をすり抜けて我が道を行く名手なので、家族から「くのいち」の異名をとっているが、娘レイアはさらにその先を行く。
レイア「次に行くよぉー」
アナキンtak「まてー。そんな狭いとこ通れないよ。」

 さて、下関と言えばふぐ。この水族館にはふぐの仲間もたくさん展示されておりました。この日のお昼には、しっかりふぐ食べましたけど。

3月からペンギン村がオープン。水槽の中と屋外とでたくさんのペンギンが見られる。今回はこれがお目当てでもありました。水族館にはアーチ状になった水槽を人が通りながら鑑賞することがよくある。ペンギンの展示でも同じアーチがあるのだが、水中を高速で泳ぐペンギンを見ると、まるで飛んでるみたい。「あぁ、やっぱり鳥なんだ」と思えてしまうから不思議。

 イルカのショーも水族館ではお約束だが、他の水族館と明らかに違う。それは海響館のショーに登場するのはどれも芸達者。アシカのがんりゅう君は陸上で芸もするけど泳いで輪くぐりも見せてくれる。それにイルカのジャンプが綺麗なのね。他の水族館なら、水しぶきが上がるのが派手で面白いから、”腹うち”で着水するのが多い。ところが、海響館のイルカは着水が美しい。最後はしぶきをあげるジャンプもしたが、ちゃんと使い分けているのね。見事でした。

門司港に帰り着くと、帆船日本丸が寄港しておりました。

一般公開は翌日だったのですが美しい勇姿を拝めたのも満足。レイアは実は連絡船に乗ったのがいちばん楽しかったようでもある。

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四月の雪

2010-05-04 | 映画(さ行)

■「四月の雪/April Snow」(2005年・韓国)

監督=ホ・ジノ
主演=ペ・ヨンジュン ソン・イェジン イム・サンヒョ ル・スンス

(ネタバレあります)
 今年(2010年)は4月におっそろしく寒い日があって関東では雪が降ったようだ。そんなにある事じゃないけれど、季節外れの雪は降り積もった。だから・・・って訳じゃないけれど、今回観たのはペ・ヨンジュン主演の「四月の雪」。ネットで感想をあれこれ読むと決して評価は高くない。台詞が極端に少なくて感情がわかりにくい、ペ・ヨンジュンのPVみたいな映画だ・・・だの好意的な意見は残念ながら見あたらなかった。確かにペ・ヨンジュンの為に作られたような映画に思えた。「僕は冬が好きです。」・・・思わず吹き出しそうになった。優しそうな役柄だし、パブリックイメージを全く損なわないし、ファンサービス映画として企画されたのかもしれない。

 いろんな意見はあるようだが、僕はこの映画が好きだ。台詞は少なめだし、確かに唐突に感じられる演出もある。いわゆる説明くさい場面は一切ない。だから観る側としては主人公の感情を察するしかないだろう。だが、映画は映像で語るものである。それにこの物語のように罪悪感と裏腹な切ない恋愛には、説明くさい台詞もナレーションも一切必要ない。例えばソン・イェジンが下着姿で鏡に向かい、彼が触れた腰のあたりにそっと手をもっていく。「逢いたいわ」とも言わないし彼の名をつぶやくわけでもない。でもそれだけで気持ちは十分に伝わってくるじゃない。その説明くさくない演出はクライマックスに向かってますますエスカレート。ホテルの部屋に残された彼女の手紙を読むペ・ヨンジュン。それを向かいの店から黙って見つめるソン・イェジン。彼女の頬を伝う涙。不倫していた妻に、病室でペ・ヨンジュンが伝える言葉はたった一言だけ。たったひとことだけど、それは強烈な一言。その直後に引っ越し中と思われる雑然とした部屋で、ペ・ヨンジュンが一人無言で食事をとるカットへ突然切り替わる。確かに手紙の内容もわからないし、切り替わった場面はちょっと考えさせられるかもしれないけど、それだけで十分。一人で荷物まとめながらぺらぺら喋る必要もないしね。監督は、後でディレクターズカット版をリリースしており、そちらで追加された30分ではより二人の感情の動きが表現されているらしい。僕はそちらは未見だが、この台詞を極端に減らした演出はそのままであって欲しいなぁ。

