Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

エマニュエル

2025-01-15 | 映画(あ行)


◼️「エマニュエル/Emmanuelle」(2024年・フランス)

監督=オードレイ・ディヴァン
主演=ノエミ・メルラン ウィル・シャープ ジェイミー・キャンベル・バウアー ナオミ・ワッツ

2025年の映画館初詣。シルビア・クリステルの「エマニエル夫人」は親に隠れて観た世代なもので、同じ原作を再び映画化と聞いて、気になって映画館へ。

あの「エマニエル夫人」とは全然別な話。共通点は舞台がアジアであること、現地の男性となさるクライマックスであることくらい。性を通じてヒロインが開花するシルビア版とは違って、ノエミ・メルランは最初から仕掛けてくる。飛行機のシーンって、シルビアは何も言えずになすがままだった。この冒頭で自ら行動するヒロインであることを観客に印象づける。

大手のホテルチェーンから依頼を受けて、現場の評価をするために香港のホテルにやって来たヒロイン。ホテルに現れる様々な人々が、彼女に話す様々な性についての考え。追う者と追われる者。見られる快感。自分で自分にもたらす快感。仕事と役割に縛られていた彼女が、まだ見ぬ性の闇に一歩を踏み出す。確かにだんだんと大胆な行動にはなっていくのだけれど、それが彼女をどう変えていくのかは深くは語られず。うーん、成長物語を期待しすぎなのかな。

ノエミ・メルランもナオミ・ワッツも企業には使い捨てられる駒としか見られていない。そんな状況の中で、何を頑張って誇りに思っているのかをナオミ・ワッツが語る場面は印象に残る。それを聞いて主人公が選択する行動。そこがヒロインの変化と言えるかも。シルビア版が性に奔放な男性の手ほどきもあって心も解放されたのに対して、自ら行動を起こすところが当世風なのか。ともあれ、ノエミ・メルランの熱演は見どころ。

伝説の店だと言うから「アイズ・ワイド・シャット」の秘密クラブみたいな性の巣窟かと思ったら、ゴージャスな雀荘めいた店で肩透かしを喰らうw。最後は意中の日系人を含めて3人で…という展開に。「続エマニエル夫人」に出てくる3人で絡み合う美しい場面を期待したが、暗闇で通訳介して抱き合うだけ。そして唐突なエンディング。

僕は音楽がとても官能的に感じた。特にエンドクレジットで流れる弦楽。薄く和音が流れる中で、4分音符で一定のリズムを刻む演奏。その上に同じ4分音符のか細いメロディが喘ぐようなビブラートで重なる。重なり合った男女が刻むリズムを音楽で表現したらこうなるのかも。考えすぎかw




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2 コメント

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おひさ (imapon)
2025-01-15 14:21:14
興味深いですね。劇場スルーのつもりでしたが。。。
1974年版でのロバート・フリップと揉めたという音楽。シルビア・クリステルのせいもあって、今でも「太陽と戦慄」はSEX描写音楽の最高峰と認識していますw
官能的な弦楽を聴きに劇場行こっかな。
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Unknown (tak-anakin-skywalker)
2025-01-15 21:05:16
imaponさん、お久しぶりです。
「太陽と戦慄」に酷似しているとされた音楽ですね。1作目観てからずいぶん経っているので見返そうかなー。
レビューに挙げた音楽、あくまで個人の感想なので過剰な期待はなさらぬようw。
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