 ラストがまた素晴らしい。タイトルにある雪が降る場面。降り始めた雪空を見上げる二人が映し出される。彼はコンサートの仕事の後だが、彼女はどこで何をしているのかまったくわからない。ふたりの表情を黙ってカメラは撮り続ける。見上げる空、二人は同じ空の下でつながっている・・・。唐突に切り替わる場面。雪をかけ分けるワイパーが車中から撮られ、そこに短い二人の会話が添えられる。
「どこに行くんですか?」「どこに行きましょうか」
それは二人が初めて結ばれる場面の前に交わされた会話。その一言ですべてを暗示させる見事な見事なラストシーン。好きな恋愛映画は何?と尋ねられると、僕はそのひとつにクロード・ルルーシュの「男と女」をついつい挙げてしまう。これも台詞が極端に少ない恋愛映画。「四月の雪」は、僕をフランスの恋愛映画をみているような気持ちにさせてくれた。

 「私の頭の中の消しゴム」以来、僕はソン・イェジンがお気に入り。ドラマ「スポットライト」も素敵だった。この映画での不安そうな表情と、時折見せる笑顔がすごくいいんだよね。ペ・ヨンジュンとのベッドシーン(この場面も顔のアップが多くって「男と女」を彷彿とさせる)にはちょいと妬けますが・・・とっても綺麗。他の主演作観てみよう。この映画の結末が新たな愛の始まりであることを望んでやまない。



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アリス・イン・ワンダーランド

2010-05-01 | 映画(あ行)

■「アリス・イン・ワンダーランド/Alice In Wonderland」(2010年・アメリカ)

監督=ティム・バートン
主演=ミア・ワシコウスカ ジョニー・デップ ヘレナ・ボナム・カーター アン・ハサウェイ

 あまりにも有名な「不思議の国のアリス」。特にディズニーアニメ版は何度観たことか。19歳になったアリスを主人公に、物語の後日談をティム・バートンが撮ると聞いたときには期待と不安が交錯した。ティム・バートン監督作独自の世界観は「アリス」という素材に向いている気がするが、一方で監督が貫いてきたはぐれ者への愛情がどのように表現されるのか・・・ということ。結論としては、実にティム・バートンらしい世界観なんだけど、オリジナルの良さが随所に生きている。でも驚いたのは、クライマックスではアリスが鎧を身につけて戦っちゃうこと。RPGゲーム世代にも受け入れられるかな。

 19歳となったアリスは幼い頃から繰り返しみる夢がある。それは幼い頃に訪れたワンダーランドの記憶なのだが、彼女はそこを訪れたことを既に忘れていた。商売で活躍していた父親が亡くなり、母親はアリスに結婚を勧める。だが彼女はそれを受け入れられない。そこへ表れたのが時計を持った白うさぎ。彼女は後を追って木の根元にある大きな穴に落ちてしまう・・・。ここからはオリジナル通り大きくなったり小さくなったりの展開(どうして大きくなっても服が破れない?・笑)。ティム・バートンはディズニーアニメ版をかなり意識しているように感じたがこの後出てくるいも虫のアソレムやチェシャ猫、トランプの兵隊などのキャラクターもかなりオリジナルのイメージに近い。アリスが迷い込んだ(再びやってきた)世界は、赤の女王が支配する暗黒時代。予言書にはアリスによく似た風貌の女性が危機を救うことが書かれていた。アリスがその救世主なのか?物語はアリスの成長を基軸に進んでいく期待を裏切らないいい話だ。でも期待以上だったか?と問われれば・・・超えるものではなかったのは確かかも。

 僕は初めて3Dヴァージョンを観た。しばらく夢中になった「立体視」で全編鑑賞できるような印象。文字は画面から浮き出して何よりも映像に奥行きがある。臨場感があるからこういうファンタジー映画やホラー映画には向いている。でもだんだん慣れてきて奥行きがあることを意識せず映画に集中するようになっていたから、怪物ジャバウォッキー(クリストファー・リーが声の出演!)との対決シーンがどれだけ3D効果で迫力が増していたのかわからなかった。それくらい自然だったのか?。字幕版で観ない方が、3D映像を観察できたかもしれないね。アヴリル・ラヴィーンの主題歌もいい雰囲気だね。ヘレナ・ボナム・カーターはティム・バートンとつきあい始めて、コスプレが似合う女優からデフォルメが似合う女優になっちゃった・・・。ちょっとかわいそうに思えるのは僕だけ?(「眺めのいい部屋」が懐かしい)。でっかいハートの髪型は笑いましたが、ついでにお付きの者が黒いスペード頭だったらなお面白かったかも(それって韓国時代劇?)。



コメント (2)
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